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2020.02.13

京都タワーのモチーフとは?歴史・楽しみ方・神社の場所・キャラクターなど紹介

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しばしば勘違いされていますが、そのモチーフは「和ローソク」でなくて、「灯台」です。

なんの話かと言いますと、JR京都駅前にそびえ立つ京都タワーのことです。各地のテレビ塔のような無骨なタワーとも、東京スカイツリーのような現代的なタワーとも違う、印象的な形をしたそれは、海のない京都を照らす灯台をモチーフに設計されました。

京都市中心街のランドマークとして親しまれてきたこのタワーは、2019年の暮れに竣工55周年という節目を迎えました。そこで、建設当初からの歴史と今をまとめてみましょう。

構想から竣工まで

京都タワーのおおもとの構想が生まれたのは、戦後の復興が一段落し、京都市を「国際文化観光都市」として躍進させるという、市の方針が決まって間もなくのことです。

京都駅の正面にあった中央郵便局が移転し、この敷地を「最も公共性に富む産業、文化、観光の一大センターとして活用し、京都市の将来の進展に寄与することを目的として」株式会社京都産業観光センター(現、京阪ホテルズ&リゾーツ株式会社)が設立、同社によりこの地にビルを建てることが決まります。

ビル建設の最初の構想段階では、高さ100メートルに及ぶ展望室をそなえたタワーは想定していませんでした。当時の重役の1人が横浜のマリンタワーから着想を得て、専門家に打診したところ、ビルの屋上にタワーを建てることは可能との見解が示され、タワーが建設計画に取りこまれました。

何案もの設計を検討したのち、「古都の玄関を飾るのにふさわしい形」ということで今の形状に決定、設計したのは、モダニズム建築の巨匠で日本武道館なども手掛けた建築家・山田守です。

1963年2月に工事が開始されます。建設作業は急ピッチで進められ、その年の11月にはビル全体の組み立てが終わりました。

明けて1964年の2月、いよいよタワーの建設が始まります。既存のタワーと違い、ビルの上に100メートル、800トンもの構造物を建てるということで、工法には特別の工夫がこらされました。一番ユニークなのは、東京タワーなどに見られる、鉄骨を組み合わせたトラス構造ではないという点です。代わりに塔身がシリンダー状の「応力外皮構造」をとり、エビやカニのように殻で体を支えるのと同じような仕組みを採用しました。タワー本体は、4つ割りにされた高さ2.7メートルの鋼板を23段積み重ねて、溶接によってつなぎ合わせて、できています。

竣工・開業の期日として、東京オリンピックの開催に間に合わせるという目標がありました。つまり、この年の10月10日がデッドラインとなります。日本初の工法で難易度の高い工事でしたが、作業は順調に進み、上部の展望室が完成したのは9月10日、全館が竣工したのは12月25日のことでした。そして同月28日に営業が開始されます。

竣工間もない京都タワー(画像:京阪ホテルズ&リゾーツ株式会社)

竣工からの平成の世まで

年の瀬も押し詰まった京都タワーの開業直後は、1日約5千人が来塔。年が改まって1965年の正月三が日だけで3万人を超える来塔者があり、京都の新たな観光地とし早くも芽を出しました。

路面電車が走っていた頃の京都タワー(画像:京阪ホテルズ&リゾーツ株式会社)

おりしも同年9月に大きな台風が襲来。てっぺん近くの風向計が瞬間風速51メートル/秒を記録しますが、一般建築物がもつ設計安全率を2倍以上も上回る値を想定したおかげで、びくともしませんでした。この後も、激しい台風に何度か見舞われ、阪神大震災では大きな揺れを経験するものの、損傷はなく安全性の高さを証明しました。ただ、1993年公開の映画「ゴジラVSメカゴジラ」で、ゴジラの吐く熱線にあえなく破壊されています(もちろんフィクションですが)。

開業3年目の1967年には、展望室に上った人の数は200万人を達成。以後しばらくの間は、ほぼ毎年100万人のペースで訪れる、京都の人気スポットとして不動の地位を築きます。その中には、三笠宮崇仁親王殿下やノーベル物理学賞受賞の江崎玲於奈博士など、数々の各界著名人も含まれます。ちなみに、3千万人の大台に達したのは2016年のことです。

2004年には、開業40周年を記念して初のマスコットキャラクター「たわわちゃん」が誕生します。頭が大きくてすぐには気付きませんが、京都タワーをイメージした体形だとわかります。

京都タワーのマスコットキャラ「たわわちゃん」

さて、タワーの下のビルは開業当初から、様々な商用施設として使われてきました。『京都タワーの歩み 創業二十五周年誌』を読むと、オープンした頃は、ツーリスト・インフォメーション・センター京都案内所、2つの銀行、バス営業所、京都タワーホテル、タワー浴場、京都タワーデパート、それにいくつかの飲食店の名が見えます。

