茶の湯旅1日目は、堀川通界隈で、お茶の総本山である大徳寺などをめぐりました。2日目は大化2(646)年に橋が架けられたという、歴史ある川・宇治川を中心に、3日目は老舗が多く残る寺町通界隈で、茶の湯の名店を行ったり来たり。心ゆくまで堪能しましょう。
2日目は銘茶のふるさと宇治へ
滔々と流れる宇治川、優美に浮かぶ中の島、そして山並みが三位一体となって麗しい光景を築く宇治。平安貴族の別荘地として親しまれてきたこの地で、最初に向かいたいのは世界遺産の「宇治上神社」です。本殿は平安後期の建立とされ、鎌倉時代の拝殿とともに国宝。華やかな平等院とは異なった落ち着きが胸を打ちます。
宇治上神社
国宝の本殿、宇治上神社
宇治川沿いをのんびり歩いて
宇治川に戻って南東に進むと、慶長年間から続く「朝日焼窯元」が。初代が小堀遠州の指導を受けたことにより、朝日焼は遠州七窯のひとつに数えられてきました。その先にあるのが「興聖寺」です。さてランチは川沿いの「RAKU CAFE AND GALLERY」のたまごサンドはいかがでしょう。ほっこりと懐かしい味に大満足。
朝日焼窯元
朝日焼窯元の外観
興聖寺
興聖寺の参道
お茶体験の後は、旬の味を
そして午後は「中村藤吉本店」で「挽き茶とお茶席体験」を。重たい石臼で碾茶と呼ばれる茶葉を挽き、その後濃茶と、先ほど挽いた薄茶の2種のお茶を、いかにもわびた茶室空間でいただきます。これまで味わったことのないような茶の甘み、そして流れるような美しいお点前、これこそ茶の真髄が味わえる最上の体験といえるでしょう。
今晩のお楽しみのディナーは、名店「竹林本店」で。四季の京料理を旬の食材でいただけるお食事は、目も心も十二分に満足させてくれます。
中村藤吉本店
お茶席体験のお菓子は名物の生茶ゼリイ(季節により変化します)
竹林本店
竹林本店で季節の一品をいただく
最終日は寺町通界隈で、茶の名店めぐり!
丸太町通から四条通を南北に走る寺町通は、茶の湯マニアが避けて通れない注目スポット。今日は、茶道関連の人気店を集中的にはしごしてみましょう。「十八番屋花花」は箱のお店。京版画の第一人者として知られた徳力富吉郎さんが描く京名所などの絵柄の箱に、異なる中身のお菓子を自在に組み合わせて楽しみます。
十八番屋花花
十八番屋花花のおはこ
老舗がずらり
その先には、一保堂茶舗京都本店の「喫茶室嘉木」。自分の好きな濃さで淹れる煎茶や番茶、それに季節の和菓子でゆっくりしましょう。「京都古梅園」は奈良墨の名門、古梅園の支店として正徳4(1714)年に創業。すでに300年を超える老舗です。京筆をはじめ、京都店だけが扱うオリジナル商品が並んでいて、茶事などの手紙に必要な書道具を揃えることができます。二条通を西に入ると、こちらにも茶の老舗「柳桜園茶舗」が。京都にしかない、知る人ぞ知る日本茶の専門店。香りの高いまろやかなお抹茶を、ぜひお試しください。
喫茶室嘉木
喫茶室嘉木のお抹茶セット
京都古梅園
京都古梅園の外観
柳桜園茶舗
古さを感じる柳桜園茶舗
ランチの後は、茶道具店をふらふら
ランチは「二條ふじ田」がおすすめです。ご主人の実家があの和菓子の二條若狭屋なので、食後にはお抹茶と二條若狭屋の主菓子がいただけます。帰りのお弁当として、ちらし寿司の折詰めを注文しても。
このあたりは茶道具店がたくさんあり、すべてを見て回りたいところですが、数寄者御用達の「上原永山堂」は外せません。高麗茶碗や桃山時代の和物など、品格の高い時代物の茶道具が見つかります。ぜひご予約の上、訪問を。どうぞ寺町通の端から端まで、時間の許す限り楽しんでください。
二條ふじ田
二條ふじ田のお持ち帰りちらし寿司
上原永山堂
上原永山堂で名品鑑賞