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2020.01.28

中二病の心をくすぐる12カ月の異名集!各月の異名とその意味も解説

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学校で習ったはずなのだが、今や忘却の数光年彼方へ……そんな知識は山ほどあるはずだが、月の異名もその1つではないだろうか。現代社会においては、特段興味を抱かなければ格別に雅な御方以外、さして使用頻度も高くない。忘れることは人に与えられた天からの贈り物なのであるから、誰しもその恩恵は存分に受けて然るべきである。

月の異名は和風月名(わふうげつめい)とも呼ばれるが、1月=睦月、2月=如月、3月=弥生……というような、それぞれの月に付けられている、数字ではない月の呼び名のことである。

しかし月名一覧を見ていて感じたのだが、そもそも日本文化そのものがいわゆる「中二病(ちゅうにびょう)」と非常に親和性が高いのではなかろうか。「中二病」とは中学2年生頃の思春期にしばしば見受けられる、自己愛やコンプレックスに基づいた言動を指す俗語であり、背伸びや自己顕示欲と、その裏にある劣等感からくる妙に大人びたようなぎこちない物言い、根拠のない自己特別視が典型として挙げられる。これらの特徴の一端を古典などから見出すことができそうなのだが……雅な御偉方にお叱りを受けるやもしれぬので、このあたりにしておく。

明治時代より前に使われていたものは月の動き、現在使われているものは太陽の動きが基本となっているため暦の設定方法が異なり、この2つの暦には1~2か月のずれがある。また、旧暦では1年が13か月になる「閏月(うるうづき)」が入ることもあり、今の季節感とは少し異なるのだが、これを現在の暦に当てはめていくと煩雑になってしまうため、旧暦のままそれぞれ月の異名を見ていくことにする。

各月の異名とその意味

睦月、如月、弥生、卯月……それだけでいいはずなのだが、なぜか各月には二つ名どころではない、十二面観音も驚愕する数の名前が付けられている。すべてを網羅することはできなかったが、名前とその由来を紹介していこう。理由にはどれも諸説あるが、代表的と思われるものを記した。

1月

睦月(むつき)

親戚一同が集い、睦まじく(親しく)する月、が語源とされる。

同源と思われるものに「睦(むつ)まし月」「睦(むつ)びの月」「むつび月」などがある。

孟春(もうしゅん)

旧暦では1~3月を春、4~6月を夏、7~9月を秋、10~12月を冬とする。また、それぞれの季節の始めを「孟(もう)」、真ん中を「仲(ちゅう)」、末を「季(き)」と呼び、この2つを組み合わせて月を表す。つまり、孟春は「春」の「始め」という意味である。

建寅月(けんいんづき)

北斗七星を基準とした呼び名。「寅の月」。11月「建子月」参照。

初春(しょしゅん・はつはる)、新春(しんしゅん)、初月(しょげつ)、元月(げんげつ)、年端月(としはづき)

一年の始めの月。

祝月・斎月(いわいづき)

年の始めのめでたい月。ただし、5月と9月のことも指す。

太郎月(たろうづき)

一年の最初の月。昔、人間の長男に太郎と名づけることがしばしばあったが、物事の一番最初、という発想は同じ。

青陽(せいよう)

五行説では春に青を当てることから。青春、という言葉も五行説の考え方から来ている。

陽春(ようしゅん)

陽気のよい、暖かい春。

早緑月(さみどりづき)

この時期から次第に、木々や草に緑が見られるようになることから。

泰月(たいげつ)

六十四卦の一つで、「通じる」の意味を持つ「泰」の月。

暮新月(くれしづき)

暮らしを始める月。

花晨(かしん)

花が咲いた朝、の意味。朝は1年のはじめを喩えたものか。

霞染月(かすみそめづき)、染月(たんげつ)

由来不明。春には霞が出ることから、「霞の月」にも通じるか。

2月

如月(きさらぎ)

