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2024.04.09

太巻ちゃうで巻寿司やで! 華麗なる大阪寿司の世界【あっぱれ! 大阪寿司!! part2】

日本の長い寿司の歴史を見れば、近江の「鮒(ふな)ずし」、「大阪寿司」「京寿司」と、近世のころより関西では独自の寿司文化が育まれてきました。江戸前寿司の大先輩ともいえる大阪寿司。その職人の華麗な手わざから生まれるおいしくも美しい、大阪寿司の魅力をご紹介します。

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そもそも大阪寿司とは?
三、押しに始まり押しに終わる

大阪寿司の調理法の一番の特徴が〝押す〟こと。これはネタと寿司飯を圧縮することで、保存性を高めるための知恵です。また〝押す〟ことによってネタと寿司飯が〝熟(な)れて〟、時間が経つほどにおいしさが増すという大阪寿司特有のおいしさが生まれました。
押しには「箱」と呼ばれる型を使用。正方形あるいは長方形の型ありきで、大阪寿司特有の美しい姿が生まれたと言えます。モザイクのタイルのように見える「箱寿司」にも、小鯛の形状が残る「姿寿司」にも押し型は欠かせないのです。

左/天然海老の「おぼろ」はちらし寿司にも必須。右/乾物の椎茸がもつ濃厚な旨みを寿司に生かす。

そもそも大阪寿司とは?
四、生ネタは使わない

冷蔵庫のない時代に、時間が経ってもおいしく口に入るように工夫されてきた大阪寿司。当然のことながら生のネタは入らず、鯛に代表される白身は塩で締め、穴子は焼いてツメを塗るなどすべてのネタに仕事が施されています。
寿司の味を支えるのが、甘辛い煮汁で長時間炊かれた椎茸や干瓢(かんぴょう)の「刻み」、そして海老のすり身を炒った甘口の「おぼろ」。これらの具材が調味料の役割を果たすので、大阪寿司を食すときには、江戸前寿司で必須の醬油や山葵(わさび)は不要。これも寿司が携帯食であったころからの先人の知恵。大阪では、行楽のお供や慶事弔事の場に大阪寿司が愛用されています。

左/「鮓直」の4代目・岡部芳幸さんは押し型に樹脂製を使う。昔ながらの木製は軽いのが利点だが衛生面を考慮してこちらに。右/焼き鰻が入る「鮓直」の上巻。中具を錦糸卵で巻いて、さらに酢飯で巻くという手の細やかさ。

そもそも大阪寿司とは?
五、太巻ちゃうで巻寿司やで

〝握り〟と〝押し〟の違いだけではなく、「海苔巻」においても大阪寿司には江戸前寿司と異なる際立った特徴があります。
そもそも大阪では「海苔巻」と呼びません。「太巻」でもなく「巻寿司」が正解。「巻寿司」に使われる海苔は「生海苔」で、これが砂糖を含んだしっとりした酢飯と好相性。高野豆腐、干瓢、三つ葉の入った「精進巻」や厚焼玉子で包む「伊達巻」、穴子や鰻うなぎなど豪華な具材がたっぷり入った「上じょう巻」などが「巻寿司」の典型です。歯切れのいい焼海苔を用い、細巻を好んだ江戸の海苔巻との食べ比べを楽しんでみてください。

大阪寿司を象徴する「箱寿司」。江戸時代から続く「鮓直(すしなお)」(https://sushinao.jp/)の箱寿司2人前6,680円。

撮影/石井宏明 構成/藤田 優
※本記事は雑誌『和樂(2021年12・1月号)』の転載です。

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和樂web編集部

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