Culture
2019.09.30

歌舞伎座「一幕見席」は低価格で初心者にもおすすめ!特徴やチケット購入方法も紹介

この記事を書いた人

歌舞伎って、長時間お行儀よく座って観劇するもの&高価で敷居が高いイメージがありませんか?
実は、歌舞伎座には、自分の好きな幕(お芝居)をランチ価格(500円~1,700円程度)で、お得に気軽に観劇できる「一幕見席(ひとまくみせき) 」チケットがあるんです!

一幕見席、知っていますか?

一幕見席の料金

武者小路あずき(以下、あずき):画像だと見にくいかもしれないから。
「秀山祭九月大歌舞伎」の幕見席の料金は、こんな感じ。

★=== (参考)一幕見席の料金 ===★
【昼の部】
一幕目『極付幡随長兵衛』    1,700円
二幕目『お祭り』         500円
三幕目『伊賀越道中双六 沼津』 1,800円
※全て観劇すると 3階B席 と同じ料金 4,000円。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
【夜の部】
『菅原伝授手習鑑 寺子屋』   1,500円
歌舞伎十八番の内『勧進帳』 1,500円
秀山十種の内『松浦の太鼓』 1,000円
※全て観劇すると 3階B席 と同じ料金 4,000円。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

アレキサンドリア・パイン(以下、パイン):
キョエー!思っていたよりも、や・す・いー!これなら毎月でも見られるわね。

あずき:でしょでしょ?

あずき:あと、歌舞伎の公演ってね。「昼の部」、「夜の部」に分かれていてそれぞれにチケットが必要なんだよ。

例えば、今月、一幕見席以外のチケットの料金は、昼の部、夜の部それぞれ(1等席)18,000円(2等席)14,000円(3階A席)6,000円(3階B席)4,000円(1階桟敷席)20,000円。
上記のチケットはすべて指定席でお昼のお芝居全部、または、夜のお芝居を全部見られるチケットなんだ。一幕見席で好きなお芝居だけを選んで観るのとは違うね。このチケットを持っていれば、歌舞伎座の中に入って、レストランや売店で楽しめるし、歌舞伎座だけの限定販売のお菓子やアイテムもゲットできるんだ。

一幕見席チケットは、販売時間が決まってる

あずき:一幕見席のチケット販売時間は、毎月、月初めに 歌舞伎公式サイト 歌舞伎美人に「幕見席のご案内」として掲載されるよ。

余裕を持って、チケットを買いに行こう

一幕見席は、幕見席チケット売り場(歌舞伎座1階正面玄関左側)で買うんだ。

あずき:ボクの場合だけどね。一幕見席でお芝居を見る時には販売開始の1時間前に歌舞伎座に到着するようにしているよ。人気の公演だと2時間くらい前(朝の部なら8時ごろ、夜の部なら12時ごろ)に歌舞伎座に行ったこともあるよ。

パイン:キョー!2時間前?

あずき:うん。それでも、チケットを買うまではしばらく立って待った記憶があるなー。お芝居は、座ってみえたんだけど。公演によっては、朝の部のチケットを買うために6時から並ぶ人もいたみたい。(参考:9月だと、朝一番のお芝居チケット販売開始時間は10:30)

パイン:4時間半前!す…スゴイわね…

あずき:そうかと思えば、チケット販売開始1時間前に歌舞伎座について「一番乗り!」なんて日もあって、並ばずにチケットが買えたこともあるよ。月初めの平日、人気のお芝居じゃない場合は、販売開始20分くらい前に行っても大丈夫だって言う歌舞伎仲間もいるよ。最終日近くと、土日祝だとやっぱり1時間前が確実かなぁ。

パイン:日によって、お芝居によって違うわけね?

あずき:そだねー。最近ではね、ツイッターを見て歌舞伎座に行く時間を決めたりすることもあるかなー。「幕見チケット、今日は開演30分前に行っても並ばずに買えました」なんて情報をつぶやいてくれる人もいるから。

パイン:なんか、時代を感じるわね~。ただ、あくまでも参考に、って感じね。ところで、なんでみんなそんなに早く行くの?

椅子席は、基本、90席

あずき:早めに並ぶのは、みんな椅子席で観たいからなんだ。立ち見で1時間、1時間半ってやっぱ辛いじゃん。

パイン:まーそーねぇ。で、椅子席って少ないわけ?

