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出羽屋

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山菜の魅力を再確認。山菜専門宿「出羽屋」で季節を味わう

山菜専門宿「出羽屋(でわや)」のはじまりは、山岳信仰の出羽三山(さんざん)を訪れる行者(ぎょうじゃ)の宿と伝えられています。三山電鉄ができたころに創業し、約90年にもわたる歴史を刻んできたのです。

山菜の風味を生かして、シンプルな料理に徹する

大正末期にレールが敷かれた三山電鉄は、羽前高松(うぜんたかまつ)から三山参りの人たちを運ぶ重要な交通機関で、終着駅の間沢(まざわ)は大変なにぎわいだったといいます。ところが車が普及していくにつれ、宿場町の役割が失われ、出羽屋も宿坊から山菜料理の宿へ舵を切ることになったのでした。

出羽屋朝ごはんも、山の恵みの優しい味がたくさん。ニリンソウやアイコのおひたし、卯の花、ゼンマイの煮物、昆布巻きやフキなど、いかにも体によさそうなメニューがうれしい。

「山菜の季節になると、他県の人のみならず、同じ山形の人でも、たくさんの方がいらっしゃいます」と女将の佐藤明美さん。今でこそ旬の味としてもてはやされる山菜ですが、さかのぼってみると、飢えをしのぐための“糧物(かてもの)”だったという側面も浮き彫りになります。

ほろ苦さやえぐみという風味が珍重される山菜は、かつては乏しい穀類を増やすための増量材。また餅に香りと美しい彩りを添えてくれるヨモギなども、カサを増やし、腹持ちをよくするために入れられたものでした。

出羽屋熱々の山菜鍋には、出盛りの山菜をすべて放り込む。きのこも、美味しさの決め手になるので欠かせない

終戦から5、6年のころに山奥に一家をあげて開墾に入った先代の時代は、ごくわずかな配給で細々と食いつなぐ毎日。美味しさなどは二の次で「食べられるものは何でも食べたギリギリの生活でした」(『出羽屋の山菜料理』佐藤邦治著 求龍堂刊)と書き残したほどでした。「行者宿の山菜料理」と「糧としての山菜」、このふたつの出合いが原点であり、そんな過去を経て、出羽屋の山菜料理が築かれてきたのです。

出羽屋根曲がり竹は、アクが少なく、ホクホクとした甘みが特徴だ。少しあぶって、旨みを凝縮させたところをいただく

現代は、食べ物がいつでも手軽に入手できます。しかも加工技術は飛躍的に発達し、土で育たない野菜までもが生まれる世の中になりました。そのなかで山菜は、失われつつある野や山の香りを匂わせてくれる食べ物として特別な魅力があります。「山菜料理を味わうために、わざわざここまでお越しになるお客様のために、手間暇かけるのは当たり前」という言葉からも、山菜専門宿としての誇りを感じさせてくれます。

出羽屋

◆出羽屋
住所 山形県西村山郡西川町間沢58
公式サイト

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