夏の定番メニュー!「ザ・リッツ・カールトン東京」のヴィシソワーズをつくってみましょう

夏の定番メニュー!「ザ・リッツ・カールトン東京」のヴィシソワーズをつくってみましょう

目次

夏の日を涼しくするなめらかな舌触り

夏の冷たいヴィシソワーズ――今ではあたりまえのメニューですが、1917年にニューヨークで生まれたときには、その冷たさが画期的だったはず。東京・六本木の「ザ・リッツ・カールトン東京」では、夏定番のメニューになっています。とろりとした、そのなめらかさの秘密を教えてもらいました。
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じゃがいもとポロねぎ、素朴な材料がおしゃれに

フランスのまん中へんにヴィシーという町があります。ローマ時代から温泉地として知られている所です。フランスでも飲泉は療養のひとつになっていて、温泉水が出る蛇口が町のそこかしこにあり、リラックスした温泉情緒が漂っています。

このあたりでは、じゃがいもとポロねぎでつくるポタージュ・パルマンティエという温かいスープがつくられていますが、これを冷製にしたのが、ヴィシソワーズだといわれています。

ヴィシソワーズとはヴィシー風の、という意味。フランスの田舎のポタージュを都会人好みのおしゃれな料理にしたのは、ルイ・ディアという料理人。今もセレブリティに愛され続ける、ニューヨークのリッツ・カールトンホテルのシェフでした。子供のころ、牛乳を入れて食べたという夏のポタージュにヒントを得てつくり、自分の故郷にちなんで命名したとか。
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「じゃがいもはメークインを使ってください」というのが、「ザ・リッツ・カールトン東京 タワーズグリル」のスーシェフ(副料理長)・葊田安信さんの最初のひとこと。なめらかで、とろりとした状態に仕上げたいので、まずはじゃがいもの選び方が大切というわけです。男爵など、熱が入ったときにほっくり仕上がるじゃがいもだと、ザラザラした仕上がりになりがちです。

「メークインは粘りがあるので、舌触りよく仕上がります。また、この料理は白さも大切です。バターで野菜を炒めるときには焦がさないように、火加減には特に気をつけてください」確かに白さも涼しさのうち、です。じゃがいもとポロねぎ、玉ねぎをミキサーにかけたピュレはベージュなのですが、牛乳と生クリームを入れていくと、夏にふさわしい輝くような白さになっていきます。
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つくり方は、煮込んだじゃがいもなどをピュレにして、クリーム類と合わせるというもので、比較的シンプルです。ただ、シノワと呼ばれるフランス料理用の濾し器がないと、プロのような仕上がりにはなりません。シノワには目がヘリンボーン(杉綾)地のようになっているものや、網が二重のものもあり、ピュレを非常に滑らかな状態にできます。このひと手間が、素朴な家庭料理を洗練されたひと皿に格上げするのです。

ヴィシソワーズをつくってみましょう

1.野菜を薄切りにする

じゃがいも、ポロねぎ、玉ねぎを切る。じゃがいもは粘りがあるメークインを使う。皮をむき、厚さ5㎜ほどに切る。ポロねぎは縦半分に切って、洗ってから薄切りにする。葉と葉の間に土などが入っていることがあるので、半分に切ってから洗うとよい。玉ねぎは縦半分に切り、繊維と直角に薄切りにする。

2.野菜を炒める

底の厚い鍋にバターを入れて、中火にかけて溶かし、じっくりと野菜を炒めていく。固いポロねぎから炒める。全体にバターが回り、しんなりしたら、玉ねぎを加えて炒める。玉ねぎに充分火が入ったら、最後にじゃがいもを入れて炒め、塩で調味する。玉ねぎやじゃがいもは焦げやすいので、焦げ色をつけないように気をつける。

3.チキンストックを入れやわらかく煮る

じゃがいもが透き通ってきたら、チキンストックを入れる。レストランでは鶏のガラから取ったものを使うが、家庭なら顆粒のチキンコンソメを使ってもよい。じゃがいもに竹串がすっと入るほどのやわらかさになるまで、15〜20分ほど弱火でことことと煮る。じゃがいもがやわらかくなったら、火を止め、常温になるまで冷ます。
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4.野菜すべてをミキサーにかける

