Gourmet
2019.11.17

発売5分で売切!精米歩合非公開の日本酒「鷹ノ目」込められた想いが熱すぎるッ!

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初めて飲んだ日本酒の味、覚えていますか? 妙にアルコール臭かったり、ビールのようにガブガブ飲んで、べろべろに酔っ払ったり…あまり良い思い出がない人も、いるんじゃないでしょうか。しかし! 本当においしい日本酒は、飲んだ瞬間に見ていた景色がカラフルになるような興奮と感動をもたらしてくれるのです。あらゆる人にとっての「日本酒との出会い」を変える、衝撃の日本酒と、それを生み出した革命児をご紹介しましょう。

あっというまに完売!注目の日本酒「鷹ノ目」

2019年10月16日(水)に発売された日本酒「鷹ノ目(ホークアイ)」。販売開始わずか5分でその日の分は売り切れ! 翌販売分も開始7分で完売と、大きな注目を集めています。

この日本酒のすごいところは…なんと精米歩合非公開! 日本酒のスペックにあたる情報を、全て隠した状態で販売しているのです。さらに価格は、一升瓶で3,000円程度が相場の日本酒業界において高価にあたる13,200円。その理由は、開発者である株式会社Forbulの代表、平野晟也(せいや)さんのこだわりにありました。

時代は変わったのに日本酒が「変えられない」理由

2018年、平野さんは海外留学を経て、日本酒を通して日本文化を世界へ発信したい! という思いから株式会社Forbulを起業しました。

「日本人の仕事や研究ぶりは世界の国々と比べても、圧倒的にマニアックな傾向にあります。ものづくりの世界においても、それは同じです。とにかく突き詰めて、いいものをつくり続ける思いが強い! そんな日本ならではの思いの強さが世界に評価されている一方で、思いの強さだけでものの質まで伝わるんじゃないか? と魅力を伝える努力を苦手とする日本人の弱みにも気づかされました」

平野さんは、日本酒の製造現場でつくり手たちの熱意を感じ、つくり手に代わりその思いを伝え広めることを仕事にしよう! と決意されたそうです。しかし、現在の日本酒業界にはこんな問題もありました。

「これは酒蔵の方から聞いたお話です。世の中の傾向は安価で大量に酒を飲む時代から、いい酒を味わう時代へと変わってきましたが、日本酒の卸先は飲食店が多いため飲食店にとってコスパのいい酒をつくることに注力せざるをえない。こうした現状がある限り、酒蔵はコストを度外視して本当においしい酒をつくることに集中できないのです」

日本酒業界の課題を目の当たりにして平野さんはひらめきました。「効率や生産性を重視しない最高の日本酒をつくってみたらどうなるんだろう?」

生産性非重視!?最高峰の日本酒をつくる

「最高の日本酒とはどんなものか? それは…誰が飲んでもシンプルにおいしい!と感動する日本酒です。誰かの人生で最初に飲む日本酒になるかもしれないのだから、この日本酒の味で、お酒や日本酒のイメージ、ひいてはその人の生き方にまで影響を与えるようなものじゃないといけない!と強く感じたんです」

平野さんは全国の日本酒約300銘柄から、誰もがおいしい! と納得する味のイメージに近い20銘柄を絞り込み、ひとつひとつの蔵へ「最高の酒をつくる企画」を持ち込みました。しかし、コストの問題は大きく、なかなか提案を受け入れてくれる蔵は現れません。10以上の蔵を訪問し、いよいよ諦めかけていたそのとき、手を握ってくれたのが、山口県の「はつもみぢ」でした。

写真左が「はつもみぢ」の原田社長、写真右が平野さん。

「はつもみぢの日本酒は、ほのかな吟醸香とやわらかい口当たりが特徴。フルーティーな味わいで米の旨みもしっかり感じられます。ちなみに原田社長は、利き酒大会で7連覇をするほどの脅威の舌の持ち主。小さな酒蔵ですが、お酒に対する熱量はどこよりも熱く、高い技術を持っています。そんなはつもみぢが本気で酒をつくったら、きっと人生を変える酒を作るに違いない! と確信したんです」

開発にあたり、平野さんたちがまずこだわったのは、原材料である米と水です。米は酒米の王様と呼ばれている山口県産「山田錦」。契約農家の米を100%使うことに決めました。さらに水は、酒蔵から車で数時間ほどのところにある周南市鹿野地区の湧き水。数十年の歳月をかけて自然がろ過した「伏流水」を使います。

そして最後に、日本酒の決め手となる精米歩合について議論になりました。精米歩合とは、米をどれだけ削ってつくるかの数値のこと。どれだけ酒米を削ったかによって、日本酒の味わいも大きく変わります。その数値はあくまで「削った度合いをわかりやすくするもの」であるにも関わらず、現状の日本酒の値段は、精米歩合の数値によってほぼほぼ決められています。

「例えば、精米歩合70%(お米を30%削った)日本酒と精米歩合40%(お米を60%削った)日本酒を比較すると、後者のたくさん削った方が、値段も評価も高くされる風潮があります。特に、1万円以上する高級な銘柄ほど顕著にその傾向があるのです。最近では精米歩合1%の銘柄も登場していますが、だからといって必ずおいしいとは言い切れないと僕は思います。もちろん、米を磨くほど味は澄み渡りますが、スッキリしすぎたり味わいが均質化してしまうデメリットもあるのです。米本来の良さを生かすとしたら、この精米歩合は日本酒のうまさの評価軸に対して無価値。あくまでおいしさだけを追求した商品開発を目的にしていたので、思い切って、精米歩合へのこだわりを捨てることに決めました」

こうして平野さんは精米歩合の非公開を決断したのです!

世界に羽ばたく日本酒を目指して

誰もがおいしい!と感動する味を求めてつくられた「鷹ノ目」。名前の由来は、鷹のごとく高い視点から物事を捉え、既存の固定概念に捉われない本質的な日本酒の味わいを生み出したい。世界に羽ばたく日本酒になってほしいという願いを込めて。

気になる味は…パイナップルのような芳醇な香りと酸味!そこにオレンジピールのような上品な苦味が加わり、全体をまとめあげています。

「鷹ノ目を通じて、それまで持たれていた日本酒のネガティブなイメージを壊したい。だから今まで日本酒を飲んだことのない方や日本酒が苦手だと思っている方に飲んでいただきたいです」

「鷹ノ目」は平野さんの熱い信念に後押しされて、想像を超える勢いで売れています。最後に、平野さんはこんなふうにお話されました。

「実際にこれなら飲める! と、すでに嬉しいリアクションをたくさんいただいています。知り合いへ配ってくださる方もいらっしゃって、ものすごく嬉しいです。価値あるものが広がる世界を作る、という弊社のビジョンを忘れずに、常にいいものをつくり、しっかり届ける努力を続けることで、いつか日本を代表するブランドを目指したいです」

公式サイト:https://hawkeye-sake.com/
※発売は週に1度のみ(毎週水曜21時〜)