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Gourmet
2017.05.31

江戸前料理の代表格「楽亭」のえびの天ぷらをつくってみましょう!

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油は太白胡麻油(たいはくごまあぶら)に決めていましてひと通り揚げると空けてしまいます

天ぷらは江戸前料理の代表格です。本来、江戸前の天ぷらとは、東京湾で獲れた魚介類を揚げるという意味でした。くるまえびをはじめ、きす、あなご、ぎんぽ、めごち、小柱(ばかがいの貝柱)などが江戸前のネタです。中でもくるまえびは、天ぷらには欠かせないもの。どんな大きさの、どのレベルのものを選ぶかが、天ぷら屋さんの個性を決めています。スクリーンショット 2017-05-26 11.44.19

「楽亭」のご主人・石倉楫士(いしくらしゅうじ)さんは、いつも決まった築地のえび屋さんからくるまえびを買います。えび屋さんとはえび専門の仲買店のことで、えびばかりを扱っています。きすやあなごは小物屋さんという別の店から買います。江戸前の材料を揚げるか、生で食べさせるか――まったく違う食べ物に思える寿司と天ぷらですが、違う方法でおいしさを引き出そうという、江戸の料理の両雄なのです。スクリーンショット 2017-05-26 11.49.18
 
ところで、「楽亭」のえびの大きさは見事にそろっています。えび屋さんが石倉さん指定の大きさを心得ていて、そろえてくれるのです。この大きさには意味がありました。「えびの大きさは五匁(もんめ)に決めています。1㎏が38本になる大きさですから、1匹26gぐらいですか。天ぷら屋によって、三匁から五匁まで好みというか、考えがあるんですね。三匁を使う店は、甘くてしっぽまで食べられるえびを出したい店。五匁になると甘みが減るけれども、歯ごたえが出る。えびが小さいと油に負けると思うので、うちでは五匁を使っています」スクリーンショット 2017-05-26 11.52.15
 
えびはポンプで空気を入れながら送られてきます。昔はおがくずに入れてありました。温度が下がるとえびの動きがにぶるので、運ぶのに好都合なのです。冬は砂に潜って冬眠するえびは暑さに弱く、夏は市場に来るまでに死んでしまうのも多いそう。江戸前という言葉からは、近くのものでなければ使えなかった流通事情も見えてきそうです。くるまえびを天ぷらに使うのは東京の好み。その甘さと歯ごたえを最も感じられる天ぷらは、不滅の人気料理です。

えびの天ぷらをつくってみましょう

1,えびの殻を剝き背ワタも抜く

えびの頭と胴をそれぞれ左右の手でしっかりと持ち、頭をひねりつぶすようにして取る。脚もちぎり取る。背ワタを引っ張って抜き、殻を剝く。尾の上にあるケンと呼ばれる三角の部分を取る。尾の先を包丁で切り、中の水をしごき出す。これは揚げているうちに、尾の中の水が膨張して破裂しないようにするため。スクリーンショット 2017-05-26 13.14.43

2,腹側に包丁目を3本ほど入れる

先ほど背ワタを取ったが、念のために目打ちなどで背ワタの部分を刺して、残っていないか確認する。揚げたときに丸まってしまわないように、えびの腹側に包丁目を横に3本ほど入れる。殻を剝いて30分くらいまでがおいしいので、剝く作業はなるべく揚げる直前に行う。「楽亭」では客が来てから剝くことにしている。スクリーンショット 2017-05-26 13.17.46

3,全卵と卵黄3個入りの卵水を薄力粉に注ぐ

全卵1個と卵黄3個を溶き、水を5合(900㎖)入れて、卵水をつくる。この卵水をふるった薄力粉に入れ、垂れるくらいのやわらかいころもをつくる。卵は火の通りをよくするために、入れている。別のボウルに、えびに最初につける薄力粉を用意しておく。薄力粉をつけることで、えびところものなじみがよくなる。スクリーンショット 2017-05-26 13.22.19

4,ころもはかなり薄めに仕立てる

薄力粉はバイオレットやハートという、普通に売っているものを使っている。卵水を入れた後は、できるだけねばりを出さないように太めの箸でざっくりと混ぜる。石倉さんはきりたんぽの串に自分で細工をしたという太い箸を使っている。薄力粉はすべてが溶けていなくて、だまが残る程度でよい。スクリーンショット 2017-05-26 13.26.41

5,えびにころもをつける

えび全体に薄力粉を薄くつけてから、ころもの中に入れる。腹側に包丁目を入れてあるので、持ち上げると身はほとんどまっすぐになる。ころもがやわらかいから、余分なものは自然に流れ落ちてくれる。鍋はかき揚げを揚げやすいように、平底につくられている。ころもを油に落としたときの散り具合で、温度を確認する。スクリーンショット 2017-05-26 13.32.59

6,180℃の胡麻油で揚げる

油を熱して180℃になったところで、えびを入れる。揚げる時間は1分ほど。徐々にえびから出る泡が少なくなってくる。芯まで火を通す。揚げ玉はこまめにすくっておく。石倉さんは包丁式に使う真魚箸を、天ぷらを揚げるときに使っている。金属製なので、箸先が焦げずにきれいなままなところがいい。スクリーンショット 2017-05-26 13.43.23

※現在お店は閉店しています。