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兵庫県・城崎温泉「西村屋本館」で知る
〝温泉街〟という文化
ゆるやかにカーブし流れも穏やかな大谿川(おおたにがわ)を中心に、旅館や外湯(そとゆ)、土産物屋などが並ぶ城崎(きのさき)温泉。国内外問わず人気の秘密は、浴衣を着て楽しむそぞろ歩きや外湯めぐりにあります。他に類を見ない〝町が一丸となってもてなす〟という取り組み。その中心となった旅館「西村屋本館」を訪ねたら、日本の〝温泉街〟という文化の極意に辿り着きました。
浴衣でそぞろ歩きが超絶楽しい!
城崎温泉〝湯めぐり〟
城崎温泉の魅力は町全体にあります。通りに旅館や土産物屋が立ち並ぶだけならほかにも風流な温泉街はありますが、和樂が厳選した〝至高の湯宿〞として城崎温泉の「西村屋本館」を挙げたのは、町全体でのもてなしがしっかり根付いている温泉街の宿だから。まずは、そんな温泉街のお楽しみをガイドします。
観光客も地元のおばあちゃんもぶらりぶらり
城崎温泉歩きのお楽しみは、第一に〝外湯が充実〟していること。駅前に1軒、そこから約1.5㎞の範囲に6軒と、合計7つの外湯が点在しています。地元の人々の生活の場でもあるそこは、旅行者も快く受け入れてくれる公共浴場。宿にチェックインしたら浴衣に着替え、まずは外湯へ出かけてみましょう。下駄を鳴らしながら歩いていると、子供のころに戻ったような気がして、ちょっぴりこそばゆいかもしれません。
城崎温泉は文学ともかかわりが深い町。志賀直哉(しがなおや)は城崎の宿に逗留しながら『城の崎にて』を書き、島崎藤村(しまざきとうそん)や司馬遼太郎(しばりょうたろう)など多くの文豪や政財界からも愛されてきました。歌人・与謝野寛(よさのひろし)と晶子は、夫婦でこの地を訪れ歌を残しています。「城崎文芸館」で、新旧の城崎文人に触れてみるのも面白そうです。
JR城崎温泉駅からは町のいちばん奥、温泉街の端に乗り場があるロープウェイもぜひ。大師山(だいしやま)の頂上から見下ろせば、日本海は目と鼻の先。山があって温泉が湧き、川は海へと注ぐ。但馬(たじま)地方の自然の豊かさを一望にすると、夕食に並ぶ土地の幸がますます楽しみになるはずです。
【外湯DATA】
入場料は各800円(さとの湯のみ900円 ※長期休業中)。どこの外湯でも、何度でも入浴できる「ゆめぱ1日券」は1,500円。駅前の城崎温泉観光センターなどで購入できる。
【湯宿DATA】
西村屋本館(にしむらやほんかん)
住所:兵庫県豊岡市城崎町湯島469
電話:0796-32-2211
宿泊料金:2名1室利用時1名48,830円~(1泊2食付)
アクセス:JR山陰本線「城崎温泉駅」より徒歩約15分(旅館組合運営の無料送迎バスあり)
公式サイト:https://www.nishimuraya.ne.jp/honkan/
撮影/篠原宏明 構成/小竹智子
※本記事は雑誌『和樂(2023年2・3月号)』の転載です。
※表示の宿泊料金は税金・サービス料込みの金額です。別途入湯税や、入浴料などがかかる場合があります。また、連休や年末年始など、特別料金が設定されている場合もあります。
※お出かけの際には宿のホームページなどで最新情報をご確認ください。