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Fashion&きもの

2026.04.11

世界最高峰の極細ウールを巡る、「ロロ・ピアーナ・レコード・ベイル賞」第27回目の受賞者を東京・表慶館で発表

明治42年に誕生した日本最古の本格的な美術館、東京国立博物館「表慶館」。2026年4月1日、この歴史的な場所を舞台に、世界のテキスタイル界が注目する栄誉ある賞が発表されました。 イタリアの至宝、ロロ・ピアーナが主催する「ロロ・ピアーナ・レコード・ベイル賞」です。 1997年の創設以来、世界最高品質のメリノウールを生産した牧場を讃えるこの賞。 27回目を迎えた今回は、ブリーダーたちのたゆまぬ挑戦の結実として、最新の卓越した記録が披露されました。

師と仰いだブリーダーとの出会い。1997年から続く情熱の軌跡

この賞の物語は、1990年代後半に遡ります。ピエール・ルイジ・ロロ・ピアーナが、ニュージーランドで最も経験豊富なブリーダーのひとり、ドナルド・バーネットと出会ったときにすべては始まりました。
ピエール・ルイジは、極細ウールの追求において彼を「師」と仰ぎ、その先駆的なビジョンを讃えるために1997年に「ロロ・ピアーナ・レコード・ベイル賞」を創設したのです。

最高峰の遺伝子を持つメリノ羊と、飼育に適した豊かな自然環境。オーストラリアとニュージーランドというふたつの地は、最高品質の羊毛を育む力をもっています。しかし、この賞に参加できるのは、ごくわずかな牧場のみ。なぜなら、糸として紡ぎ、ウェアに仕立てるのに十分な強度を持つウールを、最低90kg生産できるという厳しい要件が求められるからです。

「ロロ・ピアーナ・レコード・ベイル賞」

ロロ・ピアーナが毎年、オーストラリアとニュージーランドのトップ牧場に、その優れた功績を讃えて贈る賞。何世代にもわたり特別なメリノ羊を育て、卓越性を追求し続ける熟練ブリーダーたちの絶え間ない研鑽を奨励するとともに、世界にたったひとつしかない特別なアイテムを手に入れる機会を提供します。長年にわたり、「ロロ・ピアーナ・レコード・ベイル賞」は、妥協のない品質、革新性、上質なメリノウールを追求し続ける姿勢を讃えてきました。

髪の毛の約7分の1! 歳月を経て進化した「極限」

今回、オーストラリア部門で受賞したのは、パメラ、ロバート、ブラッドリー・サンドラントが経営するピレニーズ・パーク牧場。彼らが2025年に生産した10.4ミクロンのウールは、一般的な人間の髪の毛(約70ミクロン)の約7分の1という驚異的な細さです。同牧場は、2023年に10.2ミクロンという歴史的な世界記録を樹立したことでも知られる名門。世界記録の保持者でありながら、なおも10ミクロン台という極限の細さを安定して生産し続ける姿勢は、まさに卓越性の体現にほかなりません。

また、ニュージーランド部門ではアリステアとダンカン・キャンベルが経営するアーンズクルー牧場が11.2ミクロンで受賞。1997年の第1回受賞時の記録が13.8ミクロンであったことを考えると、繊維の細さは約30%も向上しており、ブリーダーたちの飽くなき探究が伺えます。

ガラスの中に眠る世界記録と、受け継がれる「ザ・ギフト・オブ・キングス(R)」

世界記録を樹立した「ベイル」は、次の記録が更新されるまで、ピエモンテ州クアローナ工場にあるセルジオとピエール・ルイジ・ロロ・ピアーナの執務室の傍にて、ガラスの容器に収められて保管されます。2023年の世界記録更新は2013年以来の快挙でした。新たな記録が生まれることは、それまでの「最高記録」が解放されることも意味します。従来の記録の「ベイル」は唯一無二のウェアに仕立てられ、限られた特別な顧客、確かな審美眼を持つ愛好家のために提供されます。

レコード・ベイルのコンテストに参加するすべてのメリノウール・ベイルは、その並外れた細さからロロ・ピアーナが買い取り、「ザ・ギフト・オブ・キングス(R)」のウェアへと生まれ変わります。
この名は、かつてスペイン王室がヨーロッパの君主たちへメリノ羊のつがいを贈ったという、高貴な伝統に由来するもの。

ザ・ギフト・オブ・キングス(R)の糸や生地は、軽量で自然な伸縮性を備え、寒い季節には暖かく、暖かい季節には熱を放出して気候の変化に寄り添います。さらに、重量の最大35%もの水分を吸収するため、その肌触りはどこまでもさらりと心地よいのが特徴です。

ウェアのラベルには、採取年や原産地、そして繊維の細さに至るまで、その歩みが克明に記されています。それは、2025年にまた一歩、極限へと近づいたブリーダーたちの、実直な研鑽の記録にほかなりません。

タイムレスで希少、唯一無二の価値を持つレコード・ベイルのウェアは、メリノウール生産における真の卓越性を象徴するもの。この賞は、世界最高品質のウールを調達するというロロ・ピアーナの情熱、そして究極の肌触りと真のラグジュアリーに対する、メゾンの深い献身そのものと言えるでしょう。

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和樂web編集部

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※『和樂』2026年4・5月号 美術展カレンダーに誤りがありました。P.224で紹介しました、福岡県・久留米市美術館で開催中の「美の新地平ー石橋財団アーティゾン美術館のいま」の入館料は、正しくは一般1,500円となります。お詫びして訂正いたします。
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