梅雨に入って、最近ちょっと疲れやすいなぁと感じている方も多いかもしれません。そんな時こそ、食べものの力を借りて、美味しく手軽に養生したいですね。
そこで今回は、誰もが知っているパワーフード「にんにく」に注目!
ではさっそく、にんにくの歴史や効能とともに、元気が出るにんにく活用法などをご紹介していきますね。
参勤交代を下支えした「にんにく卵黄」
にんにくと聞くと「スタミナが付きそう」というイメージをお持ちの方も多いと思います。古代エジプトでピラミッドを建設する際に労働者が愛用していたという話は有名ですが、日本においても「滋養を付ける食材」として古くから注目を集めてきました。
例えば、江戸時代の「参勤交代」もそのひとつ。江戸とそれぞれの領地を1年おきに往復するというものですが、現代のように新幹線などなかった時代には、江戸に向かって何日もかけて歩いていました。
なかでも、江戸から最も離れている薩摩藩(鹿児島県)が歩く距離は、なんと約1600キロ! 聞いただけでも途方に暮れてしまいそうですが、そんな薩摩藩士たちを下支えしていたのが「にんにく卵黄」だったと言われています。
当時はまだ貴重品だったにんにくを使って、藩士の家族たちが手作りしていたのだとか。そこから広まって、南九州の家庭の伝統食として親しまれるようになりました。
ちなみに、にんにく卵黄の材料は、にんにくと卵黄だけ。作り方は、柔らかく蒸したにんにくをつぶしてペースト状にし、卵黄と混ぜて加熱しながら練り上げます。その後、成形して風通しのよい場所で乾燥させれば完成です。
家康が常食していた「にんにくのすりおろし」
以前に、味噌玉や芋がらの記事などでも紹介してきましたが、戦国武将にとって、食べ物は戦いの勝ち負けを左右するほどに重要なものでした。彼らが愛した食材や食べ方には、現代の私たちの食事を考えるヒントがたくさんあります。
健康オタクとしても知られる徳川家康が大好きだった、にんにく。誰よりも健康に気を使っていた家康は、「にんにくのすりおろし」を常に食べていたと言われています。特に、大好物だった料理は「鯛の天ぷらにおろしにんにくを添える」という食べ方。にんにくのおかげで魚独特の臭みも消えて、美味しく食べられそうですよね。
にんにくのすりおろしを使う料理と言えばすぐ思い付くのは「カツオのたたき」ですが、刺身や焼き魚など他の魚料理に組み合わせてもいいかもしれません。
にんにくが好きだった戦国武将は家康だけではありません。豊臣秀吉もまた、にんにくのパワーに注目していました。にんにくを数珠のようにつないだものを首にかけて、それを食べながら戦場に挑んだというエピソードも残っています。
戦国武将の強さの秘訣とも言うべき、にんにく。昨今の研究によれば、疲労回復や滋養強壮などのパワーに加えて、免疫力アップや血行促進(冷え対策)のほか、高血圧や糖尿病の予防など、さまざまな効果が期待されています。
気になる臭いの消し方は?
にんにくのパワーが素晴らしいことは分かっていても、何となく躊躇してしまうのは「あの気になる臭いがあるから」ではないでしょうか。
にんにくの臭いを消す方法としてよく知られているのは「食後に牛乳を飲むこと」ですが、お茶なども効果的なのだとか。お茶には消臭効果が期待されるカテキンやフラボンが含まれているためです。
その他「唾液を出すことで臭いを消す」という意味で水を飲んだり、歯や舌を磨いたりして臭いの元を除去する方法もあります。独特の臭いと上手に付き合いながら、にんにく料理を楽しみたいですね!
脳を活性化させる「アホエンオイル」
炒めものや煮込み料理などいろいろな料理に使えるにんにくですが、手軽に継続してそのパワーを摂取したいという時には「保存食づくり」がおすすめです。
にんにくを使った保存食のなかでも、ぜひおすすめしたいのが「アホエンオイル(にんにくオイル)」。「脳の働きが良くなる」という謳い文句に惹かれて作り始め、デスクワークの多い我が家ではもう10年以上も大活躍しています。
スプーンなどでそのまま食べてもいいですし、和え物やサラダなどに加えても美味しいです(1日小さじ1杯を目安に、加熱しない食べ方でいただきます)。また、しょうゆや味噌などとの相性も良いので、普段の料理の仕上げにひと回し加えるなど、取り入れやすいのがいいところ!
アホエンとは、にんにくの臭いの成分「アリシン」が油に溶けることで、新たに生まれる成分のこと。脳の血流アップや記憶力アップ、免疫力アップ、血行促進、美肌作用、疲労回復なども期待されています。また、油に溶けているので臭いが少ないのも使やすさのポイントです。
では、材料と作り方をご紹介しますね。
〈材料〉作りやすい分量
・にんにく 3~4片
・オリーブオイル(または米油やなたね油) 200ml
〈作り方〉
1.にんにくはみじん切りにして、2時間程度おく(こうすることでアホエンが増える)。
2.オリーブオイルを湯煎にかけて、50~80℃まで温める。
3.1のにんにくを2のオイルのなかに入れる。粗熱が取れるまで、そのまま置いておく。
4.にんにくを濾せば、身体にも口にも美味しい「アホエンオイル」のできあがり。
できあがったオイルは涼しい場所に置いて、1ヵ月程度は日持ちします。気温が高くなるようなら、冷蔵庫で保管してくださいね。冷えるとオイルが固まることがありますが、室温に出すとしばらくして元に戻るのでご安心を。
脳の働きを活性化するものと言うと、瞑想やヨガなどの運動、コーヒーやハーブティーなど人によってさまざまなものが挙げられそうですが、このアホエンオイルも必須アイテムになるかもしれません。まずはお試しで、ぜひ作ってみてくださいね。
疲れが出る前に、食材の力を借りよう
外出自粛が終わり、仕事や学校なども再開。そして全国的にも梅雨入りして、体調が乱れやすい時期になりました。
「再開疲れ」「梅雨バテ」などいろんな言葉が飛び交っていますが、いろんな疲れが深刻化する前に食べ物のパワーを取り入れて、夏に向けて元気な心身を保っていきたいですね。
にんにくのパワーで、健やかに過ごせますように。
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