はじめてでも何度でも訪れたい名店。この秋、京都旅で楽しみたい美味トピックスを集めました。今回は東山区にある「祇園 楽味(ぎおん らくみ)」、「ぎをん森幸(もりこう)」、「祇園MAVO」の3店をご紹介。
割烹?むしろ酒飲みのワンダーランド
「祇園 楽味」
進化する京都の割烹トピック、ご紹介するのは「祇園 楽味」。「使い勝手がいい」「口の肥えた人にはたまらん」などの声が寄せられるも、「メニューはあってないようなもの」という最大のウリは「?」。そこで編集部が潜入してきました。
まず、おきまりとして前菜が3品続きます。そして、本番。地元ではかじきと呼ばれる木箱に入った「お造り」、次に「焼物」(魚介、熟成肉、野菜など)、「珍味」とぎっしり詰まったネタ箱が披露されます。材料を選び、献立を決めていくのですが、ここが店主・木田康夫さんの腕の見せ所。
左/「向付」のネタ。鮨も注文可。右/秋の小鍋料理の一例「鱧(はも)と松茸のすきやき風」。白ずいきが入ることで食感が新鮮に。厚揚げと野菜を炊いた鍋、といった素朴な料理も一流の味に仕立ててくれる。
「『揚げ物にして』と言われたとしたら、そこからさらにおいしく食べられる方法を瞬時に考えて提案します。そこにあんをかけてもいいし、天茶にしてもいいですもんね。思いもかけずに美味いものに巡りあえたら、お客様もうれしいでしょう?」
からすみ掛けの焼きおにぎりで〆るのは贅沢の極み。
食事が終わり、店の送り出しのときまで「今度食べたいものはなんですか?」と声をかけて、次回に備えるのが楽しみという木田さん。「わがままな客ほど大歓迎」という懐の深さも祇園に構える割烹の矜持です。
TEL 075-531-3733
住所 京都府京都市東山区祇園町南側570-206
京都中華の春巻きは卵たっぷり生地が自慢
「ぎをん森幸」
京都で春巻きといえば、このスタイル。粉と卵をこねてひと晩おき薄くのばした生地で、焼き豚や蟹、筍、椎茸などをたっぷり巻いて揚げた、優しい美味しさが自慢の一品。
卵入り生地の食感×具だくさんが、京中華の春巻きの魅力。お客さんが皆頼む、人気メニュー。
広東料理をベースに、だし文化の影響を受けて独自の進化をとげて定着した京都中華の大定番。二大派閥の直系「森幸」のそれを、お昼にサクッと。
ワインを超える?日本茶と仏料理のマリアージュ
「祇園MAVO」
ひと皿ひと皿にワインを合わせるように、料理に日本茶を合わせて供する食のペアリング。そんな新しい食の提案で話題になっているのが2014年夏オープンした「祇園MAVO」。
「カサゴのマツカサ焼き サフランの泡」には、カフィアライムとレモングラスを一緒に水出しした煎茶を。
シェフの西村勉さんは、京都ならではの価値を模索する中でこのスタイルを創造したのだとか。茎茶や水出し煎茶などのお茶に、ハーブやスパイスを加えて抽出した日本茶のドリンクは、味も香りも目を見張るばかりにふくよかで、フランス料理との相性のよさにも驚嘆するばかり。「日本茶には、ワイン同様、歴史と文化があります。だからお酒が苦手でもワインと同じテンションで楽しめます」(西村さん)
料理に合わせた6種のティーペアリング。右端の茎茶+柑橘の皮と炭酸はシャンパン風。左端の焙じ茶+マロウ+シナモン+ブラックペッパーはまるで赤ワイン、と多彩。