八甲田の豊かな自然を愛した棟方志功
棟方志功は八甲田の酸ヶ湯温泉を愛し、長年にわたり毎年20日間ほど逗留したといいます。とりわけ、温泉に勤める“鹿内仙人”こと鹿内辰五郎とは大の仲良しになり、交流を深めました。一緒に八甲田大岳に登ったときに鹿内仙人が笛を吹くと大きな鷹が頭上に現れて、鹿内は「これこそは神鷹だ。お前さんは世界一偉くなるぞ」と棟方に語ったのだそう。
現在、温泉の周囲には自然観察路が整備され、強酸性の温泉が湧きだす地獄沼や温泉の蒸気でお尻を温める「まんじゅうふかし」など見どころが点在します。国道から少し入ったところには、棟方がいちばん好きだったという睡蓮沼があります。
「睡蓮沼」
「酸ヶ湯温泉旅館」
〒030-0197
青森県青森市荒川南荒川山国有林酸湯沢50番地
電話 017・738・6400
sukayu.jp
「八甲田ホテル」
〒030-0198 青森県青森市荒川南荒川山1−1
電話 017・728・2000
hakkodahotel.co.jp
棟方志功が生まれ育った青森市内
棟方志功は明治36(1903)年9月5日、青森市に生まれました。15人きょうだいの6番目。鍛冶屋を営む生家は、街の中心に位置する善知鳥神社の鳥居の前にあり、棟方は幼少時代、毎日のように境内で遊んでいたといいます。
絵を描くようになった棟方が写生をするために足繁く通ったのは、青森湾に面した自然豊かな合浦公園。棟方が少年のころはまだ細かったであろう海辺の松林も、今では大きくなり、立派な防風林の役割を果たしています。
21歳で上京して以降、棟方は、青森に住むことはありませんでしたが、たびたび帰省しては弘前や八甲田、浅虫温泉など県内各地に滞在して、青森の自然も文化も人も、生涯大切にしていたことを感じます。
「善知鳥神社」
〒030-0803青森県青森市安方2-7-18
電話 017-722-4843
utojinja.sakura.ne.jp
「合浦公園」
「棟方志功記念館」
〒030-0813 青森県青森市松原2丁目1−2
電話 017・777・4567
munakatashiko-museum.jp
「浅虫温泉椿館」
〒039-3501 青森県青森市浅虫内野14
電話 017・752・3341
https://www.810215.com/
「つがる工芸店」
〒030-0945 青森県青森市桜川7丁目19−50
電話 017・743・7009
komakino.jp/tugaru/index.html
「青森県立美術館」
〒038-0021 青森市安田字近野185
電話 017・783・3000
aomori-museum.jp
生誕120年 棟方志功展 メイキング・オブ・ムナカタ
会期:2023年10月6日~12月3日 ※会期中展示替えあり
会場:東京国立近代美術館 1F 企画展ギャラリー
公式サイト:https://www.munakata-shiko2023.jp/
撮影/篠原宏明 構成/高橋亜弥子
※本記事は雑誌『(和樂2023年10・11月号)』の記事を転載・再編集したものです。