沖縄の離島といえば、青い海と白い砂浜、サンゴ礁にトロピカルフィッシュ。宮古島、石垣島、西表島、竹富島あたりを思い浮かべる人が多いかもしれません。特に宮古島と石垣島は首都圏や関西からの直行便があり、身近な離島として人気です。ですがこの2つの島の間にある小さな「多良間島」をご存知の人はどれだけいるでしょうか。宮古島と石垣島の間に浮かぶ平べったい多良間島は、隆起サンゴ礁から成る人口約1,100人の小さな島。島に信号はひとつだけ。島内の宿泊は民宿が中心で、リゾートホテルやビジネスホテルはありません。そしてこの小さな島には、日本人が読めない日本語が存在するのです…。
そんな不思議な多良間島を訪ねてきました!
多良間島ってどうやって行くの?
多良間島へは宮古島からアクセスします。フェリーなら1日1往復で片道約2時間、空の便は宮古空港から琉球エアーコミューターが1日2往復運航していて、約25分のフライトで到着。
フェリーは日曜日は運休で、「牛セリ」の日などにはダイヤが変更になりますので事前にホームページで確認しましょう。多良間島は観光地としてほとんど開発されておらず、島民の生活中心に物事が進むというのも魅力のひとつです。
空港からの移動はお宿の送迎が基本。タクシーはありません。宿に予約を入れるタイミングで送迎について聞いておきましょう。
※飛行機・フェリーの離発着時のみ運行している村営バスあり
多良間島と水納島からなる多良間村は宮古郡に属し、宮古島でお馴染みの「まもる君」も赴任しています。空港の前の道路には多良間まもる君(つよし君)がみんなの安全を見守っています。まもる君コンプを目指している人は、ここが最終巡礼地になる人も多そうですね。
多良間島の歩き方
多良間村は「日本で最も美しい村」連合に加盟していて、昔ながらの集落を中心としたのどかな島の原風景が残ります。観光用に作られたスポットというものはほとんどありませんが、その分自然を満喫できる環境が最大の魅力。多良間島には信号はひとつしかなく、集落から出ればサトウキビ畑が広がるばかり。道の脇には南国の花々が色鮮やかに咲いています。サトウキビ畑の道もハイビスカスの道も、「この場所」というものがなく、島を普通に歩いていると出会える景色。ほとんど起伏のない島なので、レンタカーやレンタルバイクよりも、泊まっている民宿で自転車を借りて散策するのがおすすめです。
島には沢山のヤギがいますので、のんびりと走りましょう。ロープで繋がれていますが、ロープが長いので通せんぼされることも(笑)
無理に通ろうとするとヤギもびっくりしますので、そんな場合には違う道を探すくらいの余裕を持ちましょう。
島のスーパーには多良間島の黒糖をふんだんに使った無添加の「多良間ジェラート 黒糖」が売られています。かなり濃厚ですので、サイクリング後には飲み物でまず喉を潤してからゆっくりとお楽しみください。
パッケージは村の中学生が制作に協力したかわいいデザインです。人気のため品切れのこともあります。あったらラッキーかも?
島の一周は約20km。島を一周することができる一周道路が海沿いを走っています。集落は島の北側に位置し、無数の農道が放射状にのびて “トゥブリ” と呼ばれる海への出入口に達しています。
楕円形の平らな多良間島では、島の西側に行けばどこからでも素敵な夕景に出会えます。前泊港や集落から比較的近い「ふる里海浜公園」でもこのような夕景を独り占めできますよ。多良間島には観光客はほとんどおらず、どこのビーチも貸切状態。言うまでもなく、海の美しさは時間を忘れて見入ってしまうほどです。
海と夕日の美しさに夢中になるあまり、すっかり暗くなってしまった…ということがないように注意してください。多良間島には繁華街やネオンの灯りはありません。場所によっては街灯も。スマホの電波も入りにくい場所もあり、地図アプリが役に立たないことも時々起こります。完全に暗くなる前に集落に戻るようにしましょう。
その代わり、星空の美しさは抜群です!集落からでも吸い込まれるような満点の星空を見ることができます。
地図に書かれた不思議な日本語
多良間島に着いたら、島の地図を手に入れておきましょう。表は多良間島全体の地図、裏は集落を中心とした地図になっています。
ん…?ちょっと待って、印刷ミスか!?
「ム゜」?
「リ゜」?
このような表示が島の地図に何ヵ所も。これは印刷ミスではなく、もしかしたら島民だけが使っている言語なのか…!?
ナカドゥマリ゜、シュレーウガム゜、ケーシャリ゜、アガリ゜タカーナ…
よ、読めない(涙)
困った時のふるさと民俗学習館
多良間村独特のことばは、一般の表記では困難な特殊音があるらしいのです。それらは下の歯の裏に舌の先をつけたり、唇を閉じて発音したりと、昔はじめて外国の言語に触れたあの戸惑いを思い起こさせます。「ム゜」や「リ゜」などは聞き慣れていない私たちの耳では、ほとんど聞き取れないような弱い発音。文字で見るよりも実際に島の人に聞いてみたほうが早いので、集落の外れにあるふるさと民俗学習館で聞いてみるといいでしょう。
館内には多良間村の昔の暮らしぶりや、国の重要無形民俗文化財に指定されている八月踊りについても学ぶことができます。
「捜しています」
迷子のペットでも探しているのかと思いきや、50年前の目撃証言を最後に姿を消した日本最大のヘビの捜索!!沖縄の離島にはよくあることですが、希少な動植物であっても島の人に聞くと「ついこないだまで庭の裏でフツーに見たさー」なんて言われることもあるそうです。
行くなら今!開発の手が及んでいない多良間島
リゾートホテルもカフェもない多良間島。訪れるのは仕事関係の人がほとんどで、それ以外はダイバーや釣り目的の人がたまに訪れるのみ。実際に私が泊まった民宿の部屋も、お隣は電力会社、その向こうは土木関係の職人さんと、生活に必要なお仕事の人々。いつかはこののどかな多良間島も観光開発される日が訪れるかもしれません。「どこに行っても観光客だらけ!」とお嘆きのあなた、今行くなら多良間島ですよ!人のいない美しいビーチや、漆黒の闇に広がる満点の星空をお楽しみください!
多良間島へのアクセス
琉球エアーコミューター
フェリーたらまゆう
多良間村ふるさと民俗学習館の基本情報
住所:沖縄県宮古郡多良間村字仲筋1098-1
アクセス:八重山遠見台の近く
入館料:200円