あずき:基本、椅子席は、90席。立見席は60席。お芝居によっては、席数が変動することもあるらしいよ。

パイン:うーーーん。多いような、少ないような。なんだか微妙な席数ね。

一幕見席 チケット購入の流れ

販売時間までは外で待ちます

あずきが紹介してくれたように、チケット売り場は、歌舞伎座1階正面玄関左側にあり、販売開始までは歌舞伎座の外(係員が誘導してくれる場所)で待ちます。
※係員がいる場合は、声をかけると案内してくれます。
※早めに歌舞伎座に到着できれば、チケット販売時間まで座って待つことができるので楽です。
※お手洗いに行きたくなったら、列の前後の方&係員に声をかけて一度列を離れましょう。

販売開始時間になると

販売開始時間になると、係員が切符売り場まで誘導してくれます。
並んでいる間に、どのお芝居を観たいかを考えておきましょう。窓口では観たいお芝居を伝えて、チケットをゲット!全てのお芝居を観たい場合は、「通しで」と伝えるとスムーズです。

チケットはこんな感じ。

好きなお芝居を1枚だけ買うのも良し、全てのお芝居のチケットを買うのも良し!1幕目と2幕目、2幕目と3幕目など連続した幕のチケットを買うのはOKだそうですが、1幕目と3幕目のチケットを同時購入することはできないそうなので、気をつけて。

2幕目以降のお芝居から見たい場合、1幕目から通しで見る人が多いと席が埋まってしまい、立ち見になったり、チケットが売り切れてしまうこともあるので注意。どうしても見たいお芝居がある場合は、1幕目から「通し」で買うのがおススメです。

夜の部は、チケットを購入してからお芝居まで約2時間、自由時間があるので(朝の部は、自由時間はほぼありません。)近所でお買い物をしたり、食事を楽しんだりできますよ。

チケット購入後は?

一幕見席入口からエレベーターで4階にあがります。
4階奥には、簡易待合場所があるので、早く着きすぎた場合は時間をつぶせます。

係員から指示された時間(大体、お芝居が始まる20分程前)に、4階・劇場入口前に集合し、チケットの順番通りに整列。チケットを係員に見せながら、ひとりずつ入場します。中に入ったら早い者勝ちで席取り合戦!

席を離れる際は、日傘や帽子ハンカチなどを置いておきましょう。
※席には、筋書(プログラム)や貴重品を置かない方が良いそうです。

一幕見席の特徴

★ 4階にはトイレ&自動販売機はあるけれど、売店はないよ。
通しで(全てのお芝居を)楽しみたい場合、お弁当は事前に購入しておくか、幕間(休憩時間)に外へ食べに行くことになるね。※一幕見席のチケットでは、歌舞伎座のレストランや売店へは入れないんだ。

★ 昼の部、夜の部ごとに完全入れ替え制。

★ 同一部(例:昼の部のみ、夜の部のみ)の連続した幕は、同じ席で観劇できる。
※幕が終わる度に係員がチケットをチェックしに来てくれます。

おあとがよろしいようで。

一幕見席で、毎月、歌舞伎

「歌舞伎は、敷居が高くて敬遠しがち」なんて皆さんにこそ、ぜひ試してもらいたい歌舞伎座の一幕見席。

前売りチケットが手に入らなかった方、好きなお芝居だけを観たい方、何度も同じお芝居を観たい方や海外の方など、一幕見席を活用されている方は、意外と多いみたいです。

「花道の近くで舞台芸術を堪能したり、役者さんを身近に感じたい」なんて時には、広くて贅沢な1等席、全体を俯瞰してみたい時には3階席、1幕だけ見たい時には一幕見席と目的別に使い分けると歌舞伎ライフの幅が広がりそう。一幕見席を活用すれば、毎月、歌舞伎観劇をすることも夢ではありません。

「秀山祭九月大歌舞伎」ピックアップ

【豆知識】「秀山祭」って?

2006(平成18)年に、初代中村吉右衛門の生誕120周年を記念して始まりました。歌舞伎界に大きな足跡を残した初世吉右衛門の功績を顕彰し、その芸と精神を継承していくことを目的としているのだそう。

今月のお芝居から、歌舞伎十八番の内『勧進帳』をレポート

[簡単なあらすじ] 兄・源頼朝(みなもとのよりとも)の怒りを買った源義経(みなもとのよしつね)一行は、逃避行を続けていた。義経は荷物を持つ強力(ごうりき)に変装し、武蔵坊弁慶(むさしぼうべんけい)と3人の家来たちは山伏に身を変えて関所を通ろうとするが、北陸道・安宅の関(現・石川県小松市)にさしかかった彼らを待っていたのは、関守(せきもり)の富樫左衛門(とがしのさえもん)だった。手に汗握る攻防、次々と繰り出される名場面に目が離せないお芝居。長唄も耳に心地よい。

”THE KABUKI”とも言える歌舞伎の代表作で、上演回数の多さから、舞台の「安宅の関」をもじって「またかの関」とも呼ばれている。市川宗家のお家芸だが、今月は、片岡仁左衛門丈と松本幸四郎丈が交互に出演して弁慶を演じていた。(奇数日には、仁左衛門の弁慶×幸四郎の富樫。偶数日には、幸四郎の弁慶×錦之助の富樫)。同じお芝居なのに、役者が変わるとガラリと雰囲気が変わるのも歌舞伎の魅力のひとつ。幕見席を活用して偶数日、奇数日、2回楽しむなんてファンが多かったのではないだろうか。

何度もお芝居を観ようと思うと、予算的にも幕見席が神席に思えてくるもの。みなさんも、幕見席で気軽にお芝居を楽しみましょう。

関連リンク: 歌舞伎公式サイト 歌舞伎美人