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2024.01.08

会津藩から引き継いだ名湯と郷土食を堪能。「向瀧」その3【〝おもてなし〟を体感できる至高の湯宿】

至高の温泉地と湯宿をご紹介する全13回シリーズ、第3回は「向瀧」その3をお送りします。

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熱々のお湯に郷土食。「向瀧」でしか味わえない時間を存分に

特別な癒しがある、
1300年湧き続ける自然湧出の自家源泉

注ぎ口にこびりついた結晶は温泉成分が濃い証拠。「きつね湯」は御影石や六角形のタイル、湯気を吸って水滴をたらさないヒル石を天井に使用。味わいある浴室デザインも楽しめる。

「向瀧」の魅力は木造建築だけではありません。会津藩から引き継いだ湯は、自然湧出する自家源泉。55℃を超える高温ながら、湯船へ注がれるまでの配管を工夫することで入浴可能な温度まで下げています。とはいえ「きつね湯」は44℃から45℃という高温! 熱い湯が苦手な人は、ぬるめの「さるの湯」へどうぞ。どちらの湯も、加水、加温、循環濾過(ろか)なしの源泉かけ流しです。
泉質は弱アルカリ性で、皮膚の乾燥や切り傷などにも効果があるのだとか。無色透明無味無臭のさっぱりした湯なので、何度でも入りたくなってしまいます。

左/会津藩御用達だった「きつね湯」の名前も継承。右/こちらは入りやすいぬるめの「さるの湯」。どちらも昼間の清掃時以外、いつでも入浴できる。

和樂が「向瀧」を唯一無二の湯宿として推す理由は、日本の伝統的木造建築であること。それを日々使いながら守るという心意気と仕事ぶり。正真正銘、天然の豊富なお湯。そして、会津地方に伝わる郷土食にもあります。
「こづゆ」は、里芋や人参、椎茸、木耳(きくらげ)、糸こんにゃくなどを、ホタテの貝柱でとっただしで煮込んだ料理。家庭料理であり、祝い事にも欠かせません。自慢の逸品「鯉の甘煮」も、会津藩から受け継いだもの。江戸時代に3年続いた天明の大飢饉の際、会津藩家老が栄養価の高い鯉の養殖を推奨。砂糖を贅沢に使った「鯉の甘煮」は当時もご馳走でした。その味を、時代の口に合うよう変えながら提供しています。
わくわくするような見どころ満載の建築。肌に染み入るような優しい湯。ここでしか味わえない、ほっこりする郷土食。この冬は、体も頭もゆったりほぐれる湯宿へ…。

「向瀧」で堪能したい会津の味!

左/秋冬の献立から「会津地鶏の雪見鍋」。煮込んでやわらかくなった手羽先を炙り、鶏だしの鍋に投入。右/あっさり味の「こづゆ」と、こってりぷるぷるな「鯉の甘煮」。母親と宿泊した野口英世(ひでよ)は料理にも感銘を受け、「美酒佳肴(びしゅかこう)」と揮毫を残した。

お土産は、土人形orオリジナル純米酒の酒粕入りせっけん!

左/東山温泉の奥で、昔ながらの製法でつくる青柳守彦(もりひこ)さんの土人形。招き猫は約8㎝で¥3,080。中/うさぎの土人形は約6㎝で¥990。右/磐梯山(ばんだいさん)の麓の酒造所でつくられるオリジナル純米酒「美酒佳肴(びしゅかこう)」。その酒粕に含まれる美容成分を配合したせっけん¥869

【湯宿DATA】

向瀧(むかいたき)
住所:福島県会津若松市東山町湯本字川向200
電話:0242-27-7501
宿泊料金:2名1室利用時1名23,250円(税込)~。※1泊2食付、1室1名利用時はプラス5,500円。
アクセス:JR磐越西線「会津若松駅」よりタクシーで約10分(送迎なし)
公式サイト:https://mukaitaki.com/

撮影/篠原宏明 構成/小竹智子
※本記事は雑誌『和樂(2023年2・3月号)』の転載です。
※表示の宿泊料金は税金・サービス料込みの金額です。別途入湯税や、入浴料などがかかる場合があります。また、連休や年末年始など、特別料金が設定されている場合もあります。
※お出かけの際には宿のホームページなどで最新情報をご確認ください。

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和樂web編集部

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