まだ寒さが残っていて、着物を重ね着する衣更着(きさらぎ)の月。

通常は「如月」の字を当てるが、その他にも「衣更着」「衣更衣」「来更来」「葱更生」などの表記がある。

仲春(ちゅうしゅん)

春の真ん中の月。

建卯月(けんうづき)

北斗七星を基準とした呼び名。「卯の月」。11月「建子月」参照。

梅見月(うめみづき)、初花月(はつはなつき)

冬の最初の花、梅の花が咲く月。

雪消月(ゆききえつき)

雪解けの月。

雁帰月(かりかえりづき)

冬の間にいた雁が北へ帰っていく月。

踏青(とうせい)

春に青草を踏む中国の習慣から。

麗月・令月(れいげつ)

何をするにもよい、めでたい月。

小草生月(おぐさおいづき)

小さな草が生え始める月。

草木張月(くさきはりづき)、木芽月(このめづき)

草木の芽が膨らみ、成長しはじめる月。

花月(かげつ)

花の咲く月。旧暦2月には、梅も桜も咲く。

恵風(けいふう)

あらゆるものを成長させる、恵の春風が吹く月。

橘如(きつじょ)、星鳥(せいちょう)

由来不明。

3月

弥生(やよい)

草木が生い茂る月。「弥」には「ますます・いよいよ」の意味があり、繫栄を祈って発せられる、万歳! と似た言葉に「弥栄(いやさか)」がある。「木草弥生月(きくさいやおいづき)」が短縮されて「弥生」となった。

童謡『さくらさくら』の歌詞では「弥生」が桜の季節とされているが、西行法師の歌には「願わくは花の下にて春死なん その如月の望月の頃」とある。現在でも3月下旬から月を跨いで4月初旬にかけてが桜の開花時期にあたることから、旧暦と新暦の大まかな差異を感じ取ることができそうだ。

季春(きしゅん)、晩春(ばんしゅん・くれのはる)

春の最後の月。

建辰月(けんしんげつ)

北斗七星を基準とした呼び名。「辰の月」。11月「建子月」参照。

桜月(さくらづき)、花見月(はなみづき)

桜の花が咲く月。お花見の月。

花月(かげつ)

2月にもある、花月。確かにどちらも桜の開花月ではあるが……どちらかに統一しないところが、何というか日本的。

花飛(かひ)、花老 (かろう)

花(桜か)が散っていく、春の終わりの月。

花津月(はなつつき)

花が次々に咲く月。「津」は当て字。花の月、の意味。

嘉月(かげつ)

めでたい月。よい月。

蚕月(さんげつ)

重要な産業であった養蚕のうち、量・質ともに良い絹糸が取れる春蚕(はるご)が生まれる月。

桃月(とうげつ)

桃の花の咲く月。

竹秋(ちくしゅう)

竹の葉が黄色くなる月。竹の秋。

春惜月(はるをしみつき)

春の最後の月であることから、去っていく春を惜しむ月。

雛月(ひいなつき)

桃の節句、雛祭りの月。

禊月(けいげつ)

禊を行う上巳(じょうし)の節句(=桃の節句)の月。

宿月(しゅくげつ)、夢見月(ゆめみづき)

由来不明。

4月

卯月(うづき)

卯(う)の花の咲く月、という意味である。卯の花とは白い花を咲かせるウツギのことで、大豆製品の「おから」も白い色をしていることから別名「卯の花」と呼ばれている。「卯花月(うのはなづき)」。

唱歌『夏は来ぬ』にも歌われている、あの「卯の花」であり、松尾芭蕉の弟子の河合曾良(かわいそら)も美しく清らかなその白色から白河の関で「卯の花をかざしに関の晴着かな」と詠んでいる。

孟夏(もうか)、初夏(しょか)、始夏(しか)、首夏(しゅか)、維夏(いか・えか)

夏の最初の月。

建巳月(けんしげつ)

