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2019.11.20

島根「薬師湯」を3倍楽しむポイントを紹介!非日常に浸れるカフェやギャラリーも

この記事を書いた人

温泉の質がずば抜けてすばらしいところが多いので、秘湯や古湯が大好きな私。
私のような人は、やがては野湯を追い求めて、野生動物と一緒に湯につかるらしいです。それはそれで、とってもステキな体験だから、いつか味わってみたいけど、そこまでしなくても味わえる非常にすばらしい泉質の最高級天然温泉に出会いました!

温泉だけでも非常にすばらしいのに、その他にも沢山の魅力に溢れているので、良い思い出もあふれる程いっぱい。
今回は、島根県太田市の温泉津(ゆのつ)温泉内にある「薬師湯」へご案内いたします。

1300年を超える歴史と由緒がある「温泉津温泉」


まずは、「温泉津温泉」という看板の「温泉」の文字が2回も出てくるインパクトが強い漢字の並びに目が釘付けに。「温泉津」と書いて、「ゆのつ」と粋な読み方をするんですね。

温泉津温泉は、修行のために旅をしていた僧が、この地にある野湯に浸かってケガを治している大きなタヌキを偶然見つけたのがきっかけで開湯した温泉とのことです。
そのすばらしい泉質と効能の高さから「湯治場」としても全国でも高い評判を得ています。


近くには石見銀山もあり、戦国時代から江戸時代にかけて、そこで産出された銀の積出港の一角にあった温泉津温泉は、山陰街道の宿場町にもなっていたことで、非常に栄えていた歴史も残っている温泉地です。


そんな温泉津温泉は、江戸時代の街並みの面影が残る趣のある風景も高く評価されています。その証拠として、2004年(平成16年)には、温泉街としては日本で唯一、「国の重要伝統的建造物群保存地区」に選定、2007年には、石見銀山と一緒に「石見銀山遺跡とその文化的景観」として世界遺産にも登録されています。

温泉津温泉には、「元湯」(2019(令和元)年12月16日まで改修工事で休業中)と「薬師湯」の2つの日帰り温泉が明治時代の初期からあり、どちらも人の手が全く加わっていない源泉100パーセントの非常に優れた泉質となっているので、薬効の高さも実感できます。2つの温泉は泉源がそれぞれ異なっているので、泉質は多少異なるようです。

温泉津温泉「薬師湯」を3倍以上楽しむ方法!


私が真っ先にむかった温泉津温泉「薬師湯」には、日帰りで温泉が楽しめる「薬師湯」の建物に加えて、その隣には薬師湯旧館を利用したカフェ&ギャラリーの「震湯カフェ 内蔵丞(くらのじょう)」、そして、薬師湯から徒歩で4分くらいの場所にある別館の宿泊施設「温泉津庵(ゆのつあん)」があり、この3つは全て「薬師湯」の施設になっているんです。

これら3つの施設を持つ「薬師湯」は、古き良き時代の文化と新しい時代の文化がうまく融合し、まさに、「現代版の湯治場」となっており、様々な非日常を味わえる空間とおもてなしであふれる魅力満載のスポットです。
それでは、この3つの施設の魅力をご紹介します!

その1:大地の恵み満点の最高級天然温泉「薬師湯」


ここへ来る途中、駐車場を間違ってしまい目の前に薬師湯が無いので電話をかけたら、忙しい最中、外にわざわざ出て待っていてくれたスタッフの女性。不安になってた心がほどけるような満面の笑顔で迎え入れてくれて、駐車場へ案内してくれました。
この温泉のオーナーであり名物女将の「湯婆婆」こと、内藤さんをはじめ、スタッフ全員がとっても親切でしたので、おもてなしの心遣いを最初から随所に感じ、感動と感謝でいっぱい。

上の写真にある昭和レトロでかわいい外観の建物が「薬師湯」。入り口の上にある綺麗なステンドグラスは旧館にあったものとのこと。入り口を入るとすぐに番台のような受付があり、そこで料金を払い、入浴方法のアドバイスを受けてから温泉入り口へ!

全国で19か所のみ!日本温泉協会の新基準評価で最高評価の「オール5」!!

