Culture
2019.11.25

図書館の便利なサービス!貸出中の本を次に借りたい時はどうするの?予約の方法を解説!

この記事を書いた人

「図書館に行ったけれど、探していた本が見つからなかった…。」とあきらめていませんか?
図書館では、館内にある本を提供するだけではありません。貸出中の本に予約をして戻ってきた時に取り置いてくれたり、本を他の図書館から取り寄せてくれたりするサービスも行っていますよ。

この記事では、知っているとちょっと便利な、図書館の「本のお取り寄せサービス」である「予約」と「リクエスト」についてご紹介します。

なお、「本のお取り寄せサービス」は、図書館に利用者登録をしていないと利用することができないので、ご注意ください。また、図書館により手続きや利用要件が異なりますので、詳しくは、普段利用している最寄りの図書館にお問合せください。
(この記事の「図書館」は、原則として「公共図書館」としています。)

図書館の「予約」と「リクエスト」とは?

探している資料が貸出中だったり、最寄りの図書館に所蔵がない場合には、「予約」ができます。
「予約」は、貸出中の本が返却されると取り置いてくれたり、最寄りの図書館に取り寄せてくれるサービスです。

自治体内の図書館に所蔵がない本を利用したい場合、「リクエスト」として受付できる場合があります。「リクエスト」は、図書館資料として本を購入する、あるいは、本を持っている図書館から借用するなどにより、本を提供するサービスです。

本が貸出中! 次に借りたい時はどうするの?

「読みたい本があるんだけれど、貸出中だった…。図書館に本が戻ってきたら借りたいんだけど、どうしたらいいの? 」

そんな時は、「予約サービス」をご利用ください!

貸出中の本を予約する

貸出中の本を予約する場合は、以下の4つの方法があります。

  1. 申込書に記入して、図書館のカウンターに提出する
  2. 図書館に電話をして申込む
  3. 館内の蔵書検索パソコンから、自分で予約する
  4. 自分のパソコンから予約をする

館内の蔵書検索パソコンや自分のパソコンから予約をする場合はパスワードが必要で、事前に図書館のwebサービスの利用手続きをしておく必要があります。

予約をしてから利用できるようになるまで、どのくらいかかるの?

予約をしてから利用できるまでどのくらいかかるのかは、図書館でも「わからない」というのが正直なところです。
本の返却予定日からおおよその日付を推測できる場合もありますが、話題の本の場合は100件以上の予約がついていることがあり、1年以上待つことになる場合も。
話題の本を早く読みたい場合は、書店で購入した方が早いかもしれません。

図書館のホームページで、「予約ベスト」などのタイトルで予約の多い本を一覧にして公開していることも多いので、どういう本が人気があって予約が多いのか参考にしてみてはいかがでしょうか。

近くの図書館に本を取り寄せたいんだけど?

「図書館のホームページから検索したら、探している本があることがわかったんだけど、ちょっと遠いんだよね…。」

そんな時も、「予約サービス」をご利用ください! 普段利用している近くの図書館に、本を取り寄せることができます。

図書館の資料は分担して収集・保存している

図書館のスペースは有限で、予算も限られています。
このため、図書館は、分担して本を収集・保存しています。例えば、古くて利用の少なくなった本は、中央館の書庫で保存したり。自治体内の図書館ごとに分野を決めて、歴史関係はA図書館、ビジネス関係はB図書館、美術関係はC図書館のように、分担して収集・保存している場合もあります。

そして、自治体内の図書館の本を共有するため、中央館を中心とした図書館のネットワークを作り、巡回車などで本を運ぶ仕組みを作っています。
この仕組みのおかげで、数日待てば、予約した本が近くの図書館に届くのです!

当日中に利用したい場合は?

「近くの図書館に本を取り寄せてもらえるのは助かる。でも、どうしても、今日中に必要なんだけど…。」

「当日中」というように、急ぎで必要な場合は、本のある図書館に事前に電話で問合せた上で、図書館に行くのが確実です。

利用者カードは自治体内の図書館で共通に使えるので、その場で貸出ができます。そして、利用が終わったら、近くの図書館でも返却できますし、駅前などにあるブックポストも利用できます。
本の返却期限は守りましょう。

絶版の本、図書館にあるの?

「探している本があるんだけれど、古くて絶版。書店では売っていないし、古書店のサイトでも、売っていなかった。もちろん、近くの図書館にもなかった。ネットで探したら、X図書館にはあることがわかったけれど、遠いんだよな…。X図書館まで行かなくてはだめなの? 」

そんな時は、「リクエストサービス」を利用してみてはどうでしょうか?

