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2020.09.04

昭和レトロな「パタパタ」って何のこと?伊丹空港がオシャレに大規模リニューアル!

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伊丹空港の「パタパタ」って何のことだかわかりますか? 正式名称は「ソラリー式反転フラップ」と言って、空港ではフライトをお知らせする案内板として使われていましたが、今ではほとんどLEDや液晶が主流に。どこの空港でも徐々に姿を消す中で、伊丹空港は日本第二の都市・大阪の玄関口でありながら、昔ながらの「パタパタ」が見られるレトロ感じ漂う空港として、一部のマニアらから人気でした。そんな伊丹空港の到着口にあった「パタパタ」も2018(平成30)年に姿を消すことに。2020(令和2)年に完了した大規模リニューアルでは、なんと、あの昭和の面影を残す伊丹空港が「え、あなた誰?」というくらい、今ふうのオシャレな空港に姿を変えたのでした。

50年ぶりの大改修で生まれ変わった伊丹空港

平成になっても昭和なイメージのまま、シニア出張族に安心感を与えていた伊丹空港(大阪国際空港)が50年ぶりの大規模リニューアルを終え、2020(令和2)年8月5日にグランドオープンを果たしました。大都市の玄関口なのに、空港構内にレンタカーステーションができたのが先行リニューアル時の2018年というのですから、どれほどレトロだったかご想像できるかと思います。久しぶりに伊丹空港を利用する方は、その変貌ぶりに驚くことでしょう。
今回は私のような昭和な人間でも挙動不審にならずに搭乗までの時間を楽しめるように、生まれ変わった伊丹空港をご案内します。

※正式名称は「大阪国際空港」ですが、関西では「伊丹空港」と呼ばれることが多く、ここでも伊丹空港という呼称を使用します

昭和、平成、令和と3つの時代を生きた伊丹空港

伊丹空港は1939(昭和14)年に「大阪第二飛行場(伊丹飛行場)」として開場し、その後1958(昭和33)年に「大阪空港」に、翌年には「大阪国際空港」と、その名称を変えています。昭和の高度経済成長期には関西の玄関口として大阪を中心とした関西経済を支えました。平成になって関西国際空港(関空)ができると国際線は伊丹空港から関空へ移りましたが、関空よりも都心に近い伊丹空港は国内線利用者にとってメリットの大きい空港として愛されています。
そして令和時代になり、約50年ぶりの大規模リニューアルが完了したのです。

パタパタの撤去

2018(平成30)年の先行リニューアルでは、あの人気の「パタパタ」もなくなってしまいました。「パタパタって何?」という方にわかりやすく説明すると、昭和時代の音楽番組『ザ・ベストテン』で使われていたランキングを発表するアレ! 昭和世代の私はあの「パタパタ」を見るたびに脳内で中森明菜さんの『北ウイング』が流れるという、パブロフの犬状態。
この説明でだいたい昭和世代には通じるのですが、これでもわからない若い方には「ソラリー式回転フラップ」という堅苦しい言葉で説明するしかありません。

保安検査後にウォークスルー型商業エリア

今回のリニューアルで今までと大きく変わったのが、保安検査後の商業施設の充実。伊丹空港はリニューアル前はかなり寂しい状態だったのです。逆にこの寂しさが「あぁ、伊丹空港だなぁ」と感じる点でもあったのですが、北側(JAL側)南側(ANA側)ともに、飲食ゾーンと物販ゾーン、オープンスペースを備えたウォークスルー型商業エリアが誕生。大阪人は伊丹空港では時間つぶしができないことを知っているので、保安検査締め切りギリギリに到着するのが鉄則だったのですが(笑)、今後は余裕をもって到着してフライトまでの時間を楽しめるようになりました。

画像:関西エアポート株式会社

関西の人気お土産が揃う

北側(JAL側)には大阪で愛される庶民派スイーツ「りくろーおじさんの店」も。焼き立てチーズケーキに使われるクリームチーズはデンマークの伝統ある工場から直輸入した品質・生産技術ともにこだわったものです。りくろーおじさんに限らず、大阪では「安くて美味しい」というのはあたりまえ。焼き上がるとベルでお知らせしてくれます。

