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Gourmet
2019.08.25

「お茶っこ」ってなんだ? 福島・会津には独特のお茶時間が流れていた!

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古くから会津地方では、お茶が会話のツールとして使われていました。お茶を飲む=お話しするという意味。のどかで平和な時間を一緒に過ごすのは、お酒とは違う、気持ちのつながり方があるようです。

「お茶飲み」それは「おしゃべりする」ということ

東北地方には「お茶っこ」という文化があります。それは「ちょっとお茶でも」と、近所の親しい人が集まって、話に花を咲かせること。ここ会津でも「お茶飲みして回る」という言い回しがあるそうで、誰々のお家に遊びに行く、という意味。

和樂にたびたび登場している、会津木綿の製作に携わる「IIE Lab.」の谷津拓郎(やづたくろう)さんも、「自分のばあちゃんが、まさにそうでした。半日くらい出かけていたことも」と、語ります。じゃあ実際に「お茶飲み」しましょう! と、谷津さんが普段から交流のある農家レストラン「彩農食房けやき蔵」を営む慶徳敬子(けいとくけいこ)さんのもとを、IIE Lab.のスタッフと訪ねてみました。

けやき蔵の慶徳敬子さん

「最近は減ってきたけれど、昔はよく『お茶飲み』していましたよ。世間話をしたり、晩ごはんのレシピを交換し合ったり。町内の友達とのコミュニケーションの場だったんです」と、慶徳さん。

慶徳さんは、家業である農家を手伝いながら医療事務のお仕事もされていたそうですが、孫が生まれるとともに農業に専念。自分たちが育てた野菜をもっと広めたいという思いが募り、地元の勉強会に参加し始めます。その後ベジタブル&フルーツマイスターの資格を取得、野菜の特徴や魅力の伝え方を学んだとか。10年ほど前には自宅を改装してレストランを開業。畑で収穫された野菜のメニューを提供していますが、料理は自己流です。

お茶請けは「漬物」が会津流

「昔はお茶菓子が貴重だったから、お茶のお供といえば漬物。野菜は豊富なので、みんな自宅で漬けていたんです。それを持ち寄って『お茶飲み』するから、『あら、おいしい。これどうやって漬けたの?』といった会話は、よくしていましたね」

この日も慶徳さんから振るまわれた漬物の豊富な種類、きれいな色合いにびっくり。取材は1月に行われたのですが、大根とごぼうの漬物は、花びら餅に見立てられていました。味つけも野菜ごとに変えられており、口に入れるととても複雑な味わいが。「漬物だけで延々とお茶が飲める」IIE Lab.千葉崇さんの名言も飛び出すくらいです。

慶徳さんのつくる漬物

「会津は茶畑がないので、茶葉へのこだわりはあまりありませんが、お茶請けの漬物は大事。家ごとにレシピがあり、旬の野菜をどう漬けるかはみんなの関心事なんです」と、語る慶徳さん。大根は一度に20~30㎏漬けるそうで、会津の食文化に不可欠な存在なのがわかります。

農家レストラン「けやき蔵」の慶徳さん(左)を訪ねた「IIE Lab.」の(左から)松本さん、谷津さん、千葉さん

「IIE Lab.」のみなさんも、会津に古くから伝わる文化に触れられて、とても楽しそう。職業や世代を超えて、気どらず、お茶と漬物でゆっくりおしゃべりする。会津の穏やかな土地柄にふさわしい、幸せの風景が「お茶飲み」にはありました。

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