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2026.08.02

“日常の中の幸せ”を形にした心ときめく「プリン・ア・ラ・モード」前編【ホテルニューグランド、千疋屋総本店】

明治期、日本に流入した西洋の食文化は料理のみならずデザートも。その代表であるプリンやアイスクリームが大衆の口に入るのは昭和の高度成長期のころ。庶民の憧れをひと皿に集めたプリン・ア・ラ・モードは、今も懐かしく私たちを魅了します。長く愛される理由を掘り下げた特集の前編では、発祥の地「ホテルニューグランド」と高級フルーツの「千疋屋総本店」をご紹介します。

ホテルニューグランド コーヒーハウス「ザ・カフェ」

「プリン ア ラ モード」誕生秘話に歴史的なホテルの転機あり

昭和2(1927)年、横浜港と山下公園が目の前という立地に“横浜の迎賓館”として華々しく開業。ところが終戦を境に、米軍高級将校らの宿舎としてホテルは7年間接収されることに。
フランス料理を軸としてきた厨房にとって、アメリカ人の好みに応じたメニューづくりは挑戦の連続だったようですが、接収時代に「プリン ア ラ モード」が考案され、ここが発祥の地となりました。

プリンを主役にした名前が付いたのは、アイスクリームが主役のパフェと分けるため。また「プリン ア ラ モード」に使われるコルトンディッシュと呼ばれるガラス製のうつわは、本来はカクテルシュリンプなどの前菜用でした。

「ここにデザートを盛る発想に面白みがありますよね。アイスクリームも球体でのせられますし、生クリームもたっぷり。甘いもの好きのアメリカ人をもてなすためだったと聞いていますが、お客様の笑顔が見たくてこのうつわとボリューム感は、今も変わらずです」とペストリー担当の柏木康志さん。

硬めプリンもさることながら、卵の香りがするアイスクリームはホッとする味わい。今のお客様にもおいしいと感じてもらうために、時代に応じた微細なレシピの調整にも心を砕いています。

プリン ア ラ モード 2,024 円(カスタードプリン、バニラアイスクリーム、生クリーム、プルーン煮、リンゴ、キウイ、オレンジ、チェリー、ミント)【蒸しプリンの硬さ★★☆ カラメルの苦さ★★☆】

Column ここに注目!「プルーン煮」


フレッシュフルーツと異なる食感が味に奥行きを与えている。完成当初は洋酒で煮ていたが現在は水と砂糖、レモン皮で風味付け。

Column ここに注目!「日本の西洋料理の開拓者」


初代総料理長サリー・ワイル氏(左)と、2代目・入江茂忠(いりえしげただ)氏(右)。客の要望に応じて料理を考案する姿勢が数々の名品を生んだ。


●ホテルニューグランド コーヒーハウス「ザ・カフェ」 DATA
住所:神奈川県横浜市中区山下町10 本館1F 
電話:045-681-1841(ホテル代表)
営業時間:10時~ 21時(L.O.)
休み:無休
公式サイト:https://www.hotel-newgrand.co.jp/
※11時~14時は飲み物だけの利用不可。

千疋屋総本店 日本橋本店 フルーツパーラー

老舗果物専門店が誇る高級フルーツをふんだんに

日本橋という土地柄、“家族のごほうび”に千疋屋(せんびきや)総本店フルーツパーラーを利用するお客様が多いとか。
営業担当の関 亮次さんによると、「世代を超えた集まりには、昔ながらのデザートが好まれます。それもあって、こちらのプリンは硬すぎず、なめらかすぎず、濃厚さも狙わずに、あえて流行にのらないスタイルです。チョコレートソースのあしらいも、昭和感の演出のひとつです」

フルーツ専門店にとっては、プリンも重要だけれど、力が入るのはやはり果物。
「『プリンアラモード』といえば脚付きのうつわが主流ですが、平皿に盛り付けているのも、果物の存在を目立たせるためです。果物は大ぶりに切ったものを、ガブッと口に含んで果汁を感じてもらうのが一番。フルーツパティシエがその日の食べごろを吟味した果物を、丸かじりしているような気分でお楽しみください」(関さん)

果物は皮のまわりの旨みが強いので、できるだけその部分を残し、かつ美しくカットするのがフルーツパティシエの腕の見せどころだそう。
ひと皿を彩る形の違いに、老舗果物専門店の実力がうかがえます。

プリンアラモード 3,520 円(カスタードプリン、バニラアイスクリーム、ホイップクリーム、オレンジ、イチゴ、メロン、スイカ、パイナップル、キウイ、バナナ、チョコレートソース)※上記は一例で、初秋はブドウや柿が入ることも。【蒸しプリンの硬さ★★☆ カラメルの苦さ★☆☆】

Column ここに注目!「オープンキッチン」


注文が入ってから果物の皮をむくなど、デザートの仕上げをカウンターキッチンで公開中。フルーツパティシエの手さばきに惚れ惚れ。

●千疋屋総本店 日本橋本店 フルーツパーラー DATA
住所:東京都中央区日本橋室町2-1-2 日本橋三井タワー2F
電話:03-3241-1630
営業時間:11時~20時30分(L.O.)
休み:不定休(元日休)
公式サイト:https://www.sembikiya.co.jp/

※本記事は雑誌『和樂(2026年8・9月号)』の転載です。
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和樂web編集部


撮影/石井宏明 構成/藤田 優、後藤淳美(和樂)
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