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Culture
2020.06.13

温泉地も公認する入浴剤「日本の名湯」とは!?温泉ソムリエが株式会社バスクリンへ突撃取材

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1日の疲れを癒やしてくれるお風呂タイムに欠かせない入浴剤。いい香りに包まれてお風呂に浸かると気持ちまで前向きになりますよね。

特に自宅にいながら温泉気分を味わえる入浴剤は、温泉好きな日本人ならではの発想で癒やし効果も抜群。でも、温泉の名前がついている入浴剤ってそもそもどういう成分なの?どうやって作られているの?と知らないことだらけ。

そんな疑問を解決すべく、和樂ライターで温泉ソムリエの矢野詩織が入浴剤でおなじみのあの企業、株式会社バスクリンへ取材へ行ってきました!

温泉科学のプロフェッショナルが大集結

写真:左から商品企画部の渡部秀典さん、製品開発部の杉浦満さん、ダイレクトマーケティング部の相浦多美子さんと東原好克さん

今回、株式会社バスクリンつくば研究所を案内してくたのは、製品開発部の杉浦満さん、商品企画部の渡部秀典さん、ダイレクトマーケティング部の東原好克さんと相浦多美子さん。そして、広報の後藤葉さんにサポートしていただきました。

お風呂への情熱いっぱいの皆さんは、温泉科学のプロフェッショナル!温泉を元に開発した入浴剤「日本の名湯」の開発の裏側やこれからのビジョンについてお話いただきました。

温泉の成分がヒント!入浴剤「日本の名湯」は温泉を元に開発

自宅のお風呂で温泉気分が味わえる「日本の名湯」シリーズ。1986年に発売され、2019年にはパッケージのリニューアルが行われました。日本各地の温泉がモデルになっている入浴剤は、実際にどのようにして作られているのでしょうか。

「製剤、香料、企画の担当者がチームを組んで、各地の温泉地を調査する「温泉探索」をおこない、そこで、温泉分析書を確認し、実際に入浴して、湯ざわりや香り、色や温泉地の風景などを現地で調査します。現地で得られた情報をもとに入浴剤を開発するんです。」と杉浦さん。

「日本の名湯」には、モデルになる源泉があり、源泉の上位3成分を実際の配合比率と合わせて配合して入浴剤を作っているそうです。研究員の徹底した現地調査、そして温泉地との共同開発で作られていました。

科学の視点と五感で温泉を徹底調査

「それにしても仕事で、全国の温泉巡りができるなんて羨ましいですね!」と言うと、「そう言われることが多いのですが、結構大変なんです。」と意外な回答が。実は、「温泉探索」はハードな仕事で、旅行のようにのんびり温泉に浸かっている時間はないそう。

「1回の探索で20~30ぐらい温泉を回るので、情報が得られたらすぐにお風呂から上がります。1回に5分程度しか浸かりませんよ。」と杉浦さん。商品企画部の渡部さんは、温泉探索で人生で初めて湯あたりを体験したと話します。温泉の効能を身をもって体験できるのも、バスクリンの社員ならではのエピソードですね。

しかしながら、温泉に数分間浸かるだけである程度の成分、そして湯ざわりがわかるとは、さすが温泉科学のプロだな〜と関心。バスクリンの研究員は、科学の視点と五感が研ぎすまされていました。

温泉の良さを家庭向けにアレンジ

現在、「日本の名湯」シリーズで発売されている温泉地は17箇所。一般流通の商品と温泉地でお土産としての販売される限定の商品があります。温泉の選定には、何か基準があるのでしょうか。

「温泉の選定は、温泉成分を表現した時、家庭で使用される風呂釜を傷めないことが一つ。また、酸性、強アルカリ性は配合しないなど、独自のルールを決めています。なので、草津温泉は有名ですが、酸性が強く商品化できないんです。」と杉浦さん。生後3か月以上の赤ちゃんから使えるバスクリンの入浴剤。草津温泉や有馬温泉が商品化されてないのには、ちゃんと理由がありました。

また、入浴剤に配合する成分は、肌ざわりの再現だけでなく、家庭の浴槽や排水管、そして環境に対して害がないように作られています。

「商品として皆様の手に届くまでに、1年半以上の時間がかかっています。どの入浴剤も発売された後も消費者の声を聞きながら、よりよいものにするため、改善改良を繰り返しているんです。」と渡部さん。

研究所には、入浴剤が使用されるシーンを想定して、色や溶け方などをチェックする入浴剤評価室と呼ばれる部屋があり、一般的な浴槽に使われるFRPからホーロー、ステンレス、ひのき材、人工大理石など、様々な素材でできたバスタブがズラリと並んでいます。

