Culture
2020.12.16

歌舞伎を初めて観る人、必読?スタッフが本音で語るドキドキ歌舞伎初体験

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歌舞伎というと「難しそう」とか、「よくわからない」など、見たいと思っても、なかなか勇気が出ない。そんな人も多いことでしょう。和樂webスタッフの面々もそうでした。

ところが先日、ライター有志と共に歌舞伎観劇をしたところ、その印象が変わったそうです! そこで、歌舞伎初心者ならではの、本音を交えた座談会を開催。歌舞伎大好きライター代表が、感想を色々聞いちゃいました!

歌舞伎を見てみたいけど、どうしようかな~と迷っているあなた! 是非、参考にして下さい!

◎メンバー紹介
◆鳩:歌舞伎観劇は、初めて。美大出身で、絵やアートに興味がある。漫画も好き。

◆きむら:歌舞伎観劇は、初めて。エンディングをライフワークとして取り組んでいる。

◆とま子:歌舞伎観劇は、2回目。学生時代は、スポーツに励む少女。スポーツ観戦が好き。

◎見た演目 第2部
『彦山権現誓助剣ー毛谷村ー(ひこさんごんげんちかいのすけだち けやむら』
剣豪・宮本武蔵を連想させる人情溢れる主人公と、周囲の人物が織りなすアットホームでユーモアのある作品。
『文売り(ふみうり)』
恋文売りが、遊女のけんかを、舞踊で表現。
『三社祭(さんじゃまつり)』
二人の漁師が善玉と悪玉の面をつけて踊るテンポと切れのよい舞踊劇。
会場:東京・半蔵門国立劇場

見る前は、どんな感じでしたか?

鳩:予備知識があった方がいいと思って公演の演目を調べたら、題名や登場人物の名前が難しくて。どうやって楽しもうかと、ちょっと不安になりました。JーPOPのライブなら気軽に行けるけど、服装も気をつけなくちゃいけないのかなと思ったり。

きむら:デニムは着ちゃダメなのかな? とか。

とま子:私は初観劇は歌舞伎座だったんですが、銀座という土地柄もあるのか、1階席は着物の人が多かったです。でも、私の座っていた3階席は、皆カジュアルな服装でした。靴だけは、スニーカーはマズイだろうなと思ってやめましたけど。

鳩:国立劇場は、お客さんも普通の服装だったし、お行儀良くしなくちゃいけないのかと緊張してたけど、そんな心配もいらなかったので、ほっとしました。

とま子初めての歌舞伎座

実際に歌舞伎観劇してどうでしたか?

きむら:定式幕(じょうしきまく)※を手動で閉めるのに驚きました!

鳩:初めて生で見たら、舞台の背景が、写実的にしっかり描かれていてビックリ。ツケ打ち※が迫力ありました。

とま子:歌舞伎座で見た時に、悪役の衣裳が、原色の組み合わせになっていて、対する片岡仁左衛門の役は淡い色合いなので、色で役を表現しているのが面白かったです。かっこいい役だった仁左衛門が、今回は人情味溢れる役だったのも、違いが感じられて面白かったです。

※3色に染めた布を縦に縫い合わせて作った引幕。
※登場人物の行動や仕草を強調させるために、2本の木を板に打ちつけて音を出すこと。

歌舞伎観劇したスタッフとライターの面々

発見がいっぱいあった中で、歌舞伎の内容はどうでしたか?

とま子:最初に見る前は、色々下調べしたんですが、今回はとりあえず見てみようと思って、あまり調べずに見ました。笑いとかもあったので、リラックスして楽しめました。台詞でわからない言葉があったので、見終わってから、スマホで検索したりしました。私は、このやり方がいいみたいです。

鳩:事前に調べた時にすごい長いお話だったのに、その一部しか上演しないんだということに、まず驚きました。もっと難しいのかなと思ったけど、アクションが大きかったり、笑う場面もあって面白かったです。ただ言葉は、やっぱりわからないところもありました。

きむら:そうですね。ところどころ、わかる言葉が出てくるという感じ。あらすじを読んでいたので、理解はできましたが。

舞踊劇は、どうでしたか?

鳩:『文売り』と『三社祭』は、予備知識がないままで見ました。『文売り』は、中央で踊っている人がいるのですが、舞台上で楽器を演奏したり、唄のような語りをしたりする人が一緒に出ているのに驚きました。生の演奏なので迫力がありました。言葉の意味がわからなかったのが残念でしたね。

とま子:私は記事の編集作業で浮世絵をよく見ているので、『三社祭』に、浮世絵に登場する善玉と悪玉が出ていて、「あ、一緒だ!」と思いました。

鳩:浮世絵を見たときに調べたら、人の善と悪を擬人化したキャラクターらしいと書いてありました。当時のトレンドだったんでしょうかね。動きが激しい踊りで、客席から大きな拍手が起こったりして楽しかったです。

『踊独稽古(おどりひとりげいこ)』 葛飾北斎 国立国会図書館デジタル

1部の公演も見られたとか

きむら:皆さんとは2部公演を見たんですが、1部の公演も気になって、別の日に弟と一緒に見に行きました。あさぎ色の幕がさっと落ちてきて、場面が変わったり。舞台の転換が大仕掛けですごかったです。最後に島に一人取り残された俊寛が、崖に登って手を振る場面では、ほろっと涙ぐみそうになりました。俊寛役の中村吉右衛門が平清盛との二役で、尾上菊之助が妻と島へやってくる使いの役をやっていました。こんな風に役を兼ねるのも意味があるのかな? とか興味深かったですね。

『平家女護島ー俊寛ー(へいけにょごしま しゅんかん』。
鬼界ヶ島に流された俊寛の悲劇の物語。紆余曲折のあと、一人島に残ることを決意する俊寛の姿が胸に迫る。

これからの歌舞伎観劇は?

鳩:見る前は、全てがわからないといけないのかと思ったけど、そんなことはないと実感しました。次は歌舞伎座で観劇予定です。もっと台詞が理解できた方が楽しめそうなので、イヤホンガイドを利用するのもいいかなと思っています。

とま子:歌舞伎のチケットは高いイメージでしたが、席にこだわらなければ結構リーズナブルなのがわかったので、これからも行きたいです。遊女の浮世絵をよく見ているので、次は遊女が出てくるのが見たいですね。どんな作品を見るか選ぶのも大事だと思うので、詳しい人にお勧めを聞いてから行きたいと思います。

きむら:私も、次は歌舞伎座で観劇予定です。祖母が坂東玉三郎のファンなので、一緒に行きます。今日の座談会で、これからどんどん歌舞伎が見たくなりました。

歌舞伎の公演情報は、こちらからどうぞ!
歌舞伎情報サイト 国立劇場

歌舞伎公式総合サイト 歌舞伎美人

アイキャッチ:『源氏雲浮世画合 紅梅 お園・毛谷村六助』 一勇斎国芳 国立国会図書館デジタル

書いた人

幼い頃より舞台芸術に親しみながら育つ。一時勘違いして舞台女優を目指すが、挫折。育児雑誌や外国人向け雑誌、古民家保存雑誌などに参加。能、狂言、文楽、歌舞伎、上方落語をこよなく愛す。ずっと浮世離れしていると言われ続けていて、多分一生直らないと諦めている。