村田森さんの〝季節を楽しむ暮らし、刻を映すうつわ〟
料理を盛ることができれば、うつわとしてはそれで十分。けれど、それだけでは満足できないと感じることがあります。どうして私たちは、うつわにこだわるのでしょうか。
それはきっとうつわと料理の美が、「美味しい」「楽しい」という感情を喚起することを知っているから。だから、素敵なうつわを目にすると、私たちはどうしても欲しくなってしまうのかもしれません。
なぜ私たちは、〝村田森〟のうつわに惹かれるのか
かねてより村田さんは、将来に残っていくようなうつわを生み出したい、と考えてきました。そのため、中国の古染付(こそめつけ)や韓国の古いやきものを数多く写してきました。といって、名品をキッチリ再現している感じでないのが、村田さんの面白いところ。描線はちょっとゆがんだり、花や魚の絵付けもゆるゆるしていたり……ほんのちょっぴりスキがあるのです! 本格的な懐石にも、家族が食卓を囲む家庭料理にも、すっとなじむやわらかな味わいが、村田さんのうつわの最大の魅力です。
村田さんのうつわは、
心がほどけていくような優しさや
古いものに通じるおおらかさがある
村田 森 むらた しん
1970年京都生まれ。1993年に京都精華大学陶芸科を、翌年に同研究科を卒業。荒木義隆氏に師事後に独立。2003年に京都・雲ケ畑に築窯し、年間10回以上個展を開いてきた人気作家でありながら、2016年に新作の発表を停止。2020年に、現代美術家の村上隆氏とともに陶芸専門店「となりの村田」(https://tonarinomurata.com/)を立ち上げ、二十四節気をテーマにした392点のうつわの受注生産を始める。
撮影/篠原宏明 構成/植田伊津子、後藤淳美(本誌)
※本記事は雑誌『和樂(2023年2・3月号)』の転載です。
※表示価格はすべて税込価格です(「となりの村田」https://tonarinomurata.com/)。
※掲載商品には1点ものや数量が限られているものがあり、取材時期から時間がたっていることから、在庫がない場合もあります。