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2023.04.28

折箱に詰められたもてなしの心。「辻留 京都本店」【茶味こそが京都!】

特集 茶味こそが京都! 第三弾は名店「辻留(つじとめ) 京都本店」をご紹介します。

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茶のこころにのっとった折詰弁当
辻留 京都本店

茶道裏千家の懐石料理を預かり、出張料理が商いの基本のこの店。観光客が知ることのできる「辻留 京都本店」の味は、この折詰弁当です。
「20年前、初めてこのお弁当を出したとき、5,000円という金額は突出して高かった。それでも、料理はいいものを必ず詰める、折箱は細部まで大事につくるという考えを変えることはありませんでした」とお弁当を考案した京都本店の主人、平 晴彦(たいら はるひこ)さん。

左/創業は明治35(1902)年。右/折詰弁当の包装紙の京都絵地図は日本画家池田遥邨(いけだようそん)作。ひざ掛けに描かれた画は北大路魯山人(きたおおじろさんじん)によるもので、紐は茶を表す色として選ばれた

走りではなくその時期に食べごろを迎えた食材を使う、食べやすいように盛り付ける、など懐石の基本にのっとったお弁当。寿司(春は鯛桜葉巻寿司)やだし巻玉子といった定番に、季節の味がたっぷり入ります。
お弁当売り場で見ると、ここに隠された〝茶味〟はわかりにくいでしょう。気持ちの落ち着く場所で、ふたを開けてください。春であれば、桜葉の香りがただよいます。写真に少し見えますが、仕切りも兼ねた大きな桜葉の塩漬がここに3枚も入っているのです。お寿司の上にある花びらが目に留まりますね。これはお口直しも兼ねた生姜漬になっています。
「食べ物はすべての知恵を満たすもの」と言葉を残したのは2代目・辻 嘉一(つじかいち)ですが、先人たちが残してくれた心遣い、もてなしの心が折箱に詰められていることに気がつきます。

折詰弁当6,480円(税込み)。あしらいの花びらは生姜の酢漬け。口直しも兼ねています

辻留 京都本店(つじとめ きょうとほんてん)

住所:京都市東山区三条大橋東3町目
電話:075-771-1718
営業時間:9時~18時 無休
※折詰弁当は要事前予約、本店でも受け渡しは可能。ジェイアール京都伊勢丹B2の老舗弁当売り場(075-342-5630)でも販売中。

撮影/ハリー中西 構成/藤田 優 ※本記事は雑誌『和樂(2018年4・5月号)』の転載です。

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和樂web編集部

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