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Art

2025.10.01

世界が注目する14歳の才能! 若冲にも通じる「つぶつぶアートぬりえ」とは?

世界が注目する14歳の現代アーティスト・Conoca(このか)さん。 独自の技法「つぶつぶアート」で多彩な動物たちを描き出すその表現は、伊藤若冲の升目描きを思わせる緻密さと遊び心にあふれています。 そんな彼女の作品が、ぬりえブックとして登場。大人も子どもも楽しめる新感覚のアート体験とは?

国際的な注目を集める若き才能

2011年東京生まれの現代アーティスト、Conoca(このか)さん。わずか10歳で麻布十番にて初個展を開催し、作品はほぼ即日完売という快挙を達成、若手アーティストの登竜門として知られる「昭和会展」では、史上最年少・小学生で特別賞を受賞するなど、いま注目のアーティストです。

現在14歳の彼女は、9歳の時に確立した独自の技法「つぶつぶアート」で絶滅危惧種を中心とした動物を描き、その作品を通じてアートシーンのみならず社会からも大きな注目を集めています。活動の場は国内にとどまらず、パリのギャラリーでの展示や、チャリティを通じた社会貢献にも積極的に取り組んでいます。

小学館アートぬりえBOOKシリーズの系譜に連なる現代作品

『小学館アートぬりえBOOK』は、誰もがアートを身近に感じられるようにつくられたシリーズ。伊藤若冲の「ぬりえどうぶつえん」を皮切りに、歌川国芳、葛飾北斎、アルフォンス・ミュシャなど、人気絵師の作品をぬりえとして再構成してきました。

特に若冲のぬりえは、升目を埋めていく新しいタイプのぬりえとして話題を呼び、子どもから大人まで幅広い層に支持されています。

『つぶつぶアートぬりえ』は、このシリーズにおいて初の現代アーティスト作品。江戸時代のカリスマ絵師から現代の若手アーティストまで、時代を超えたアートの魅力を伝える同シリーズの新たな展開といえるのかもしれません。

独自技法「つぶつぶアート」は現代の曼荼羅?!

Conocaさんが確立した「つぶつぶアート」は、小さな円を無数に重ねて動物の姿を描く独特の表現技法です。この手法は、心を癒やす効果があるとされる曼荼羅アートがベースになっているそう。色を塗り重ねるうちに自然と集中状態に導かれ、リラックス効果やストレス軽減、脳トレへの効果も期待できます。

伊藤若冲の升目描きとも通じる「つぶつぶアート」

興味深いのは、この表現方法が、伊藤若冲の代表作《白象群獣図》、《鳥獣花木図屛風》、《樹花鳥獣図屛風》といった「升目描き」の作品に通じるものを持っていることです。若冲は、画面を墨の線で無数の“升目”に区切り、そのひとつひとつを丁寧に塗り分けることで、白い象や虎、猿、そして想像上の麒麟までも描き出しました。遠くから眺めれば壮大な動物たちの姿が浮かび上がり、近づけば細部の緻密さに息をのむ――その圧倒的な迫力と遊び心が、今なお多くの人を魅了しています。

Conocaさんの「つぶつぶアート」もまた、無数の小さな丸や点を積み重ねて全体像を浮かび上がらせる独自の技法を用いています。つぶつぶをぬり進めるうちに、動物たちが少しずつ姿を現す瞬間は、まるで若冲の屏風を覗き込むような驚きと感動をもたらします。細部を積み重ねることで全体が形づくられる――そこに共通するのは、日本美術に息づく「細密表現」の精神です。

<動画で「つぶつぶアート」をチェックする>

そして、ぬる人自身がその世界をつくり出す体験こそが、「つぶつぶアート」の醍醐味。小さな“つぶ”が集まって大きな生命を描き出すとき、誰もがアーティストになれるのです。

絶滅危惧種への想いを込めた21種の動物たち

本書には、レッサーパンダ、ワオキツネザル、オオヤマネコなどの絶滅危惧種から、ウサギ、ゾウ、キリンといった身近な動物まで、全21種の生きものが収録されています。動物を描くなかで「好きな動物が絶滅危惧種である」と気づき、だからこそ作品の中ではいつまでも輝き続けてほしいという想いが込められているのだとか。

各ページは切り離し可能な構成で、完成した作品を額装して飾ることも可能。唯一無二のアート作品として楽しめそう!

初心者も安心!カラーページや動画でぬり方を解説

本書には、色の選び方やグラデーションの付け方など、美しく仕上げるための技法が丁寧に解説されているのも嬉しいポイント。ぬりえのコツを解説する動画も用意されており、書籍内二次元コードから簡単に閲覧することができます。初心者でも安心して取り組むことができますね。

現代アートの新たな可能性を示す『つぶつぶアートぬりえ』は、定価1,540円(税込)、A4変・46ページの構成で、小学館より発売されています。小さなつぶを彩る毎に、細部から全体が立ち上がる驚きと、自ら作品を生み出す喜びを体感できるでしょう。


新感覚!どうぶつたちとカラフルな冒険へ つぶつぶアートぬりえ
Conoca 小学館 1540円(税込)

https://www.shogakukan.co.jp/books/09682508

<著者プロフィール>
2011年東京生まれ。6歳で幼稚園の絵が『世界児童画展』佳作に選出。7歳ごろからInstagramで発表を始め、東京を中心に名古屋・関西のフェスやグループ展にも参加する。9歳で独自技法「つぶつぶアート」を確立し、絶滅危惧種を題材にした作品で国内外から評価を集める。10歳で麻布十番にて初個展『10〜つぶつぶアートⅠ〜』を開催して注目を集め、11歳には日動画廊の専務の目にとまり小学生として史上初の出展を果たす。
12歳(小6)で若手美術家の登竜門「昭和会展」特別賞を受賞し、最年少での入選・受賞という快挙に到達。いのちへのまなざしと、無数の“つぶ”が紡ぐ色のリズムを核に、いまも世代を超えて届く作品世界を発表し続けている。

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和樂web編集部

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