日常をカラフルに彩る型染の色とかたち。「染色工房 幟屋」染色家・石北有美さん

グラフィカルなデザインを表現する染色の手仕事
花や葉っぱ、小鳥や魚などが描かれた大胆なデザインとビビッドな色。
「染色工房 幟屋(せんしょくこうぼう のぼりや)」の石北有美(いしきたゆみ)さんの型染(かたぞめ)の布を見ると、「わぁ!」と心が躍ります。
石北さんが手がけるタペストリーや手ぬぐいを、全国の民藝店やギャラリー、ミュージアムショップで見かけたことがある人も少なくないのではないでしょうか。
「染色をはじめたのは、女子美術大学に入学してからです。卒業後は故郷に戻ってグラフィックデザイナーとして働いていたのですが、20年ほど前から染色の制作をはじめました。
公募展の『国展』や『日本民藝館展』に出品して入選すると、民藝を扱うショップやギャラリーの方々から『個展をしませんか?』とお声がけいただくようになりました」(石北さん、以下同)
染色の仕事をはじめたときは、バッグなどの小物を手がけることが多かったそうですが、民藝と関わるようになると、少しずつ制作するものが変わっていったのだといいます。
「民藝にまつわる仕事が増えてきて、暮らしの中で使うものを多く手がけるようになりました」(石北さん)

「沖縄のやちむんや大分の小鹿田焼(おんたやき)など民藝のうつわを食卓に取り入れることが増えて、民藝のうつわに合う布はどのようなものなのかを考えるようになりました。
テーブルセンターやのれんなど、暮らしの中でインテリアを豊かにしてくれるものの制作が、自然と増えてきました」
そう笑顔で語る石北さんのイメージそのもののようなカラフルな布は、まさに民藝の美意識といえる、気負いのない健やかさを感じさせます。
デザインを考え、型紙をつくり、染色、仕立てまでを手仕事で行う石北さん。
パソコンでデザインすれば、インクジェットで染色できるテキスタイルが主流の現代において、型染の布にこだわるのはなぜ?
「型紙を使ったり、糊を使ったり、手仕事でつくられたもののほうが味わいがあるし、愛着が湧くのではないかと思って。
私が女子美の学生だったときは、大学院で柚木沙弥郎(ゆのきさみろう)先生が教えていらっしゃいました。
若いころに民藝の思想に出合われた柚木先生も、グラフィカルな色とかたちで時代の最先端の表現をされました。
私も型染という技法を大切にしながら、新しいものを目ざしていきたいです」

工房での型染作業を拝見!





●染色工房 幟屋
2026年夏は、阪急うめだ本店(大阪)のポップアップショップの後、日本橋髙島屋(東京)で開催される民藝展(8月26日〜9月7日)のショップで作品が並ぶ予定。
公式サイト:https://noboriya.net/

