子どもの頃に外から帰って来ると、母親からよく洗面所に行くように言われました。小学校では級友と並んで一斉にやってましたね。
今はコロナウイルス感染拡大防止のために、手洗いと共に推奨されていますが……。そう、答えは「うがい」ですね!
嗽の歴史は古かった!
風邪予防で知られている嗽ですが、コロナウイルスにも劇的ではないにせよ、一定の効果があると言われています。嗽によって喉や口を清潔に保つことで、コロナウイルスにかかりにくい状態になったり、症状を軽減させたりするのだとか。
日本でよく知られている嗽は、欧米では習慣になっていないようです。それは近代まで効用が信じられていなかったことが関係しています。一方日本では、平安時代後期の公家・藤原忠実(ふじわらのただざね)の談話をまとめた『中外抄』や、鎌倉時代初期の歴史物語『水鏡』に嗽の用例が見られます。こんなに古くから行われていたとは驚きですね!
夏の風物詩・鵜飼いからきていた?
嗽の語源は、なんと「鵜飼い」からきていると言われています。水を口に含んで吐き出すのと、鵜が魚を飲んで吐き出す行為と似ているからなんだそうです。面白いですね!
京都の嵐山で毎年夏の時期に行われる鵜飼いは、風物詩として知られています。鵜匠が風折鳥帽子(かざおれえぼし)に腰みのをつけた昔ながらのスタイルで、船上から手綱を引き、数羽の海鵜を飼い慣らして鮎などの川魚を捕る伝統的な手法です。この嵐山の鵜飼は長い歴史があり、千年の昔から行われてきました。
夜間に行われる鵜飼いは、小船の舳先(へさき)で焚かれるかがり火が幻想的なムードを醸し出します。これは照明としてだけでなく、魚を驚かせる役割があります。かがり火の光に驚いた魚が驚いて動きが活発になり、反射した魚の鱗を目印に鵜が捕まえやすくなるからです。屋形船に乗船して鵜飼いを見学すると、平安時代にタイムスリップしたような気分が味わえそうです。
お茶嗽が静かなブーム
お茶所として知られている静岡県では、お茶を飲むだけでなく嗽にも使用することがあるそうです。小学校の給食では緑茶の入ったやかんが各クラスに置かれ、風邪やインフルエンザが流行する時期になると、給食を食べる前にお茶嗽をするのが習慣だとか。最近では研究によって、緑茶カテキンにはインフルエンザ感染抑制作用のあることが明らかになっています。
このインフルエンザに効果があることから、コロナウイルスにもいいのではと、お茶嗽をする人が増えているようです。残念ながら科学的な効果は、まだはっきりとは解明されていません。水嗽に飽きたら、気分を変えて緑茶嗽を試すのもいいかもしれませんね。