日本文化の
入り口マガジン
1月19日(火)
詩人はつねに真実を語る嘘つきである(ジャン・コクトー)
日本文化の入り口マガジン 和樂web
日本文化の入り口マガジン 和樂web
1月19日(火)

詩人はつねに真実を語る嘘つきである(ジャン・コクトー)

読み物
Travel
2016.03.18

岡山・倉敷はレトロな美術の街!美術館やアクセスなどまとめてガイド

この記事を書いた人

東海道新幹線で岡山・倉敷へ

 北海道新幹線の開通まであと1週間。テレビや新聞でその話題を目にしない日はありません。日本の新幹線第一号は、東京・新大阪間を結ぶ東海道新幹線。東京オリンピックが開催された昭和39(1964)年の10月1日に開通した、世界初の高速鉄道です。現在はその多くの列車が山陽新幹線と直結しているため、「東海道・山陽新幹線」とも呼ばれます。

 その東海道・山陽新幹線に乗って、春の岡山・倉敷へ日本美術と町散策の旅に出ませんか? 江戸時代の約300年にわたり、岡山藩を統治した池田家の家宝が残る岡山市と、白壁の蔵や町家が並ぶレトロモダンな倉敷市。「日本美めぐり旅」の第2弾は、異なる魅力で飽きさせない、ふたつのエリアを歩く岡山編。1泊2日でほどよいコースをご案内します。

DMA-_Q3A3247写真/瓦屋根に黒壁が優美な「岡山城」。

カルチャーゾーン、岡山タウン

 岡山駅東口から車で約5分。市内を流れる旭川西岸の「城下(しろした)」の交差点が、日本美に出合う美術館めぐりの旅・岡山編の基点です。ここを中心にした徒歩圏内は、美術館や博物館、コンサートホールなど12の文化施設が集まる〝岡山カルチャーゾーン〟。「烏城(うじょう)」の愛称をもつ「岡山城」や、日本三大名園のひとつ「岡山後楽園」もあって見どころ満載! 旅の1日目は、このエリアで名宝、名城、名庭園を堪能します。

DMA-_L7A0716DMA-_Q3A3327

写真/岡山カルチャーゾーンを走る路面電車と岡山名物きびだんご。「岡山後楽園」の南門前、岡山城を望むカフェ「碧水園(へきすいえん)」の揚げたきびだんごも美味!

岡山城ゆかりのお宝は「林原美術館」に

 江戸時代を通じて岡山藩を統治した池田一族が、変わらず居城したのが「岡山城」。ゆえに池田家の宝物の多くはこの地に留まりました。実業家で古美術愛好家の林原一郎(はやしばらいちろう)も、それらを収集したひとりです。「岡山城」のお膝元にある「林原美術館」で能装束などの池田家伝来品や東洋の古美術を堪能したら、目の前の「岡山城」へ。3層6階建てという天守内外を見学し、天然の外堀・旭川に架かる月見橋を渡れば「岡山後楽園」です。広大な敷地は築山(つきやま)や園路が水路で結ばれ、景色が移ろうよう工夫されています。

 園内で飼育されている、花鳥画(かちょうが)にも多く描かれてきた優美なタンチョウ鶴を眺めたら、「岡山県立美術館」へ。備中(びっちゅう)出身の雪舟(せっしゅう)や、鴨方(かもがた)藩士の家に生まれた浦上玉堂(うらがみぎょくどう)の水墨画など、岡山ゆかりの作品や美術品との対面で、岡山美術館巡りの初日を終えましょう。

DMA-_Q3A3009DMA-_Q3A3047

写真/池田家が使用していた長屋門や蔵など、岡山城周辺の景観に調和。東海道新幹線と同じ年に開館したこの建物は、モダニズム建築の旗手と呼ばれる前川國男(まえかわくにお)の設計。庭に面したカフェは、昭和レトロな雰囲気でくつろげる。

林原美術館/東洋の古美術と大名調度品の宝庫

岡山城を望む内堀のかたわら、明治時代には旧岡山藩主池田家の事務所として使われるなど、由緒ある地に立つ私設美術館。古美術を愛好した岡山財界の重鎮・林原一郎のコレクションを公開。池田家旧蔵の能装束や大名道具、漆工に色鍋島など、国宝・重文を含む約1万件を所蔵、企画展、特別展を含め年間5~6の展覧会を開催しています。
岡山県岡山市北区丸の内2-7-15 10時~17時(入館は16時30分まで) 月曜休館(祝日の場合は翌日)、年末年始、展示替え期間 入場料500円(特別展は展覧会によって異なる) http://www.hayashibara-museumofart.jp/

DMA-_Q3A3200DMA-_Q3A3095写真/設計は、最高裁判所の建築などで知られる岡田新一。屋内広場は効果的に外光を取り入れた気持ちのいい空間。雪舟や浦上玉堂、洋画の国吉康雄(くによしやすお)や岸田劉生(きしだりゅうせい)なども所蔵(写真は狩野は作品の模写)。

