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2018.03.15

京都の桜を見られる穴場! 花見の観光名所8選

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桜の季節を迎えると、古都は一挙に華やぎます。しだれ桜やソメイヨシノ、山桜、八重桜など、さまざまな桜を楽しむ観桜茶会も市内各所で催されます。小説家の谷崎潤一郎は、大阪・船場の旧家をテーマにした「細雪(ささめゆき)」のなかで、「花見だけは京都に限る」と、優雅な京の桜に興ずる四姉妹の様子を描写しました。壮麗にしてはかない桜が堪能できる名所をご紹介します。

京都の花見の穴場1.平安神宮

朱塗りの建築と桜にほれぼれ!

谷崎潤一郎や川端康成が小説のなかで「ここの花をおいて、京洛の春を代表するものはないといってよい」と称えたのが平安神宮のしだれ桜です。平安神宮は、明治28(1895)年に京都市民によって平安遷都1100年を記念して創建。1万坪もの広大な庭園には、約150本ものしだれ桜が植えられています。

平安神宮平安神宮の桜

東神苑と中神苑、西神苑の3つの庭園は、造園界のカリスマとして知られた「植治」こと7代目の小川治兵衛が、創建時より20年以上の年月をかけて築いた最高傑作。また南神苑には、空が見えないほどのしだれ桜の棚がつくられていて、圧倒的な情景を目にすることができます。桜の季節は、ライトアップのイベントも実施。特に八重紅しだれ桜は普通の桜より色が濃く、ライトに照らされると、さらにミステリアスな姿へと変貌します。

◆平安神宮(へいあんじんぐう)
公式サイト

京都の花見の穴場2.二条城

特別名勝の日本庭園の数々

二条城の桜は約400本、50もの品種を数えます。3月から4月にかけては、年間を通じて最も多くの市民や観光客が訪れる洛中一の花どころです。

二条城二条城唐門と御所御車返しの桜

2017年は、大政奉還から150年という節目の年。慶応3(1867)年、二条城二の丸御殿の大広間で、15代将軍徳川慶喜が「政権を幕府から朝廷に返上する」ことを伝えました。二の丸庭園が今見るようなかたちになったのは、寛永3(1626)年のこと。当時二条城の作事奉行を務め、仙洞御所など多くの作庭を指揮した小堀遠州の指示の下に完成したものと伝えられています。

城内の桜は、清流園一帯や本丸の西側に集中しています。後水尾(ごみずのお)天皇があまりの美しさに御車を引き返してまで眺めたという「御所御車返しの桜」も、唐門のそばで愛らしい姿を見せています。

◆二条城(にじょうじょう)
公式サイト

京都の花見の穴場3.平野神社

見ごろが1か月続く、京都屈指の名所

平野神社は、延暦年間(8世紀末)に、平安遷都にともなって、大和から遷座した四座の神を祀る旧官幣大社(かんぺいたいしゃ)です。

平野神社平野神社拝殿越しの桜

平野神社といえば神紋も桜。ここが桜の宮と呼ばれるようになった起源は、平安中期、花山天皇が境内に数千本の桜を植えたことにはじまるといわれています。応仁の乱による荒廃のあと、寛永年間(1624〜44)に再興に努めた公卿(くぎょう)の西洞院時慶(にしのとういんときよし)も多くの桜を植樹しました。

特に多種多彩なサトザクラの美しさが群を抜きます。夜桜の趣も格別で、「平野の夜桜」と呼ばれて、全国的にその名が知られています。

◆平野神社(ひらのじんじゃ)
公式サイト

京都の花見の穴場4.円山公園

祇園を象徴する、しだれ桜の美しさ

円山公園の初代しだれ桜といえば、明治・大正時代を通じて京都一といわれた名木。樹齢220年を数えつつも、昭和22(1947年)年に残念ながら枯れてしまいました。

円山公園円山公園のしだれ桜

しかし現在、初代の種子から大事に育てられた桜が、樹齢約90年もの大木へと成長し、初代の名声に迫る勢いです。八坂神社の奥という好位置にあるため、ライトアップの時期はビックリするほどの人出となりますが、それでも一見の価値のある名桜です。

円山公園は、明治19(1886)年に造成された京都市で最も古い公園。大正時代に名造園家7代小川治兵衛(トップに紹介した平安神宮の3つの庭園をつくった人と同じ!)によって、本格的な回遊式庭園が完成しました。池を中心に茶店や料亭が散在する円山公園全体が、京都らしい風情とともに花見を楽しめるスポットです。

