「聖地」天橋立を大胆ライトアップ!情熱が実を結んだ「天橋立まち灯り」を徹底レポート

「聖地」天橋立を大胆ライトアップ!情熱が実を結んだ「天橋立まち灯り」を徹底レポート

「日本三景」の一角を担う、言わずと知れた京都北部の特別名勝「天橋立」。名前のとおり天にかかる橋のような絶景を眺めるべく、全国から多くの観光客が訪れる人気の観光スポットです。地元の人たちをして「聖地」と言わしめるほど格式が高く、落ち着いた厳かな雰囲気から年配の方々を中心に支持されてきました。

しかし、近年ではそんな天橋立を若者にも気軽に訪れてもらうべく、天橋立の砂浜を中心に町中をライトアップする「天橋立まち灯り」というイベントが開催されていることをご存知でしょうか。

「天橋立に行ってみたいけど、高尚すぎて気が引けてしまうかも……」と思ってしまう皆様。幻想的にライトアップされる天橋立を見れば、きっと心理的なハードルもグッと下がるはずです!

日中とは全く印象が変わる天橋立ライトアップ

今回は、京都丹後鉄道の天橋立駅がある「文珠エリア」からライトアップを見学しました。入り口そばにある「智恩寺」の山門が早速照らされていますね。後述する砂浜のライトアップは夏季限定ですが、こちらは年間を通して美しい夜景が楽しめるそう。

砂浜へ続く道も明かりに照らされており、名物の松並木も日中とは異なる姿を見せてくれます。

そして、いよいよメインの砂浜に到着します。砂浜のライトアップは青系の色や、赤系の色など、だいたい7色に光るとのこと。

加えて、約10分に1度、ライトが点滅したことを合図に原摩利彦さん作曲のアンビエントな音楽が流れ、ライトアップと合わせて幻想的な雰囲気に彩られます。

このように大変美しく、落ち着いた気分にさせてくれるライトアップ。しかし、2020年は新型コロナウイルスの影響でイベントをかなり縮小しているとのこと。

例年は8月終わりの土日に砂浜で地元こだわりの店舗が集結し、料理が振る舞われるビーチサイドバー「Les Pins」がオープンしていたそう。

Les Pinsオープン時の様子(提供:海の京都DMO)

他にも夏の日曜日にはナイトクルーズやライブに加え、文珠エリア全体を「和の傘アカリ」や「まちなか行燈」が照らしていました。

和の傘アカリ点灯時の智恩寺(提供:海の京都DMO)

今年はそうしたイベントを体験できなかったのが残念でしたが、ライトアップだけでも旅の疲れをいやすことができました。「インスタ映え」する景色なのも間違いなく、女性やカップルにもオススメしたいイベントです。

ライトアップが実現するまでの道のり

これまで、若者には少しハードルの高かった天橋立観光を、一気に身近なものにしてくれた天橋立ライトアップ。しかし、地元の人たちに「聖地」として愛され、国定公園に指定される天橋立で大規模なイベントができるようになるまでには、苦労も多かったようです。

(提供:海の京都DMO)

今回、天橋立ライトアップと後述する旅館「対橋楼」でお世話になった同旅館の支配人・幾世健史さんが、現在に至るまでの道のりを語ってくれました。

このライトアップは、2020年で6年目を迎えるそう。天橋立は言わずと知れた観光の名所でしたが、昼間の賑わいに対して夜間に営業している店がなく「夜間の人出が極端に少ない」という弱点を抱えていました。そこで、夜の人出を増やしつつ天橋立らしい街づくりを目指し、行政と住民の思いが一致したことで計画がスタート。

しかし、「聖地であり、国定公園の天橋立に傷をつけてはいけない」という制約がありました。そこで、ライトアップに必要な機材を地中に埋める際は、機械を使わず手掘りで作業をしたそう。もちろん、ライトアップ期間後の撤収作業も手掘りでした。手掘りで進めることになったのは、先の制約や予算的な部分に加え、最初は文字通り「手探り」の状態だったためです。

ただ、1年目の工程をすべて終えたところ「さすがに手掘りはシンドすぎる……」となり、2年目以降は細かい作業を除いて重機を導入しました(現在は、地元業者のご厚意で格安にてお手伝いしてもらっているとのこと)。

また、10月以降の紅葉が美しい時期には今回ご紹介した文珠エリアの対岸にあたる府中エリアにて、景勝地の「成相寺」を中心にライトアップされるそう(加えて、この時期には天橋立エリア各所でアーティストによる幻想的な「光のアトリエ」イベントも予定されているとのこと。こちらのページで情報が順次解禁されていくようなので、続報を待ちましょう!)