やわらかくなった野菜をスープごとミキサーに入れる。全体がなめらかになるまで、中の様子を見ながら、何度かスイッチを入れたり、切ったりして、少しずつ回していくとよい。
ハンドミキサーを使って、鍋の中で細かくしてもよいが、ミキサーほどなめらかにならない可能性があり、濾すときに手間がかかる。

5.氷水で冷やす

ミキサーにかけたものを、さらにシノワで濾す。シノワは目が細かいので、流し入れただけでは濾せないため、上からレードル(おたま)などで押してやるとよい。800gのものが、シノワで濾すと700gほどになる。これをボウルに入れ、氷水の入った大きなボウルに浮かべて冷やす。冷蔵庫で冷やしてもよい。

6.生クリームと混ぜ合わせる

五が充分に冷えたら、冷たい牛乳と生クリームを入れて、塩と白胡椒で味を調え、ムラにならないように混ぜる。スパチュラなどを入れて持ち上げたときに、とろとろと繫がって落ちるくらいの粘度になると、舌触りがよい。切れてしまうようだと粘度が足りない。器に盛り、中央にシブレットのみじん切りを飾る。
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「ザ・リッツ・カールトン東京」のヴィシソワーズの秘密

季節感がだんだんなくなってきている今、せめて食卓からは季節を感じたい気分になります。この夏はヴィシソワーズをつくってみたいという人のために、葊田安信さんから6人分の材料を教えていただきました。
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メークイン400g、ポロねぎ85g、玉ねぎ100g、バター25g、チキンストック(鶏のだし)600㎖、塩4g、牛乳300㎖、乳脂肪分45%生クリーム300㎖、白胡椒適量、シブレット適量です。
「チキンストックは家庭なら、水600㎖にチキンコンソメの顆粒6gを入れたものでもいいと思います。ポロねぎも長ねぎの白いところで代用できます。最後にシブレットを飾りますが、あさつきを使うことも可能です」と葊田さん。親しみやすい家庭風にするか、あくまでも本格的なホテルの味を目ざすか、それはお好みです。

ヴィシソワーズの魅力は、絹のように滑らかな口当たりと冷たさにあります。いちばん気にしたいのは、葊田さんがすすめるメークイン種のじゃがいもを使うことですが、繊維の多い野菜類の下ごしらえにも手間をかけたいところです。プロがやっているすべての仕事は、なめらかさを目標にしています。

野菜の繊維はできるだけ細かく切っておきたいので、玉ねぎは半分に切って、繊維と直角に薄切りに。ポロねぎは縦半分に切って水洗いし、土などを取ってから薄切りにします。じゃがいもは皮をむき、5㎜くらいに切ります。

バターでこれらの野菜を炒め、塩で調味します。まず固いポロねぎから、焦がさないように中火でじっくりと炒めます。焦げ色がつくと、風味が損なわれるだけでなく、仕上がりの白さにも影響するので、火加減に注意します。玉ねぎの薄切りも入れてさらに炒めます。玉ねぎには甘みがあり、焦げやすくなるので、たえず木べらなどで混ぜ続けます。ここにじゃがいもを加えて、透き通るくらいに炒め、チキンストックを入れて15〜20分ほど煮ます。

竹串がすっと入るくらいにじゃがいもがやわらかくなったら火を止め、常温になるまで冷ましておきます。これをスープごとミキサーに入れて、ピュレ状にします。ミキサーの中の状態を見て、少しずつ回すとよいようです。このピュレをシノワで濾し、冷蔵庫に入れるか、氷水の上にボウルを浮かべて冷やします。

冷やしていくと、じゃがいものでんぷんが固まりはじめ、濃度が増して、とろみがついてきます。一般に冷たい食べ物は、味を感じにくくなるので、それを考慮して、炒めるときに少し強めに塩味をつけておきます。薄味にしすぎると、ぼんやりとして少々食べ飽きるものになります。

よく冷やしたら、同様に冷えた牛乳と生クリームを加えます。スープ皿に注ぎ、シブレットのみじん切りを飾ります。シブレットは色と香り、両方のアクセントになってくれます。つくり方を見ていると、乳脂肪分の多い生クリームがかなり入っていて濃厚なイメージがありますが、葊田さんがつくるヴィシソワーズはバターを控えめにしているために、日本の暑い季節にもぴったりな軽い味わいです。野菜のほのかな甘みも感じられて、夏の疲れた胃を、じんわりと刺激してくれそうです。
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ヴィシソワーズでゆっくりと食事を始める――夏の楽しみのひとつに加えたい、優雅なメニューです。

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