◆円山公園(まるやまこうえん)
公式サイト

京都の花見の穴場5.醍醐寺

太閤秀吉が愛した「醍醐の桜」

貞観16(874)年に創建された名刹。応仁の乱で五重塔を除く伽藍(がらん)の大半を失うものの、豊臣秀吉と息子・秀頼の尽力で見事に復興を遂げました。

醍醐寺醍醐寺仁王門のそばの桜

なんといっても、有名なのは最晩年の秀吉が慶長3(1598)年に行った壮大な醍醐の花見でしょう。自らが下見のために事前に醍醐寺へ通い、殿舎の造営や庭園の改修を指揮。さらに、醍醐山の山腹にいたるまで700本の桜を植樹しました。当日は、正妻の北政所や淀君をはじめとした約1300人もを引き連れていったといわれています。

国宝の五重塔は京都府内最古の木造建築物で、天暦5(951)年の建立。仁王門や、その五重塔の周辺にも大きな桜がたくさんあります。平安時代から桜の名所であった醍醐寺。太閤(たいこう)さんが愛した桜が、今も美しく咲き続けています。

◆醍醐寺(だいごじ)
公式サイト

京都の花見の穴場6.勧修寺

氷室池に舞い散る、桜の風景が絶品

勧修寺は、真言宗山階派(しんごんしゅうやましなは)の大本山です。醍醐天皇が、生母の菩提を弔うために創建。山門へ至る参道の築地塀(ついじべい)に沿って桜が咲き誇り、桜のピンク色と塀の白とのコントラストが、世にも美しい光景を描きます。

勧修寺勧修寺宸殿の桜

境内東側には宸殿(しんでん)、書院、五大堂、本堂などが建ち並び、氷室池に面して楼閣(ろうかく)風の観音堂があります。この観音堂の周りを取り囲むように咲く桜もまた、見どころのひとつになっています。ゆらゆらと春風に吹かれて池の水面に花びらが舞い散る様子は、うたかたの夢のよう。まるで平安時代さながらの優雅さです。

同じ山科にある醍醐寺はものすごい人出でも、ここ勧修寺はゆっくりとお花見ができる穴場。その評判どおり、のんびりと静かに桜を愛でるひとときを過ごすことができます。

◆勧修寺(かじゅうじ)
住所:京都府京都市山科区勧修寺仁王堂町27-6

京都の花見の穴場7.仁和寺

遅咲きの桜の名所といえばこちら

江戸時代の儒学者、貝原益軒(かいばらえきけん)が書いた「京城勝覧」には、「春はこの境内の奥に八重桜多し、洛中洛外にて第一とす、吉野の山桜に対すべし…花見る人多くして日々群衆せり…」と記されていて、吉野の桜にくらべて優るとも劣らないと絶賛されたのが仁和寺の御室桜です。

仁和寺仁和寺の五重塔を背景に

仁和4(888)年、宇多天皇により創建。高貴な方の住まいを御室ということから別名「御室御所」と呼ばれました。境内を歩けば、建物、庭園などいたるところで御室御所にふさわしい気品を感じることができます。

なかでも御室桜と呼ばれる遅咲きの桜が有名。これは人の背丈ほどの高さが特徴のひとつで、見上げなくても満開の桜が間近で味わえます。花見客でにぎわう4月は、観桜ムードも最高潮。寺全体がとても華やかな雰囲気に包まれます。

◆仁和寺(にんなじ)
公式サイト

京都の花見の穴場8.祇園白川

桜のほか、料亭や巽橋、京都の情緒が楽しめる

縄手通りの東側、新橋通と白川に面するあたりが祇園白川と呼ばれる地域で、伝統的建造物保存地区に指定されています。春になると、料亭などが立ち並ぶ白川の流れに沿って、桜並木が壮観な姿を現します。

祇園白川祇園巽橋(たつみばし)の近くの桜

桜の本数は約40本。決して多くはありませんが、石畳の道を歩く舞妓さんの姿が見えることもあり、京都の情緒を楽しむには一番のスポットといえるでしょう。

あの与謝野晶子も「清水へ祇園をよぎる桜月夜 今宵逢ふ人みな美しき」という歌を詠んでいます。当時から円山公園、八坂神社、高台寺、産寧坂(さんねいざか)、清水寺というのが人気の花見コースだったといいます。「今宵逢ふ人」が祇園の夜桜を楽しんだことは間違いないでしょう。

料亭の灯りや辰巳大明神など、ここのすべてが特別な風景です。特に巽橋は絶好の写真スポットで、皆かならずといってよいほど、ここで桜並木と白川の写真を撮りたくなるとも。古きよき日本の情緒が味わえる、間違いなしのポイントです。

写真/中田昭

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