“おじさん” の焼き印を押したら出来上がり

梅田の北にあるちょっとディープな街、十三(じゅうそう)の人気和菓子店「喜八洲総本舗」も出店。オシャレになった伊丹空港にこういうお店が出店しているのも大阪らしくていいですね。こちらも北側(JAL側)で、みたらし団子はお土産としてだけではなく小腹を満たすにもおすすめ。1本からでもOKです。あぶった時に焦げ目が付きやすくタレの絡みをよくするための俵型のフォルムが特徴です。

南側(ANA側)には「じゃらんマルシェ」がお目見え。じゃらん編集部がセレクトしたお土産ショップなので旅好きは要チェック!見た目も可愛く、猫好きの心に刺さるのが、写真のにゃらんの肉球をモチーフにした肉球クランチチョコ。大阪らしく、ミックスジュース風味なのもポイントです。

最後まで関西グルメ三昧

石焼ビビンバの日本発祥店、「白雲台」にも注目。大阪のコリアンタウン鶴橋で45年の歴史がある人気店です。白雲台の石焼ビビンバはご飯そのものにも味がついていて、かなり旨みの感じられる仕上がりです。おこげもしっかりとできるのでカリっとした食感も楽しめます。石焼ビビンバだけではなくホルモンチゲやプレートランチも。冷麺はハーフサイズも用意されています。

大阪旅行の最後には “粉もん” で締めたいと思う方もいるでしょう。「たこ焼きたこぼん」は、空港でも本格的な粉もんが食べたいと思う方におすすめです。気軽に楽しめるので、別腹や軽食としてどうぞ。

ラグジュアリーホテルのラウンジまで!

今回のリニューアルで特に驚いたのが、出発まで優雅な時間が過ごせるラグジュアリーホテルのラウンジ&バーの出店。ホテル ラ・スイート神戸ハーバーランドの直営店「グラン・ブルー」が保安検査通過後に楽しめるようになりました。
グラン・ブルーの出店は、まさに今回の伊丹空港改修プロジェクトが掲げる “PREMIUM KANSAI” のコンセプトを象徴する特別なお店。終わりよければ全てよし!というわけではありませんが、旅の最後を締めくくるのにぴったりなお店。もちろんこれから始まる旅のプロローグとしてもオススメ。

店内は旅気分の上がる滑走路ビュー。バータイムにはラ・スイートのソムリエが厳選したワインやシャンパーニュなど、オトナな空港時間を楽しむことができます。このカウンターに座ってグラスを傾ければ、誰でも素敵なおじさまになれそうな気が……。女性好みのインスタスポットはよくありますが、男性が思わず自撮りしたくなるような渋いスポットは貴重!

フライト前のアルコールは控えたい……という方には濃厚なマンゴースムージはいかがでしょうか

中でも私が最も心を奪われたのが、1日30食限定の “朝ごはんフェスティバル日本一” のル・パン朝食セット。ラグジュアリーホテルの朝食がなんと500円(税別)。6:30からオープンしているので、これを求めて今後のフライトは早朝便を選んでしまいそうなくらい魅力的です。

※ 写真は “朝ごはんフェスティバル日本一” のル・パン朝食セット にソーセージとたまねぎスープをサイドメニューとして追加したもの
画像提供:ホテル ラ・スイート神戸ハーバーランド

今までもこれからも、愛すべき伊丹空港

若い人の「オシャレになって嬉しい!」という声の一方で、昭和時代に社会を支えた人や出張帰りの父親を空港に迎えに行った思い出のある人からは「なんだか寂しい」という声も。それ激しく同意!!私はちょうどこの中間に位置するため、嬉しい声以上に寂しい声もよく理解できるのです。どんどんキレイになっていく他の空港を見ては「それに比べて伊丹空港は……」と思っていたので、今回のリニューアル後の姿には正直感激しました。ですが同時に昭和感たっぷりの伊丹空港を愛していたことに気づかされたのです。
少々寂しい気持ちもありますが、楽しく、便利に、使いやすくなったということは喜ばしいことです。

撮影協力:大阪国際空港

書いた人

生まれも育ちも大阪のコテコテ関西人です。ホテル・旅行・ハードルの低い和文化体験を中心にご紹介してまいります。普段は取材や旅行で飛び回っていますが、一番気持ちのいい季節に限って着物部屋に引きこもって大量の着物の虫干しに追われるという、ちょっぴり悲しい休日を過ごしております。