言葉は知っているけれど、漢字が分からない。あれ? どっちだったっけ……。そういうこと、けっこうありますよね。
「肝にめいじる」の「めい」もその1つではないでしょうか。「命」? 「銘」? うーん……。
でもこれ、意味を知ってしまえばもう間違えない! かもしれない。
じゃあ、一体どんな意味で、どちらの漢字を使うのでしょうか。
正解は、「銘」
正解は、「銘」のほう。
「肝に銘じる」とは、しっかり心に刻み付けて忘れないようにしておく、という意味ですが、「銘」という漢字には「金属や石などに刻みつける」「書きつける」という意味があります。
一方、「命じる」というのは、「命令する」という意味。
命令するのではなく、刻みつけてしっかり覚えておくのだから、「銘じる」なのだな、と考えると、忘れずにいられそうです。
そういえば、肝ってなに?
ところで、刻みつけておく「肝」っていったい何でしょう?
肝臓などの内臓という意味もあるのですが、この場合は「心」ということ。昔、そこに魂が宿っている場所・思考が生まれる場所と考えられていたことから、この場所に刻みつける、大事にする、という発想が生まれたのですね。
この言葉の歴史はかなり長く、治承2年(1178)に書かれた日記『玉葉(ぎょくよう)』や平家物語などにも見られます。言葉界のご長寿さんですね。
アイキャッチ画像:メトロポリタン美術館蔵
参考文献
・『日本国語大辞典』小学館
・『デジタル大辞泉』小学館
・『故事俗信ことわざ大辞典』小学館
・『新選漢和辞典 Web版』
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