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Gourmet
2020.05.11

心身に染みる絶品!時短料理にも活躍する「土鍋」で味噌汁を作ってみよう!

この記事を書いた人

おこもり生活が長期化するとともに、「時短料理」の人気が急上昇しているのだとか。一人暮らしの方から大家族までそれぞれ事情は違っていても、一日三食を毎日作るのは結構大変。人気キーワードになっている理由も、大いに共感できます。

そこで私も気になって時短料理のレシピを調べてみたところ、電子レンジを使った料理のオンパレード。電子レンジを持っていない我が家としては、ひそかに大きな衝撃を受けました。

「じゃあ何を使って料理をしているの? 」というのもよく聞かれますが、私にとって心強い調理道具のひとつが、土鍋。

土鍋というと冬の鍋料理や土鍋ごはんなどのイメージが強いですが、実はいろいろな料理に使うことができ、そのなかでも土鍋で作る味噌汁は絶品なんです!

具だくさんの土鍋の味噌汁は、心も身体も満たしてくれます。余分な調味料や他のおかずなどが不要になり、その結果として時短にもつながる。何とも勝手な解釈ですが笑、新しい時短料理の切り口になるのではと思っています。

どこの家庭も、きっとひとつは持っている土鍋。土鍋を使えば、いつもの味噌汁が奥深い味に生まれ変わります。おこもり生活の「食の楽しみ」としてもぜひ紹介したいと思い、今回記事を書くことにしました。

作る人にも食べる人にも嬉しい「土鍋の味噌汁」

土鍋で味噌汁を作ってみたのは思いつきからだったのですが、その手軽さと美味しさに魅了され、すっかり虜になってしまいました。家族も気に入っているようで「いつも土鍋で作ってほしい」とリクエストがあるほどです。

何と言ってもいいところは、野菜がたっぷり美味しく食べられること。

じっくり加熱することで甘味と旨味が増した野菜と味噌の相性は、これはもう抜群! そのまま食卓に置いても「ごちそう感」が出るのも、魅力のひとつ。冒頭にも少し書いたとおり、たっぷり野菜が取れるので副菜を作る手間も減り、献立全体で見れば時短料理にもつながります。

味噌汁用に使っている土鍋。もともとは炊飯用のものだが、コロンとした見た目が愛らしく、やや小ぶりのサイズもちょうどいい。

冬の鍋料理を想像するとよく分かりますが、土鍋で作った料理は身体をじんわりと温めてくれます。おこもり生活で何かと運動不足になりがちな昨今、外の気温は温かくなっていても、身体の内部は冷えてしまっているかもしれません。我が家では、手軽にできる冷え対策のひとつとしても土鍋を愛用しています。

ある日の朝ごはん。土鍋で作った具だくさんの味噌汁をメインにして、香の物や常備菜を組み合わせることが多い。

ちなみに、土鍋の原型が日本に登場したのは、なんと縄文時代。「縄文土器」と呼ばれるもので、肉や野菜を保存や料理のために使用していたのだとか。

平安時代に「土鍋」という言葉が生まれ、江戸時代に入ると鍋料理が登場します。土鍋が家庭に普及したのは昭和中期と言われていますが、土鍋は古くから人々の食を支えてきた名道具なんです。

土鍋の味噌汁が美味しい理由

鍋料理などの美味しさからも分かるように、土鍋には他の調理道具にはない独特の魅力があります。

・食材が持つ甘味や風味を引き出す…金属製の鍋などと比べて、温度がゆっくりと上昇する。遠赤外線効果があると言われ、食材を芯から温め、食材の甘味や風味が引き出される。

・保温性が高く、最後まで美味しい…いったん温度が上がると高温が長く保たれる。余熱によっても食材に味が染み込み、最後まで温かく食べることができる。

・「ごちそう感」が手軽に出せる…そのままドーンと食卓に出しても、見映えがする。食べる人の好みに応じて、量や味付けを調整することもできる。

土鍋で味噌汁を作ってみよう!