成相寺紅葉ライトアップの様子(提供:海の京都DMO)

機材の移動などで手間もかかりますが、これらは「天橋立観光を盛り上げよう!」と本当に熱意のある人たちだけがかかわるイベントなのだそう。「『天橋立は何もない田舎だ』と出ていってしまう若者もいますけど、天橋立にしかないものは絶対にあり、それを地元で作っていきたい」という言葉が印象的でした。

その言葉通り、ライトアップ事業は地元の人たちなどとボランティアで運営されています。こうした熱意が実を結び、昨年ビーチサイドBARでは2日間でなんと約400万円もの売り上げが出たとか。国定公園ということで厳しい制限もありますが、「天橋立や地域の活性化・人の輪の広がり」をコンセプトにその趣旨に賛同してくれる人たちだけで行い、「お金になるから」というだけで参入を希望する人たちは受け入れてこなかったと語ります。

得た売り上げはすべて天橋立を盛り上げるための予算に充てられ、イベント終了後はイベント前よりも天橋立をキレイにして撤収しているそう。

ライトアップは、地元の人たちの、観光客の、何より天橋立の役に立つ「三方よし」の事業に成長していたのです。

天橋立砂浜ライトアップの詳細情報

ここまで紹介してきた天橋立ライトアップは、2020年7月11日(土)~9月30日(水)までの期間、毎晩19:00~22:30に開催中です。ただし、先ほども書いたように、2020年夏は例年行われている砂浜ライトアップ以外の各種イベントは開催されていないので、ご注意を。

また、夜の幻想的な雰囲気に惑わされがちですが、ライトアップされる場所は「砂浜」です。天橋立も普段は海水浴場になっているれっきとした海なので、基本的に海辺を想定した格好で出かけるとよいでしょう。私は砂浜だということをスッカリ忘れてメッシュ状のクツで出かけてしまい、宿に帰ってきたときには中が砂だらけでした。後で知ったのですが、私が砂だらけにしたクツは宿で幾世さんが砂払いをしてくださっていたよう。「高級旅館の心遣いは素晴らしいなぁ」と感銘を受けた次第です。

……と、キレイに締めてはみたのですが、皆さんはクツを砂だらけにして旅館の方を煩わせてはダメですよ(もちろん、自戒の念を込めて言っております)。砂浜ライトアップを見にいく際には、なるべくサンダルなど砂汚れを払いやすいクツで出かけることを推奨します。

ライトアップ鑑賞後は旅館「対橋楼」で一泊

ライトアップの鑑賞後は、天橋立の名物「廻旋橋」のすぐそばにある旅館「対橋楼」に宿泊しました。

この宿、もともとは天橋立名物である「智恵の餅」を売る「勘七茶屋」として営業していました。そして、明治元(1868)年に勘七茶屋の向かいに宿をオープンし、現在に至ります。

現在でも宿泊者には智恵の餅が振る舞われます

宿として開業から150年以上が経過しており、天橋立をこよなく愛した与謝野鉄幹・晶子夫妻が宿泊したことも。彼らの功績をたたえ、宿内には「晶子の部屋」というミニギャラリーが設置されています。

食事は地元・丹後の食材を生かしたメニューが月替わりで提供され、旬の食材を心ゆくまで満喫できます。

また、江戸時代には北の海産物や米を上方に、上方の酒や塩を北国に運ぶ北前船の運航が盛んだったこともあり、当時の雰囲気を「北前船 名酒めぐり」という形で体験できます。「種類が多すぎて選べない!」という方のために、20種類を超える日本酒の中からお好みの3種を飲み比べられるメニュー「北前船の三名酒(税抜1300円)」も用意されています。

客室はわずか10室と「密」を避けやすいつくりになっており、今回は「なでしこ」という客室に宿泊しました。

目の前で「廻旋橋」を一望でき、眺めがたいへん素晴らしい客室でした。

客室から撮影した廻旋橋

家具や雰囲気は伝統的な部分を守りつつ、空気清浄機やウォシュレットを完備する部屋で、初めて格式高い宿に宿泊した私でも快適に過ごすことができました。

今回宿泊したプランは、食事込で税抜17000円になります。

・天橋立に一番近い宿を探している
・部屋からの眺めにこだわりたい
・歴史と伝統を感じられる旅館が好き

という方には、ぜひオススメしたい旅館です!

対橋楼 基本情報

店舗名: 対橋楼
住所: 626-0001 京都府宮津市天の橋立回旋橋畔
公式webサイト: https://taikyourou.com/

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