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Gourmet
2020.08.11

参勤交代で愛されたイチジクの食べ方と、夏の疲れを癒す旬レシピ

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野菜や果物など、自然が産み出す産物はしみじみと美しいなぁと思うこの頃。なかでも、今が旬のいちじくは、見れば見るほど不思議な姿形をしていて、ついつい見入ってしまいます。

いちじくは漢字では「無花果」と書きますが、これは果実のなかに花を咲かせるため、外からは「花が咲かない」ように見えることに由来するのだとか。

さらに、いちじくは「不老不死の果実」とも呼ばれ、かつては参勤交代に使われるなど、人々の暮らしを古くから支えてきたことをご存知でしょうか。

「干しいちじく」は参勤交代のお供にも

アラビア原産のいちじくは、江戸時代に中国から日本に伝わったと言われています。当時の書物には「胃腸の働きを促し、下痢を止め、痔や喉の痛みを治す」と記されており、すでに身体に良い食材として扱われていた様子がうかがえます。

干しいちじくは、参勤交代のお供としても重宝されていました。栄養価が豊富ないちじくですが、いったん熟し始めると腐るのが早い果物です。そこで、いちじくを干すことで保存性を高め、長旅の疲れを癒す食材として持参していたということですね。

夏から秋にかけて旬を迎える、いちじく。たくさん手に入ったら、干しいちじくを手作りしてみてもいいかもしれません。

作り方は、いちじくを適当な大きさに切り、重ならないようにザルなどに並べて、お天気のよい日に天日干しにするだけ。数日間すると水分が飛んで甘さが凝縮!セミドライの干しいちじくができあがります。急いで作りたい時や天候が心配な時などは、オーブンを使ってくださいね。

クレオパトラも好んだ「いちじく」の栄養は?

不老不死の果実とも呼ばれ、あのクレオパトラの好物だったとも言われる、いちじく。最近は、アンチエイジング食材としても注目を浴びていますが、一体どんな栄養が含まれているのでしょうか。

・ペクチン(水溶性食物繊維)…便秘改善
・カリウム…高血圧予防
・フィシン(たんぱく質分解酵素)…消化促進

その他、カルシウムや鉄などのミネラルも果物のなかでは多く含まれており、貧血やイライラ対策などにも効果が期待されています。いちじくの粒々のなかには女性ホルモンの一種「エストロゲン」にも似た構造を持つ「植物性エストロゲン」も含まれているのだとか。

また、いちじくの茎を切った時の白い汁は、民間療法では、痔(じ)やイボ、虫刺されの薬としても使われてきました。江戸時代の書物『和漢三才図会』には、いじくは「五痔を治す」とも記されています。

5分で作れる!いちじくを使った簡単料理レシピ

前置きが長くなりましたが、何はともあれ、いちじくを味わってみましょう。いちじくと言えば、果物やデザートのイメージが強いかもしれませんが、実は、料理に使うのもおすすめ。

私の暮らす愛知県は、いちじくの一大生産地。旬の時期にはいちじくを使った料理がずらりと並ぶ「いちじく会席」を提供する料理店などもあります。

いちじくのやさしい甘さが加わることで料理に奥行きが生まれ、普段の料理が大変身します。ではさっそく、簡単レシピ2品をご紹介しますね。

いちじくとくるみのサラダ

まずは、いちじくを使ったサラダを作ってみましょう。いちじくは、くるみなどのナッツ類やチーズ、香りのよいハーブ類などとよく合います。今回ご紹介するのはシンプルなレシピですが、お好みで茹で卵や鶏肉などを組み合わせると、ボリューム感のある一品になります。

レモン・塩・酢・オリーブオイルを混ぜ合わせた、爽やかなドレッシングを添えていただきます。

〈材料〉2人分
・いちじく 1個
・くるみ 10粒程度(アーモンドなどでもOK)
・レタス 5~6枚
・ベビーリーフやハーブ(お好みで)適量

〈作り方〉
1. いちじくは皮をむいて串切り、レタスは一口サイズに切る。
2. 皿に全ての材料を盛り付けて、お好みのドレッシングをかける。

いちじくの白和え

まったりとした白和えすることで、いちじくの風味がさらに引き立ちます。箸休めや酒の肴にもぴったりで、子どもからお年寄りまで幅広い世代に好まれる和の一品です。

〈材料〉2人分
・いちじく 1個
・絹ごし豆腐 1/4丁(100g)
・白ねりごま 小さじ1
・白味噌・はちみつ 小さじ1/2

〈作り方〉
1.豆腐は軽く水切りをしておく。いちじくは皮をむいて1センチ角に切る。
2.ボウルに1の豆腐を入れて、泡立て器などで混ぜてなめらかにする。白ねりごま・白味噌・はちみつを加えて、さらに混ぜる。
3.2のボウルに1のいちじくを加えて、さっと混ぜる。

普段の料理が大変身!いちじくの活用法

サラダや白和えなどの生で食べる料理だけでなく、いちじくは加熱しても美味しくいただけます。

カレーに加えると、奥深い味わいになります。「隠し味にりんごを加える」という使い方にも似ていて、やさしい甘さのあるカレーは子どもにも食べやすいです。

炒めものにも、いちじくをプラス。こちらは「パイナップル入りの酢豚」のイメージにも似ています。味や食感にアクセントが生まれて、食卓で話題になること間違いなしです。

完熟いちじくが大量にある時には、いちじくソースを作ってみましょう。刻んだいちじくに、バルサミコ酢(なければ黒酢など他のお酢でもOK)・しょうゆを加えて煮詰めてソースにします。このソースは、お肉やお魚のソテーに添えると美味しいです。

昔からたくさんの方に愛されてきた、いちじく。そのままシンプルに味わうのも美味しいですが、料理にもぜひ活用してみてくださいね。

旬の果物を味わいながら、夏の疲れを癒して健やかに過ごせますように。

書いた人

バックパッカー時代に世界35カ国を旅したことがきっかけで、日本文化に関心を持つ。大学卒業後、まちづくりの仕事に10年以上関わるなかで食の大切さを再確認し、「養生キッチンふうど」を立ち上げる。現在は、風土食をのこす・つくる・伝える活動をしている。神奈川県生まれ、愛知県在住の国際薬膳師。https://www.kitchenfudo.com/