浴場があるというのは、意外性あるトリビアかもしれません。こちらは、地下3階の「大浴場~YUU~」として今も健在です。

京都タワー地下にある「大浴場~YUU~」(写真は男湯、画像:京阪ホテルズ&リゾーツ株式会社)

商業フロア(地下1階~地上2階)は、2017年にリニューアルされ、「KYOTO TOWER SANDO」となりました。地下1階は飲食店、1階は主に土産店、2階は干菓子体験教室などのワークショップがあります。そこから上の階は京都タワーホテルとなります。展望室に行くには、下の階からエレベーターで11階に上がり、そこで展望専用エレベーターに乗るかたちになります。

エレベーターで11階に上がると、こんなお出迎えが

「京都タワー階段のぼり」を体験

例年、春・秋には「京都タワー階段のぼり」といって、エレベーターではなく(通常は非公開の)階段を使って11階から展望室に行ける企画があります。

私が京都タワーを訪れた2019年12月28日は、開業記念日ということで「京都タワー階段のぼり」を体験することができました。参加条件は、「体力に自信のある方」とのこと。体力には自信はありますが、355段はなかなかキツい感じがします。とにかく、チャレンジしてみました。

階段エリアは下の写真のように、無骨な構造物に囲まれており、らせん状の階段をひたすら上ります。

ところどころ「歴代の入場券コレクション」といったパネル展示物があります。上るタイムを競うものではないので、こうした箇所で休憩するとよいでしょう。

355段を無事上りきり、展望室に到着。ミネラルウォーターを渡されます。やってみると、体力的にはそれほど大変ではありませんでした。ただ、急ぎ過ぎると、少し目が回ったような感じになるかもしれません。

世界遺産など名所を臨める展望室

展望室は、京都市街の全景を見渡すことができる、360度のガラス張り。鑑賞スポットで人気なのは、やはり世界遺産クラスのお寺です。特に東本願寺は、すぐ近くにあって圧巻の眺め。

東本願寺の伽藍のながめ

数キロ離れた清水寺も、展望室に備え付けの望遠鏡ではっきりと見るこができます。

展望室から見る修復中の清水寺(カメラの望遠機能で拡大撮影したもの)

また、京都駅へとゆっくり近づいてくる新幹線を時折見ることができます。

京都駅へと減速して向かってくる新幹線

晴天の日中は、はるか遠く大阪にある、あべのハルカスが見えることもあるそうです。

京都市で一番高いところにある神社

通常は土・日曜の14時頃に展望室で「たわわちゃん」に出会えますが、実はこのフロアには、「たわわちゃん神社」があります。創建は2014年で、京都市街地で文句なしに一番高い所に位置する神社です。

「たわわちゃん神社」で祈願する「たわわちゃん」

御祭神は金色に輝く「たわわちゃん」

おみくじや絵馬も、展望室内にある自動販売機より授与いただけます。おみくじを結び、絵馬を奉納することもできます。

おみくじ「たわみくじ」(100円)は自動販売機で購入可能

おみくじはカプセルの中に入っています

願いを書き入れた絵馬を奉納するスペースもあり

ライトアップされた京都タワーにも注目

今回は昼間に展望室に上りましたが、夜は夜景を見渡せて、また別の雰囲気を楽しむことができます。また、夜間はタワーの外観がライトアップされ、駅前からのながめはとても写真映えします。

そして、ライトアップの色味は、日によって変わることがあります。展望室に上った日は、「京都タワー階段のぼり」体験者は、ライトアップしてほしい色味を選んで投票することができました。

丸いシールを貼ってライトアップの色味を投票

今回の投票結果は目にも鮮やかなスカイブルー(画像:京阪ホテルズ&リゾーツ株式会社)

京都旅行に来られる方は、特に初めてだと世界遺産に目が行きがちですが、京都駅からすぐの京都タワーも、一度は上ってみたい名スポットだと思います。今度の京都旅行では、こちらも旅程に組み込んではいかがでしょうか。

京都タワー展望室 基本情報

住所:京都市下京区烏丸通七条下る 東塩小路町 721-1
電話:075-361-3215(9:00~20:00)
時間:9:00~21:20(最終入場は21:00)
休館日:なし(年中無休)
入場券(大人):800円
公式サイト:https://www.keihanhotels-resorts.co.jp/kyoto-tower/

書いた人

フリーライター。北国に生まれるも、日本の古くからの文化への関心が抑えきれず、2019年に京都へ移転。趣味は絶景名所探訪と美術館・博物館めぐり。仕事の合間に、おうちにいながら神社仏閣の散策ができるYouTube動画を制作・配信中→Mystical Places in Japan