レトロモダンな倉敷で美的散歩

 2日目は倉敷へ。備前(びぜん)の岡山市と県西部・備中(びっちゅう)の倉敷市は、JRで20分足らずの距離です。
 倉敷は、江戸幕府の直轄天領地として倉敷川の水運を利用して栄えた町。代官所が置かれ、備中の物資の集散地として形成されました。白壁、なまこ壁、貼り瓦の蔵や町家が連なる河畔、揺れる柳並木。倉敷を象徴するこの景色に、何度訪れても旅ゴコロが刺激されます。

DMA-_L7A1023
 その河畔エリアのシンボルが、ギリシャ神殿風の建物が街のシンボルのひとつでもある「大原美術館」。設立者の大原孫三郎(おおはらまごさぶろう)は美術館や病院の設立など地域の社会事業に取り組み、昭和の倉敷の発展に貢献した人物です。また、大原氏と民芸運動の柳宗悦(やなぎむねよし)とが出会ったことにより、倉敷は民芸ゆかりの街になりました。
 
 エル・グレコをはじめとする西洋美術を「大原美術館」で楽しんだら、河井寛次郎(かわいかんじろう)や濱田庄司(はまだしょうじ)、芹沢銈介(せりざわけいすけ)ら民芸運動に関わった作家の作品を堪能できる「倉敷民藝館」へも足を延ばしましょう。生活に息づく民芸の品々に、日本美術の美しき側面を見ることができます。

DMA-_Q3A3362DMA-_Q3A3513

写真/ガス燈、川舟流し、白壁の蔵。倉敷川の水運で栄えたこの地域には、江戸時代から明治にかけてのレトロモダンな建築物が残る、国が認定する伝統的建造物群保存地域。美術鑑賞の合い間に散歩したり買い物したり、食事やお茶まで、ゆっくり1日で巡るのに町のサイズがちょうどいい。

倉敷の街並みの美しさが物語るのは、
土地と生活に根付いた美的感覚

 ここで河畔から離れ、江戸時代は商人や職人の職住地域だったという旧街道の本町(ほんまち)通りへ向かいましょう。江戸時代の様子が残る町家や蔵造りの建物が立ち並ぶ、伝統的建造物群保存地区です。現在は旅館や造り酒屋、町家カフェやショップなどに活用されていて、あちこち覗きながらの散策は疲れ知らずの楽しさ! この本町通りから看板を北へ入ると、鶴形山(つるがたやま)の頂上に鎮座する阿智(あち)神社です。見晴らし台でもある絵馬殿からは、鈍色に輝く本瓦葺きの屋根が連なる倉敷美観地区が一望にできます。

 特産のイグサを使った倉敷緞通(だんつう)や花むしろの小物、口吹きによる倉敷ガラス、備中和紙など、ほっこりしたこの街らしいお土産を選びつつ。昼間と表情を変える夕刻の景色まで、たっぷり岡山の美を楽しんで!

_L7A0758_L7A0779
写真/「大原美術館」本館では、この児島虎次郎(こじまとらじろう)の『和服を着たベルギーの少女』が出迎えてくれる。かわいらしい建物は芹沢圭介のデザイン。

大原美術館/建物自体も美術品!

実業家・大原孫三郎の収集品を有する、日本初の私立近代西洋美術館。氏の依頼で洋画家の児島虎次郎が入手した西洋の名品からエジプト、中国美術などを公開します。日本の近代美術や、民芸運動に関わった作家の作品を展示する工芸・東洋館も。
岡山県倉敷市中央1-1-15 9時~17時(入館は16時30分まで) 月曜定休(祝日、夏季、10月は無休) 入館料1,300円

DMA-_L7A0926_L7A0882

写真/東京・駒場の「日本民藝館」に次ぐ民藝館として、昭和23(1948)年に開館した「倉敷民藝館」。ガラス職人の小谷眞三(こだにしんぞう)が民藝館初代館長の依頼でつくり出した吹きガラスの〝倉敷ガラス〟の展示も。

倉敷民藝館/暮らしに息づく民芸の美を堪能

白壁瓦屋根の町並みにもしっくりくる、生活のなかから生まれた用の美、民芸。「大原美術館」とともに倉敷美観地区で是非撚りたのが「倉敷民藝館」です。やきものや丈夫で美しい国内外の道具が並ぶ展示室は、江戸時代の米蔵を利用。
受付前には入館料不要のショップも併設されています。
岡山県倉敷市中央1-4-11 9時~17時(12月~2月は~16時15分、入館は閉館の15分前まで) 月曜休館(祝日と8月の月曜は開館、8月31日と展示替え期間は休館) 入館料700円 http://kurashiki-mingeikan.com/

L1007615DMA-_L7A1036

撮影/佐藤敏和