難しいコツなどはありませんが、食材選びと調理のポイントを先にお伝えしておきますね。

〈食材選びのポイント〉
その時にある食材で作れるが、おすすめは「根菜類」「香味野菜」「きのこ類」などを含めて3~5種類の食材を組み合わせること。これらの食材から、とてもいい出汁が出る。
〈調理のポイント〉
食材に応じて、鍋に加えるタイミングを変えることが大切。基本的には根菜類などは最初から、すぐに火が通る葉物などは最後に加える。

私が土鍋で味噌汁を作る時は、昆布だけを用意して、煮干しやかつお節などの動物性の食材は使わないことが多いです。野菜などからいい出汁が出るので、昆布だけあれば十分に味わい深い一品に仕上がります。

では土鍋の力を信じて、作ってみましょう。気に入ったら「おかわり」ができるように、レシピの分量はたっぷり目で書いています。以下のレシピをご参考にしながら、お好みの具材で作ってみてくださいね。

【レシピ1】豆腐と野菜の味噌汁

まずは味噌汁の定番「豆腐」を使ってみましょう。特別な食材は使っていませんが、土鍋の味噌汁の素晴らしさが実感できる一品です。

今回は包丁でカットした豆腐を最後に加えていますが、手で大きく崩しながら入れたり、湯豆腐のようにじっくり加熱したりすると味がよく染み込んで、また違った味わいが楽しめます。お好みで、いろいろと試してみてくださいね。

〈材料〉2~3人分

・豆腐 1/2丁(200g程度)

・新じゃがいも中1個

・セロリ(または玉ねぎなどの香味野菜) 1/2本

・青菜や葉物野菜(今回はサラダ菜を使用)1/2袋 ※野菜はあるものでアレンジOK

・水 3カップ

・味噌 大さじ2程度

〈作り方〉

1.昆布と水を土鍋に入れて、30分以上置いておく。

2.豆腐は水切りをしておく。

3.豆腐・じゃがいも・セロリ(白い部分と緑の葉の部分に分けておく)・サラダ菜はそれぞれ食べやすい大きさに切る。

4.1の土鍋に3のじゃがいもとセロリ(白い部分)を加えて、火にかける。

5.沸騰したら弱火にして、じゃがいもが柔らかくなるまで加熱する。

6.豆腐・セロリの葉・サラダ菜を加えてさっと煮て、火を止める。味を見ながら、味噌を溶かす。

【レシピ2】魚と野菜の味噌汁

メインにもなる味噌汁で、魚と野菜の旨味がじんわりと身体に染み込みます。魚の臭みを消すために、ネギなどの香味野菜をたっぷり使うのがおすすめ。我が家では、魚のアラが手に入った時によく作ります。

〈材料〉2~3人分

・魚のアラや切り身(今回は鰆のアラを使用)2切れ程度

・長ネギ(または玉ねぎなどの香味野菜) 2本

・しめじ 1/2袋

・にんじん 1/2本 *野菜はあるものでアレンジOK

・生姜 1/2片

・酒 大さじ1

・昆布 5㎝角×2枚

・水 3カップ(600cc)

・味噌 大さじ2程度

・塩 少々

〈作り方〉

1.昆布と水を土鍋に入れて、30分以上置いておく。

2.魚は一口大に切り、塩少々を振ってしばらく置く。表面に出てきた水分を、キッチンペーパーなどで拭き取る。

3.長ネギは斜めの薄切り(白い部分と青い部分に分けておく)、にんじんはいちょう切り、生姜は薄くスライスしておく。しめじは石づきを取り、ほぐしておく。

4.1の土鍋に、長ネギ(白い部分)・にんじん・生姜を入れて火にかける。

5.沸騰したら弱火にして、魚としめじを加える。火が通ったら、長ネギ(青い部分)を加えてさっと煮て、火を止める。味を見ながら、味噌を溶かす。

土鍋の味噌汁のできあがり。食べているうちに、身体の芯からポカポカと温まってくる。

毎日の味噌汁が「ごちそう」に

土鍋で作るだけで、普段の味噌汁が格段に味わい深くなる。昔から人々に親しまれてきた名道具には、その理由があるなぁと感心してしまいます。

ちょっと疲れたなぁという時にも、ここぞという時にも。

毎日食べる料理が手軽に美味しく作れたなら、これはもう最高ですね。具だくさんの味噌汁はそれだけで「ごちそう」ですし、一汁一菜のシンプルなごはんでも十分に満足できます。

自宅の棚に眠っている土鍋があれば、引っ張り出してみましょう。

心も身体も温まる土鍋の味噌汁、まずはお試しでぜひ作ってみてくださいね。

書いた人

バックパッカー時代に世界35カ国を旅したことがきっかけで、日本文化に関心を持つ。大学卒業後、まちづくりの仕事に10年以上関わるなかで食の大切さを再確認し、「養生ふうど」を立ち上げる。現在は、郷土料理をのこす・つくる・伝える活動をしている。好奇心が旺盛だが、おっちょこちょい。主な資格は、国際薬膳師と登録ランドスケープアーキテクト(RLA)。https://yojofudo.com/