リクエストサービスの流れ

いつも利用している図書館のカウンターの職員に
「この図書館にはない、『○○○』という本を探している」
ことをお伝えください。その際、申込書にお名前と連絡先、書名などの本の情報(わかっている範囲で良い)を記入します。

リクエストを受けると、図書館の職員は、自館にあるかどうか、他の図書館で持っているか、購入できる本なのかなどを調査し、その本を図書館の資料として購入して提供するか、他の自治体や都道府県立図書館などから借用して提供するかを判断します。
他の図書館から借用して提供する場合は、所蔵館に問合せをし、資料取寄せの手続きをします。

本が用意できると、図書館から連絡があります。

なお、本によっては、館外貸出ができず、図書館内での利用に限定される場合もありますし、本をご用意できない場合もあります。
また、本の取寄せにあたっては、申込者が送料を負担する場合があります。

図書館のネットワーク

図書館に寄せられる資料の要求は多種多様。図書館1館だけでは、応えることが難しいのが現状です。
このため、図書館はネットワークを作り、ルールを決め、相互に協力・支援する体制を作っています。

例えば、東京都では、東京都立図書館のホームページ内に「東京都立図書館統合検索」があり、東京都立図書館のほか、都内の区市町村立図書館のどこに本があるかをまとめて検索することができます。

都内区市町村図書館は、利用者が求める資料が自治体内の図書館にない場合は、東京都立図書館や他の自治体の図書館で所蔵していないかを調査し、資料の借用の手続きをします。東京都立図書館は、都内の各自治体を週1回巡回する協力車を運行しており、東京都立図書館から各自治体の図書館に貸出す資料や、自治体間で貸し借りする資料を運んでいます。

このような図書館のネットワークは、すべての都道府県で構築されており、都道府県立図書館は区市町村立図書館を資料だけではなく、様々な面で協力・支援しているのです。

国立国会図書館のデジタル化資料送信サービスも便利!

国立国会図書館デジタルコレクション」は、国立国会図書館で収集・保存しているデジタル資料を検索・閲覧できるサービスです(収集・保存したウェブサイト、CD/DVD等のパッケージソフトは除く)。
 

「国会図書館デジタルコレクション」の公開範囲

「国会図書館デジタルコレクション」では、約269万点の資料が提供されていますが(2019年1月現在)、公開範囲は以下の3つに分かれています。

  • 一般公開:著作権処理を行い、インターネット公開しているもの(約53万点)
  • 図書館送信資料:デジタル化資料送信サービス参加館と国立国会図書館の館内で閲覧できるもの(約150万点)
  • 国立国会図書館内限定:国立国会図書館の館内でのみ利用できるもの(約65万点)
  • 著作権保護期間が満了した資料、著作権者の許諾を得た資料等については、インターネットを通じて本文の画像を公開しており、誰でも自分のパソコン等から利用することができますが、これは提供されている資料の20%弱です。
     

    「デジタル化資料送信サービス」とは

    「デジタル化資料送信サービス(図書館送信)」は、国立国会図書館のデジタル化資料のうち、絶版等の理由で入手が困難な資料を全国の公共図書館、大学図書館等の館内で利用できるサービスです。「図書館送信」で利用できる資料は約150万点で、一般公開資料と合わせると約203万点、全体の約75%の資料が国立国会図書館に行かなくても利用できるのです!

    なお、「図書館送信」を利用できる図書館は、国立国会図書館の承認を受けた図書館に限定され、利用できるのは各図書館の登録利用者に限られます。

     図書館向けデジタル化資料送信サービス参加館一覧(2019年11月1日現在)

    図書館に本がなくてもあきらめない!

    このように、近くの図書館に本がなくても、他の図書館から本をお取り寄せをして、利用することもできるんです!
    図書館の「本のお取り寄せサービス」、利用してみませんか?
    なお、「本のお取り寄せサービス」は、受取日時の指定はできませんので、ご注意ください。

    書いた人

    秋田県大仙市出身。大学の実習をきっかけに、公共図書館に興味を持ち、図書館司書になる。元号が変わるのを機に、30年勤めた図書館を退職してフリーに。「日本のことを聞かれたら、『ニッポニカ』(=小学館の百科事典『日本大百科全書』)を調べるように。」という先輩職員の教えは、退職後も励行中。