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Gourmet
2019.08.16

美味いゴーヤチャンプルーには秘密があった!人気店「琉球チャイニーズTAMA」のレシピ大公開!

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沖縄料理の中でも人気の「ゴーヤチャンプルー」。青山の人気店「琉球チャイニーズTAMA」の玉代勢文廣さんに教わる、おいしいレシピを解説します。

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ゴーヤチャンプルーの作り方のコツは?

青山学院大学にほど近いところに、沖縄料理と中華料理、ワインの店「琉球チャイニーズTAMA」が誕生して7年目。クリエイティブな職業の人を中心に、夜遅くまで賑わっています。「ゴーヤチャンプルーはきんぴらだ、と言うと、みんなぽかんとします」と笑うのは、店主の玉代勢文廣さん。確かに、ゴーヤ炒めと思っている人には、すぐには納得できない説明です。実は、つくって置いておくところが、〝きんぴらだ〟というのです。

「ゴーヤチャンプルーは台所にいつも置いてある常備菜で、つくり置きをしてあるのが基本なんです。ですから、ゴーヤがシャキシャキしていなくて、やわらかい。苦みもなくなるくらい炒めてあります。そのつくり方がきんぴらに似ているんですよ。きんぴらも初めに炒めてから煮るでしょう。ゴーヤチャンプルーは冷めたままでも食べますが、うちの店では、それを卵と合わせてもう一度炒めてお出ししています」
スクリーンショット 2017-06-26 13.16.03玉代勢文廣さん。両親が中国と沖縄の出身で、両方の料理がミックスされた自分の家の味をベースに、料理をつくっている。

ゴーヤチャンプルーの材料

材料はゴーヤとポークランチョンミート、島豆腐、卵。沖縄らしい食材が、絶妙のバランスで味を支え合っているのです。ポークランチョンミートはアメリカ占領時代に米軍が配給して普及した豚肉の缶詰です。沖縄では「ポーク」と呼ばれて、野菜の炒め物に入れたり、卵焼きと一緒におにぎりにしたりと大活躍です。島豆腐は、大豆を水に浸してすりつぶした豆汁を搾って、それに火を入れてつくられた豆腐で、海水をにがりの代わりに使うため、塩味がついています。一般の豆腐は豆汁を煮てから搾りますが、生の豆汁を使う島豆腐には、たんぱく質が普通の木綿豆腐の約1.5倍含まれるとか。水分が少ないので見た目より重く、どっしりしています。スクリーンショット 2017-06-26 13.16.10ポークランチョンミート

苦みのあるゴーヤには、存在感のある食材が合います。玉代勢さんは、「ゴーヤをあまり薄く切らないこともコツ」と言っています。ふんわりとした食感も必要なのです。家に立ち寄る人に出す料理を、いつも準備しているという沖縄の家庭。玉代勢さんが教えてくれた沖縄スタイルでゴーヤチャンプルをつくってみると、土地が育てた味と文化がしみじみと感じられるようです。
スクリーンショット 2017-06-26 13.17.06ゴーヤのワタは全部取ってしまうと、苦みが少なくなりすぎて、つまらなくなることがある。種を取るときに、ワタを少し残しておくのがコツ。

ゴーヤチャンプルーのレシピ(作り方)

手順1.ゴーヤの種を取り、薄く切る

ゴーヤは、なり口と尻を切り、縦半分に割って、スプーンで種を取る。種の周りのワタは、すべて取ってしまわず、適当に残しておく。残したワタが多いと、より苦さが感じられる。5㎜くらいの厚さに切る。あまり薄くすると、炒めているうちに歯ごたえがなくなる。厚めに切って、ふわっとした歯ごたえにしたい。

手順2.具を別々に炒める

ポークランチョンミートを1㎝角×長さ4㎝くらいの拍子木切りにする。玉代勢さんが使う「チューリップ」という銘柄は、ほかのものより、塩気が少ないそうだ。島豆腐も同様の拍子木切りに。島豆腐自体に塩気があるので、この後の調味は控えめにする。島豆腐が手に入らないときは、木綿豆腐を水切りして使うとよい。

手順3.ゴーヤを炒め、削り節をかける

ゴーヤに最初は強火、その後中火でゆっくり火を通す。ゴーヤを取り出し、ポークランチョンミートを炒める。表面はかりっと、中はもちもちのイメージで炒め、取り出す。島豆腐も表面に薄く焼き色がつく程度に炒めて取り出す。すべてを一緒にし、削り節を揉んで細かくしてかけ、さらに炒め合わせる。
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手順4.炒め合わせたら、1日寝かせる