温泉津温泉「薬師湯」は、日本温泉協会の新基準による評価で、全項目において最高評価の5を2005年9月に取得している泉質が最高級の天然温泉。これを目当てに遠方からやって来る人も多いです。

当時、オール5を取得できたのは全国で11か所でしたが、現在でもまだ19か所のみ。
「万病に効果がある」と言われている程の豊かな効能の素晴らしさから、被爆者の治療に活用された歴史もあるほど。非常に優れた効能を期待でき、自然の恵みとパワーもたっぷり授かれます。

湯船の周りに咲く美しい「湯の花」


温泉の扉を開けて真っ先に感動したのは、湯船の周りに咲く「湯の花」!
歴史を感じさせる幾重にもなっているこの湯の花は、まさに自然が生み出したアート作品の様。自然の素晴らしさや美しさも感じました。
この温泉名物の1つにもなっているこの光景は、温泉の成分が固まってできたもの。人の手が加わっていない生の野性味あふれるお湯の力強さも感じます。
この湯の花の美しさに魅せられて遠方からやって来る人も少なくないとのこと。
温泉好きには特にたまらない光景の1つです。

源泉から近いフレッシュなお湯が100%かけ流し

薬師湯の泉源は、この温泉施設のすぐ真後ろにあり、地下2m~3mの場所から自然に湧出しています。
温泉の湯の色は、ブラウン系だったり、ゴールドからエメラルドグリーンのような色に変わったりすることもあるそう。
これは、泉源から非常に近く、野湯の様に全く手を加えていない100%かけ流しの天然温泉だからこそ楽しめる現象の1つで、湧き出たばかりのフレッシュな湯が空気に触れるたびに、時間帯や季節によって色が異なるらしいです。

温泉ソムリエ家元のお墨付き「ダブル美肌の湯」

薬師湯は源泉が46度ほどの高温でありながらも(湯船の手すり側は42度程)、驚いたことに、炭酸ガス成分も多く含まれているので、炭酸泉の効能も期待できます。日によっては、湯の中に炭酸の泡を見ることができる日もあるとのこと。
これも人の手つかずの泉源がなせる業。

炭酸ガス成分とメタケイ酸も豊富な薬師湯には、肌の新陳代謝を促進しピーリング効果を促す効果と、肌を保湿し保護する効果の両方が高い「ダブル美肌の湯」。
温泉ソムリエ家元の遠間和広氏のお墨付きでもある「ダブル美肌の湯」は、まさに天然の美肌水。

上がり湯をしたら、シャワーを浴びずにそのまま出るのがおすすめ。
天然の美肌水をシャワーで流してしまうのはもったいないですよ~。
お風呂上りは、もちろん、化粧水いらずでした。
毎日入りたい様なすばらしいお湯に感動、そして、感謝!

「島根のフィレンツェ」に癒されてみない?

湯上り後は、この温泉の建物内の2階のサロンスペースと3階の屋上テラスで優雅に無料で休憩をすることができます。

私は、この休憩所のことを全く知らなかったので、湯上り後、そのまま帰ろうとしたら、おもてなしの笑顔と心遣いに溢れたステキな女将の内藤さんに「2階サロンと3階テラスに休憩スペースもあるんですよ!セルフサービスの美味しいコーヒーも無料ですので、コーヒー片手にテラスから見える島根のフィレンツェも是非、楽しんでいらして。隣の旧館のとんがり屋根もステキなのよ!」と声を掛けていただき、早速「島根のフィレンツェ」に会いに上階へ!

2階のステキなサロン(上写真)でも建物の出窓部分からこの街の景色を楽しめます。そして、3階屋上のテラスへ出ると、「なるほど!島根のフィレンツェ!!」。

まず、隣にある1919(大正8)年に建造された木造洋館の旧館の薬師湯(現在は、震湯カフェ 内蔵丞)にある珍しい「とんがり屋根」がとっても日本離れをしていて、時代を超えてオシャレでかわいい!ジブリアニメに出てくる建物みたい。

そして、このエリア、石見地方の特産品となっている赤茶色の石州瓦(せきしゅうがわら)の屋根が、下の写真で見るよりもず~っとはるか遠くまで続く町並みは、フィレンツェのテラコッタの瓦屋根を思い起こさせますよね。

町割りがほとんど江戸時代のまま現在も残っているので、屋根同士が重なっている光景も温泉街として日本で唯一「国の重要伝統的建造物群保存地区」に選定されている温泉津温泉ならではの光景です。
また、薬師湯の3階テラスから眺められるこのエリア一帯の美しい眺めは、「石見銀山の新百景」にもなっているそうです。
薬師湯へ行った際には、この趣のある美しい眺めにも是非、癒されてください。


日中の景色も情緒がありステキですが、薬師湯を中心にオレンジ色っぽい明りに灯された暖かな雰囲気の夜の風景もノスタルジックでステキです。
オレンジ色の夜景と言えば、パリの街灯もオレンジ色。オレンジ色の夜のパリを思い出しました。色々な意味でノスタルジックに浸れるこの街の夜の空間も魅力的。

温泉津温泉「薬師湯」の基本情報

温泉津温泉・薬師湯 基本情報
住所:島根県大田市温泉津町温泉津ロ7-1
電話番号:0855-65-4894
営業時間:平日 8:00〜21;00、土日祝 6:00〜21:00
料金:大人350円、小学6年までの子ども200円
アクセス方法は、コチラ

その2:カフェ&ギャラリー「震湯カフェ 内蔵丞」


のどが渇いたりお腹がすいたら、薬師湯のお隣の「震湯カフェ 内蔵丞(くらのじょう)」へGO!

