庭めぐり1日目は、叡電と共に比叡山麓エリアをのんびりめぐりました。2日目は、「南禅寺」から哲学の道を上がって「銀閣寺」まで、京都の散歩コースの穴場ともいえるスポットです。紹介する庭は、いずれも日本庭園としての構成や秋の風情が素晴しく、歩いて楽しむのに最適。
2日目は南禅寺〜銀閣寺エリアで、季節の彩を堪能
9時の開門に一番乗りしたいのは、南禅寺の塔頭名刹「金地院」。方丈の広縁に腰掛け、小堀遠州作の白砂と石組み、苔と木々が巧みに配置された鶴亀の日本庭園を眺めましょう。伏見桃山城の遺構を移築したと伝わる方丈には、狩野探幽の天井画や狩野尚信の襖絵、茶室「八窓席」に隣接する小書院には長谷川等伯の襖絵も。
弁天池をひとまわりして東照宮も見物したら、この地域でもひときわもみじの紅葉が美しい「天授庵」へ。こちらも人気の少ない朝のうちに訪れるのがおすすめの穴場スポットです。庵を囲む白壁からは鮮やかに色づいたもみじが枝を伸ばし、庭園へと誘います。小堀遠州作といわれる枯山水と南北朝時代の池泉回遊式の庭があり、複数の種類のもみじが赤や朱、橙色に黄色と秋色のグラデーションをつくる様は圧巻!
金地院
金地院の鶴亀の庭の白砂に施されているのは水面を表す砂紋
天授庵
天授庵の方丈前庭。緑の苔に縁どられた菱形の畳石が白砂を横切る枯山水庭園
東山を間近にした紅葉の名所をぶらり
「天授庵」で秋の景色を堪能したら重文の三門をくぐり、色づいた紅葉を見上げながら「南禅寺」の法堂へ。東山の麓に広大な敷地をもつ「南禅寺」は、高い寺格をもつ名刹中の名刹。お目当ての小堀遠州作の枯山水の日本庭園は、豊臣秀吉が寄進した京都御所の清涼殿を移築した国宝の大方丈に。川を渡る虎の親子に見立てた、6つの石を配した「虎の子渡しの庭」と呼ばれる名庭です。さらに枯山水の「如心庭」や回廊に囲まれた「六道庭」が。狩野探幽筆の「水呑みの虎」や狩野元信による襖絵も、忘れずに拝見したいものです。
南禅寺
如心庭と呼ばれる南禅寺の小方丈庭園は、昭和41年の作
ランチは京都らしい季節の料理を
南禅寺を後にしたら、野村美術館の前の通りから「永観堂」へ。「もみじの永観堂」と称されるように、一面を赤く染める紅葉したもみじは感動のひと言です。ここからは東山の山麓沿いに哲学の道を北上しながら歩を進めます。
今日の昼食は、哲学の道の南端に位置する熊野若王子神社の紅葉も垣間見ることができる「叶匠壽庵」で、京都らしい白味噌仕立ての雑煮と季節の料理や甘味をいただき、午後の散歩に出発。「泉屋博古館」で青銅器や東山を借景にした洋庭の清々しさを眺めたら、白川を渡って「金戒光明寺」や「真如堂」へも。新旧バラエティに富んだ庭を観賞することができます。
叶匠壽庵
叶匠壽庵の若王子春秋富弁当
泉屋博古館
東山を望む泉屋博古館の中庭
金戒光明寺
金戒光明寺は繊細な紅葉
真如堂
伽藍や三重塔が並ぶ真如堂
庭園を眺めながらいただく甘味は絶品
哲学の道に戻ったら「よーじやカフェ」でひと休み。もとは大正14(1925)年に宝石・眼鏡商の別荘として建てられたもので、2003年に「よーじや」がもとの雰囲気を生かした形で、カフェを併設したショップをオープン。母屋では、宇治の抹茶に合うスイーツを、手入れの行き届いた日本庭園を眺めながらいただけます。
山門前の紅葉が見事な「安楽寺」、竹林の参道や茅葺きの山門が風情をかもす「法然院」を経て、「銀閣寺」へ。何度来ても心にしみる景色が楽しめる「銀閣寺」で、そろそろ庭めぐり2日目を終えましょう。
よーじや銀閣寺店
左/よーじや銀閣寺店の1階座敷 右/銀閣寺店限定メニュー
旅の最終日は四条河原町周辺を散策!
庭めぐりもいよいよ最終日。今日は町中で出合えるかわいらしい庭を目当てに、四条河原町周辺を行ったり来たりしてみましょう。
小さくて素敵な庭を発見
南北に走る烏丸通西側、新町通の三条を少し下がったところにあるのが、楽しい絵柄の長襦袢などを扱う「紫織庵」。中庭を囲む典型的な商家のつくりはそのままに、襦袢と町家の美術館として一般公開しています。蔵や茶室を備える建物の見どころは、大正モダンの洋間を設えている点。中庭を、その和洋折衷空間から眺めると、大正時代にタイムスリップしたようです。
紫織庵
秋には紅葉も楽しめる紫織庵の中庭
レストランやビルの中にも隠れている
昼食は、白壁の蔵と緑が覆う中庭の眺めも素晴しいフランス料理店「レストランMOTOÏ」で。地の野菜をたっぷり使うフルコースは、和食が続きがちになる京都の3日目の胃に新鮮な風味をもたらしてくれます。
腹ごなしに鴨川河川敷を歩いて四条まで下がり、「何必館・京都現代美術館」で現代アートと紅葉した1本のもみじを。錦市場に戻って京都の味をお土産に、2泊3日の庭めぐり旅を終えましょう。
レストランMOTOÏ
庭が絵のようなレストランMOTOÏ
何必館・京都現代美術館
何必館・京都現代美術館はビル内に庭が