「牛耳(ぎゅうじ)る」もそんな不思議な言葉の1つ。意味や由来を知ると、見え方が違ってくるかもしれません。
牛耳るの意味とは?
牛耳るとは、団体や組織などの中心人物となって自分の思い通りに動かすこと。「自分の思い通りに」という意味合いを含むところから、ややマイナスのイメージも伴う表現です。
「牛耳を執(と)る」から転じた言葉で、現在「牛耳る」「牛耳を執る」両方の表現が使われています。
「牛耳る」の由来がちょっと怖かった……
しかしなぜ、「牛の耳」が関係あるのでしょうか?
古代中国では、諸侯(しょこう)が盟約を結ぶ場で、中心人物である盟主がいけにえの牛の耳を執って裂き、諸侯はその血をすすり誓いあったといいます。そこから、リーダーシップを取り、その場やグループを仕切ることを「牛耳を執る」「牛耳る」と言うようになりました。
なお、呉(ご)の王・夫差(ふさ)が中原(ちゅうげん)の覇者になろうとしたとき、晋(しん)の定公と牛の耳を執って、血をすする順序を争ったという逸話も残されています。
アイキャッチ画像:鈴木春信『A Woman Sweeping up Her Love Letters』メトロポリタン美術館より
参考文献:
・『日本大百科全書(ニッポニカ)』小学館
・『デジタル大辞泉』小学館
・『日本国語大辞典』小学館
・『角川類語新辞典』©Misao Ono, Masamitsu Hamanishi

