美への寛大な精神を共有する「ブルガリ」と地中海世界
「ブルガリ」の創業者である銀細工職人、ソティリオ・ブルガリは、ギリシャから地中海諸国を巡り、ローマの地へ。古代ギリシャ・ローマの芸術にデザインの源泉をたどることができる宝飾工芸品で人気を博すと、のちにダイヤモンドやプレシャスストーンを用いたジュエリーの制作に力を注ぐようになります。
1950年代、圧倒的な存在感を放つ「ブルガリ」のジュエリーは、撮影のためにローマを訪れていた映画スターの心を捉え、その名は瞬く間に世界で知られるようになっていきました。唯一無二の様式美はいつしか「ブルガリ・スタイル」と讃えられ、イタリアン・ハイジュエリーの魅力を広く世に伝える役割を担っていくことになります。
一方、中世まで時代を遡った西洋社会では、ヴェネチアを中心に〝地中海文化〞が華麗に花開いていました。14世紀以降、貿易都市として最盛期を迎えたヴェネチア。人々が豊かな暮らしを謳歌する美しい水の都には、世界中の珍しいものが行き交い、優れた芸術家や工芸技術をもつ職人が集まっていました。また、かつて戦争をしていたイスラム諸国との貿易までも積極的に行うなど、ヴェネチアの人々の自由で寛容な精神は、地中海諸国とその文化にも多大な影響を与えていくことになります。伝統を守りながらも未知のものを受け入れ、変化を楽しむ地中海世界に生きる人々の気風。それは、ギリシャにルーツをもつ「ブルガリ」にも、受け継がれてきた精神だといえるでしょう。だからこそ、そのクリエイションはコレクションが発表されるたびに衝撃にも似た感動を与えてくれます。この最新ハイジュエリーコレクション「メディテラニア(地中海)」も例外ではありません。挑戦を楽しむメゾンのクリエイションに到達点はなく、新たなデザイン、新たな技巧が常に試され、そのクリエイションは終わりなき進化を続けていくのです。
東洋と地中海を結びつける鮮明なオレンジ色の宝石
華やぎを極めたデザインに躍動感をもたらす魔法の色彩
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ブルガリ ジャパン 03-6362-0100
撮影/戸田嘉昭
※本記事は『和樂』2023年10,11月号の転載です