このカフェ&ギャラリーは、1919(大正8)年に建てられたステキな木造洋館の旧薬師湯を利用して営業されています。かつては、この建物の地下に薬師湯の温泉浴場があり、この建物は地元の人々が集う憩いの場にもなっていた歴史もあるとのこと。

現在は、この建物の右側が、かつての女湯を再利用したギャラリーとなっていおり、左側が、男湯の更衣室を再利用したカフェ内蔵丞となっています。この建物は、温泉津に現存する温泉施設としては、最古のものだそうです。

また、ユニークな名前の「震湯カフェ」にある「震湯」とは、1872(明治6)年に起きた浜田地震で温泉が自然に湧き出て薬師湯の泉源となったことに由来しているらしいです。

大正ロマンあふれる非日常の癒しの空間


このカフェは外観もすばらしいですが、中へ入っても、見どころもフォトスポットも満載。
年代物のアンティークのすばらしい家具調度品に囲まれている内装は、大正ロマンと昭和レトロがうまく融和した非日常の落ちついた癒しの空間となっています。

特に見逃せないのが、天井(写真上)。
この天井は大工の巧の技が要求される組み込み式になっているので、釘が1本も使われていません。この天井は現存する古い洋館でも珍しく希少とのこと。
建築好きの方にも見逃せないスポットの1つです。

いざ出陣!名物「温泉津の奉行飯」


このカフェで絶対外せないのが、人気名物メニューになっている「温泉津の奉行飯」。

元々これは、女将の内藤さんの家で代々口伝されているメニューとのこと。1570年に毛利元就に温泉津の奉行として内藤家が任命され、初代の内蔵丞から代々伝わっている出陣の際に食べたものだそうです。

これをカフェバージョンにアレンジし、さらに、温泉水を使用した季節の蒸し野菜と温泉卵がそえられています。奉行飯のご飯の上には鶏肉をはじめ、錦糸卵、人参などの様々な具材がのっており、お出汁のスープと一緒に混ぜて食べます。

薬師湯に入った人の多くが、このメニューを食べるのもセットにしている程、定番化している人気メニュー!

「震湯カフェ 内蔵丞」の基本情報

住所:島根県大田市温泉津町温泉津ロ7-1
電話番号:0855-65-4126
営業時間:11:00〜17:00
定休日:木曜日

その3:別館の宿泊施設「温泉津庵」


温泉津温泉「薬師湯」は日帰り温泉のイメージが強いため、意外と知られてないのが、「温泉津庵」。
しかし、現代版湯治場にもなっている「薬師湯」には、この温泉施設から徒歩でわずか4分ほどの場所に宿泊施設の「温泉津庵」があるんです。
ご存知でしたか?

この宿泊施設は原則、1日、1グループ(2人~4人)での利用となっているので、一棟貸し状態!
自宅でくつろぐように、のんびりできるんですね。
宿泊中は、薬師湯の一般浴の入浴は無料となっています。


この宿泊施設は、温泉旅館の様に朝食時間が決まっていないので、好きなだけ朝寝坊して自分のペースでゆっくり過ごせるのも醍醐味。朝食も冷蔵庫に入っているそうです。
さらに、心地よい安眠ができるナノ技術で開発されたプラチナフォトンの布団も用意されているとのこと。
プラチナフォトンは最先端医療にも注目されており、体内の自然治癒力の強化も促してくれるらしいです。

現代版湯治場にもなっている「薬師湯」では、温泉に浸かるのみの従来の湯治場とは異なり、適度な運動、自然とのふれあい、観光や文化・芸術的な活動も交えて、トータルバランスで、心身共に健康を増進しさせたり、未病を防いだりと心身のバランスを築ける空間やサポートが提供されています。地域で行われている健康増進などのための様々なプログラムに参加することも可能らしいので、興味のある方は、予約の際に色々と尋ねれば、色々と案内をしてもらえることでしょう。

「温泉津庵」の基本情報

住所:島根県大田市温泉津町温泉津54
電話番号:0855-65-4894
チェックイン:15:00~
チェックアウト:10:30
料金:大人8500円~、子供2000円~
WEB:温泉津庵について

書いた人

猫と旅が大好きな、音楽家、創作家、渡り鳥、遊牧民。7年前、ノラの子猫に出会い、人生初、猫のいる生活がスタート。以来、自分の人生価値観が大きく変わる。愛猫を連れ、車旅を楽しむも、天才的な方向音痴っぷりを毎度発揮。愛猫のテレパシーと自分の直感だけを頼りに今日も前へ進む。