「101年目の民藝は“バランス”なのかもしれません」(日野明子さん)
インターネット、特にSNSの発達によって、民藝を取り巻く環境は大きく変わりました。どこでだれが何をつくっているのかはもちろん、話題性や希少性も可視化でき、自分の感性でものを選ぶことが難しくなりました。
私は、暮らしに馴染み、主張しすぎないものが好き。考えすぎず、作為なく、無欲でつくられたものは、使っていて心地いい。そういうものが民藝だと思います。
そんなふうに自分の感覚でいいなと思えるものを、生活環境にどう取り入れるのか。101年目の民藝は“バランス”が大切なのかもしれません。
一方で、その土地ならではの材料や、育まれてきた技術を継承して“つくり続ける”ことはこれからの民藝において重要な課題です。
「考えすぎず作為なく、すっとできたものは心地がいい」(日野さん)
たとえば、神奈川の中津箒(なかつほうき)。自分たちで材料のホウキモロコシを農薬不使用で育て、無理のない働き方で一度廃れた仕事を復活させました。

岩手で南部鉄器の鉄瓶を手がける佐々木奈美(ささきなみ)さんは、東日本大震災後に鉄瓶職人養成事業に応募し、独立。
若い感性を活かした、現代のキッチンに馴染む端正な鉄瓶が人気です。

それから、「民藝は使ってなんぼ!」を実感する平岡正弘(ひらおかまさひろ)さんの拭き漆のカトラリーは、持った感じも口当たりも素晴らしい。

また、胡桃(くるみ)を心から愛し、納得する樹皮を選んで採り、樹皮の性質、表情に合わせた作品づくりを自分のペースで行っている山形の一景舎(いっけいしゃ)さんの作品もいい。(「工藝風向」https://foucault.tumblr.com/で取り扱われています)
それから、柳宗悦(やなぎむねよし)が朝市で見つけ、その美しさに感動し再興させた丹波布(たんばふ/たんばぬの)。
その思いを今に引き継ぐ織姫のひとり、閑林美圭(かんばやしみか)さんは本来の縞織を無地に見えるような格子で仕上げています。
いずれもずっと使っていきたい品ばかり。

101年目こそ、「いい仕事を長く続かせる」ために、自分の目で選び、使い続けましょう。(日野さん談)
日野明子さんprofile
ひの・あきこ 1967年生まれ。1999年「スタジオ木瓜」設立。百貨店やショップ、作家、産地をつなぐ問屋業を軸に、地場産業のアドバイスなども。インスタグラム:@a_hino
●日野さん推薦品の取り扱い店公式サイト
「夏至」https://www.geshi.jp/
「THE STABLES」https://thestables.jp/
「中津箒/ まちづくり山上」https://nakatsuhouki.jp/
「仙台光原社」https://kogensya.sakura.ne.jp/
※掲載している価格は、すべて税込価格です。