すべての材料がよく混ざったら、火を止めてバットなどの平らな容器に広げる。TAMAではバットに向けて扇風機をかけて熱を急速に取り、保存容器に入れて冷蔵している。ゴーヤチャンプルを冷蔵庫で1日寝かせると、ゴーヤがしんなりとやわらかくなって、常備菜のイメージの食感になる。これが沖縄の味だ。

手順5.卵を炒める

冷蔵庫に入れておいたゴーヤチャンプルを取り出し、常温に戻しておく。中華鍋にサラダ油を熱し、溶いた卵を鍋肌から入れて、ふんわりとした薄焼き卵をつくる。卵が固くなりすぎないうちにゴーヤチャンプルを入れる。すでに火が通っているので、ここでは炒めすぎず、全体が熱くなるくらいでよい。

手順6.卵と合わせて炒める

薄焼き状の卵がふわふわのうちに、ゴーヤチャンプルを入れ、卵と絡ませるように、手早く炒め合わせる。卵とほかの具材がよく混ざったら、塩、薄口醬油、砂糖で調味する。ポークランチョンミートと豆腐には、すでに塩気があるので、味付けは控えめにするとよい。皿に盛り、削り節を上にのせる。
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「琉球チャイニーズTAMA」のゴーヤチャンプルの秘密

「この料理にコツがあるとすると、手遅くつくることですね」と玉代勢さん。「炒め物は手早く」といわれますが、その逆だというのです。

「ゴーヤチャンプルは、中華料理の炒め物とは全然違う料理なんですよ。ですから、ゆっくりと、しんなりするまで炒めます」むしろ煮物に近いセンスでつくる常備菜がゴーヤチャンプルです。沖縄の家庭では、ほかにラフテー(煮豚)も常備菜として用意されることが多いそうです。
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「店ではゴーヤを一度にたくさん炒めます。今日は1.7㎏あります。いっぺんには無理なので、半分ずつ炒めていますけれどね。サラダ油を使っています」まず、ゆっくりとゴーヤを炒めます。最初は強火ですが、下から返しながらゴーヤ全体に油が回ったら、中火にします。やわらかくなったら、削り節を揉んで細かくして、全体にまぶします。

「だしを入れるかわりに、削り節をゴーヤにまとわりつかせるんです」うまみを感じるのは、この削り節のおかげです。さらに炒めていると、水分が抜けてきて、全体にくたっとしてきます。苦みは炒めると少なくなります。

「ゴーヤは切った面がこげやすいので注意してください。厚めに切っておいて、炒め終わったところでふわっとした状態になるのが理想です。この加減が上手なおばあがいるんですよ。塩、砂糖、胡椒で軽く味をつけておきます」
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ゴーヤと合わせるポークランチョンミートも島豆腐も、沖縄の日常に欠かせない食材です。家庭でよく使われるポークランチョンミートは、「チューリップ」というブランド。「スパム」という銘柄よりも塩気が少ないのが特徴です。ポークランチョンミート、島豆腐は別々にゆっくりと炒めます。ポークランチョンミートは、火を入れるともちもちした食感に。弾力が出るまで炒めていきます。島豆腐も、周りに焼き色がつく程度に炒めます。水分が相当少ないので、かたちがくずれにくく、炒め物に向いています。

別々に炒めたものをすべて一緒に炒め合わせて、これを冷蔵庫で1日寝かせておきます。1日置くと、炒め物というイメージがあまりなくなって、水分のない煮物という状態になっています。玉代勢さんはこれを卵と一緒に炒めて、塩、薄口醬油、砂糖で調味し、仕上げに削り節をのせます。
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チャンプルーという言葉は、インドネシア・マレー語の混ぜるという意味の動詞「チャンプール」が語源といわれ、いろいろな素材を混ぜる料理を指しています。また、チャンプルは必ず豆腐を使うものという考え方もあるそうで、豆腐を使わない炒め物は、イリチー、タシヤー、プットゥルーなどと、ほかの名前で呼ばれます。島豆腐が炒め物に大切なものだということがわかります。

東南アジアに向かって立てば、日本の最先端にあたる沖縄。食も東南アジアとの交流が感じられる、独特の文化をもっています。日本料理とアジア料理のおいしさのいいとこ取り。沖縄の料理は、風土を語ります。