「ここでは、入浴剤の色味や溶け方、香りの立ち方を同時に確かめています。奥にある個室のお風呂では、実際に自分で作った入浴剤を試して、完成度を高めるんですよ。」と杉浦さん。成分、香り、色と様々な要素をマッチさせながら、地道に研究開発がおこなわれていました。

温泉地へ行った気分を香りで表現

次に入浴剤の香りを開発する調香室を案内していただきました。入浴剤の重要な要素、香りを作る調香師さんの姿を発見。

「温泉探索」にも同行する調香師さんは、お湯の香りだけでなく、その土地の風景、植物や果実などの特産物を参考にしながら、温泉地のイメージを香りで表現するそうです。実際に調香師の佐々木大輔さんに香りのサンプルを嗅がせていただきました。

「ひとつの商品に対して、50種類くらいの香りのレシピを作ります。そこから、入浴剤に適した香りに調整を重ねるんです。」と佐々木さん。成分だけでなく、香りにも徹底した調査と開発担当者の追求心が隠されていました。

ちなみに入浴剤の開発を行う企業で専門の調香師を抱えているのは、バスクリンさんだけとのこと。香りへのこだわりを知ったので、これから入浴剤の香り選びも楽しみの一つになりそうです。

日本の湯治文化を世界遺産へ

ここで以前から気になっていた温泉地へのアプローチ方法について尋ねてみました。「日本の名湯」シリーズになっている温泉地は、バスクリンさんから企画を持ちかけているのでしょうか。

「今では、地域活性化のために自分たちの温泉の入浴剤を作ってくれないかと要望をいただけるほどです。熱心に様々な温泉地からお声がけいただいています。」と東原さん。

実際に別府市からは、当時の副市長さんから入浴剤を一緒につくりたいと要望があり、商品化につながっている教えていただきました。さらに環境省や各地の温泉地と情報を共有し、第1回新チーム湯治全国大会で日本の湯治文化を世界遺産にと提案されたそうです。

「これからは入浴剤の開発だけにとどまらず、日本全国の温泉地の人と人をつなげる役割を企業として担っていきたいです。バスクリンが提供できる温泉、入浴に関するデータや入浴剤などの製品を地域の課題を解決するツールとして役立てていきたいと考えているんです。」と東原さんと相浦さん。日本の温泉文化、入浴文化の価値を位置づけるため、企業として全国の温泉地をサポートしていきたいと情熱を燃やしていました。

研究所にはこんな場所も!

さらに研究所には、安定性試験室と呼ばれる保管状況の試験が行われる場所があります。ここでは、家庭や流通におけるさまざまな保管シーンを想定し、長期の保存試験などを実施しているそう。実際に温度40湿度75%というまさにサウナ状態の試験室に入らせてもらいました。

「バスクリンでは三年間の品質保証をしています。香りも逃げないように容器は、特殊加工されているんです。」と杉浦さん。

安全性から耐久性、さらに使いやすさを追求し、使用試験をおこなっているバスクリンの容器。何気なく、お風呂場に置いていた容器がここまで考えられているとは脱帽です。

その他、人工気候室と呼ばれる部屋では、入浴中や入浴後のお風呂に入った際の人体への影響などの分析をおこなっているそう。壁には、図式化された研究成果がいっぱい。「日々の体調に合わせて、入浴剤を使い分けるとより良い効果が期待できるんです。」と教えていただきました。

長年の間、日本の家庭を温めてきたバスクリンの入浴剤。その裏には、真面目で実直な研究員の絶え間ない努力と入浴剤への愛と情熱が隠されていました。

入浴は新しい福利厚生!?「オフィスきき湯プロジェクト」

さらにバスクリンでは、ヒット商品の「きき湯」を職場に導入してもらい、社員の働き方や健康をサポートする「オフィスきき湯プロジェクト」を実施中。実は「きき湯」は大分県の長湯温泉をモデルに開発した製品です。

働く人の疲れをその日のうちに癒やすことで、職場でよりよいパフォーマンスを発揮できるようにとバスクリンが提案する福利厚生制度は、働き方が変化している今、大注目のプロジェクト。まずは、トライアルができるそうなので、興味を持った企業の方は、ぜひ問い合わせてみてください。

オフィスきき湯:https://www.bathclin.co.jp/office_kikiyu/?utm_source=officekikiyu&utm_medium=banner_pc&utm_campaign=officekikiyu201811

信頼できるものづくりを徹底し、日本の入浴文化を支えるバスクリンさんに感謝と尊敬の念が深まる取材になりました。これからもバスクリンの商品を長く愛用していきたいです。ありがとうございました!

バスクリン:https://www.bathclin.co.jp

書いた人

岡山県生まれ。後世に残したい旅館やホテル、ディープな温泉を取材。温泉旅行と絵を描くことが趣味。粉もんが大好物です。