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Jewelry&Watch

2025.09.24

ショーメCEO チャールズ・レオン氏が語る、245年の伝統と革新──大阪・関西万博「自然美への賛歌」

大阪・関西万博のフランスパビリオンで、ショーメの特別展示が行われています。創業1780年、フランスを代表するハイジュエリーメゾンであるショーメ。今回の展示では、ブランドの歴史やクラフツマンシップを象徴する貴重なティアラや、和紙で作られたハニカム構造のオブジェなど、日本文化への敬意が込められた作品も展示されています。ショーメを率いるCEO、チャールズ・レオン氏に、メゾンの矜持やハイジュエリーの魅力、そしてショーメのこれからについて話を伺いました。

チャールズ・レオン/ショーメ最高経営責任者(CEO)

香港生まれ。香港中文大学とパリのESSECビジネススクール卒業。カルティエでキャリアをスタートし、マーケティングや小売分野に従事。2006年にショーメに入社。6年間にわたり中国市場中心にアジア太平洋地域を担当。その功績が認められ2012年、ディストリビューション&セールス担当バイス・プレジデントに昇格。2018年、フレッドのCEOに就任。2024年1月から現職

1780年の歴史が紡ぐハイジュエリーの使命


フランスを代表するハイジュエラー、ショーメ。1780年にパリで創業して以来、ナポレオン1世や皇后ジョゼフィーヌをはじめ、多くの王侯貴族や文化人を魅了してきました。ティアラを中心に培われたジュエリーの芸術性は、宮廷文化の中で磨かれ、今もなおメゾンを象徴する存在として息づいています。
その長い伝統を受け継ぎながら、時代にふさわしい表現を追求することこそ、現代のショーメの使命です。CEOのチャールズ・レオン氏は、その中心にあるのがハイジュエリーだと語ります。

「ハイジュエリーはブランドにとって極めて重要です。メゾンのシンボルであり、創造の精神を体現するものなのです」

新作コレクションは、デザイナーや職人、さらにはマーケティングチームなど、多彩な専門家の知見を重ね合わせながら方向性を探ります。数多のアイデアが交差する中で、一貫した世界観を築き上げるには、最後に誰かが舵を取らなければなりません。その役割を担うのがCEOです。

「最終的にテーマを決めるのは私の責任です。全体のビジョンを統一し、ショーメらしさを最大限に表現することが求められます」

ショーメのコレクションは、一つひとつが“メゾンの声明”とも言えるもの。
その根底に流れる美学を守りながら、新たな未来への道を示すこと――それこそが、CEOに託された使命なのです。

万博で示す“ショーメの真髄”

大阪・関西万博で展示される3つのティアラは、1780年の伝統とメゾンの精神を象徴する存在。かつてナポレオン1世と皇后ジョゼフィーヌによって権力の象徴からファッションへと昇華されたティアラは、ショーメのアイコンとして現代のクリエイションにも受け継がれています。

「クラフツマンシップ、品質、そして自然からのインスピレーション。それこそがショーメの根幹です」とレオン氏は語ります。職人の手仕事によって生まれるディテールのひとつひとつが、メゾンの哲学と精神を体現しています。

「多くのジュエリーを展示することも可能ですが、あえて3つのティアラに絞ることで、訪れる人々にショーメの歴史や世界観を鮮明に体験していただけるでしょう」とレオン氏は続けます。展示の焦点を絞ることで、過去から現代に至るメゾンの歩みと、未来への挑戦が一目で感じられるのです。

さらに、展示空間には和紙で作られたハニカムの装置が配され、日本の自然や美意識への敬意を示す演出として来場者を迎えます。伝統と革新、歴史と現代のクリエイションが呼応する空間は、目にするだけでなく心に深く刻まれる体験となるでしょう。


「2026年には大阪心斎橋の旗艦店オープン、その後銀座の旗艦店オープンを予定しています。この万博を通じて、ショーメの名を鮮やかに記憶に刻んでいただきたいのです」とレオン氏は語ります。

フランス文化の象徴 ― メゾンの歩み

「ショーメはフランスにおいて国宝に等しい存在だと考えています」

ナポレオン1世の戴冠式や王室の婚礼を彩り、近年では五輪のメダルデザインをも手がけるなど、フランスの歴史と文化を体現してきたショーメ。その存在は、単なるジュエラーとしての枠を超え、芸術と国家の記憶を重ねる象徴として、国民の心に深く刻まれています。

「控えめでありながら気品に満ち、揺るぎない品質と伝統。それがショーメの魅力です」

香港出身であるレオン氏は、外部の視点からショーメの普遍的な美しさを鮮明に感じ取る立場にあります。伝統に根差した普遍性と、革新を恐れず挑む姿勢――この二つの要素が絶妙に共存することで、ショーメは現代においても、唯一無二の特別な存在として輝き続けているのでしょう。

伝統と革新 ― 身につける芸術としてのジュエリー

ジュエリーは単なる装飾品ではなく、身につけることでアートとして生きる存在です。「29年間ジュエリー業界に身を置いてきたため抵抗なく身につけられますし、いまは男性も自然にジュエリーを楽しむ時代です」日常に寄り添いながらも、個人の表現や品格を高める存在として、ジュエリーは時を超えて人々の心を豊かにしてきました。

「私は常に新しいアイディアに心を開いています。ただし、伝統を壊すのではなく、そこに革新を重ねることが重要です」とレオン氏は続けます。ショーメでは、過去の作品や歴史に刻まれた職人技を見つめ直し、最新の技術を融合させることで、次世代の“国宝”とも呼べる珠玉の作品を生み出しています。
こうした取り組みは、1780年の創業以来守り続けてきたメゾンの精神を現代に伝えると同時に、未来への挑戦を力強く示すものです。

1780年の伝統を守りながらも革新を恐れないショーメ。大阪・関西万博の展示では、その両方が絶妙に融合したハイジュエリーの世界を間近で体感できます。自然や歴史からインスピレーションを得たクリエイションの数々は、日本の観客の心に深く響くことでしょう。

Chaumet, an Ode to Living Nature- ショーメ、自然美への賛歌 –


期間:2025年9月1日(月)~2025年10月13日(月・祝)
会場:大阪・関西万博2025 フランス館
時間:9:00-21:00
https://www.chaumet.com/jp_ja/world-expo-osaka-kansai

※ご入場には大阪・関西万博2025のチケットが別途必要となります

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和樂web編集部

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