北斗七星を基準とした呼び名。「巳の月」。11月「建子月」参照。

植月(うえつき・うづき)

稲の苗などを植えるのによい月。

余月(うづき)

豊かな月。

夏初月(なつはづき)

夏の最初の月。

陰月(いんげつ)

陰陽思想から、「陽」が極まって「陰」が生じる月。ただし、「陰」が極まった9月と10月などを指す名前でもある。

乾月(けんげつ)

エネルギーが満ちて陽の気が最大になる「乾」の卦の月。

木葉採月(このはとりづき)

蚕のための桑の葉を採る月。

得鳥羽月(えとりはづき・えとりはのつき)

ひな鳥の羽が生え変わる月。

花残月(はなのこりづき)

ほとんどの桜は散ってしまっているが、山あいなどに僅かにまだ桜の花が見られる月。

麦秋(ばくしゅう)

麦を収穫する月。(米などが秋に収穫されることを前提として)麦にとっての秋。

乏月(ぼうげつ)

前年に収穫した農作物がなくなる頃だが、その年の収穫はまだであるような月。

槐夏(かいか)

鬼除けの力を持つとされた槐(えんじゅ)の花の咲く月。

清和月(せいわづき)

空気が晴れて穏やかな気候が多い月。

鎮月(ちんげつ)

由来不明。

5月

皐月(さつき)

幼い稲の苗、早苗を田に植える月。「早苗月(さなえづき)」、「稲苗月(いななえづき)」。

ちなみに、ジブリ映画『となりのトトロ』の登場人物、サツキとメイの名前は、いずれも5月を表した月名「皐月」と「May」が由来なのだそう。

仲夏(ちゅうか)

夏の真ん中の月。

建午月(けんごげつ)

北斗七星を基準とした呼び名。「午の月」。11月「建子月」参照。

雨月(うげつ)、梅月(ばいげつ)、五月雨月(さみだれづき)

旧暦の梅雨にあたることから、雨の月。

月不見月(つきみずづき)

雨で月が見えない月。

五色月(いついろづき)

端午の節句で行われる、災厄を退けて病魔を祓う五色の絹糸が語源か。
田植えの祭りでの女性の装束が由来ともされる。

橘月(たちばなづき)、菖蒲月(あやめづき)

それぞれの植物が開花する月。橘は農業の開始を神霊が告げる花、菖蒲は端午の節句にも使われる、魔除けの力を持った花。

浴蘭月(よくらんげつ)

端午の節句で行われた、蘭の葉を入れてわかした風呂に入る月。中国発祥だが日本でも行われ、のちの菖蒲湯のはじまりとなった。

狭雲月・小雲月(さくもづき)

雲の多い月。「さ」は調子を整えるための接頭語。

多草月(たぐさづき)

草が勢いよく生い茂る月。

そうばいの月

夏の季語「日照雨(そばえ・お天気雨のこと)」の月。

悪月(あくげつ・あしげつ)

伝染病や毒虫などの害がはなはだしい月。 陰陽道における凶の月。

祝月(いわいづき)

おめでたい月。1月と9月も指す。

鶉月(うずらづき)

鶉が繫殖期に入り、人に好まれた鳴き声をさかんに聞かせるようになる時期の意味か。

吹雪月(ふぶきづき)

真っ白な卯の花が咲き乱れて吹雪のように見える月の意味。

啓月(けいげつ)

由来不明。2月とする考えもある。

星火(せいか)、写月(しゃげつ)

由来不明。

6月

水無月(みなづき)

水の無い月、と書くが、「な」は「~の」という意味であるといい、水の月、水田に水を引く月、を表す。

梅雨明けの猛暑で水が無くなる月、とする説もある。「水月(すいげつ)」、「青水無月(あおみなづき)」、「田水之月(たみのつき)」、「水張月(みずはりづき)」。

季夏(きか)

夏の最後の月。

建未月(けんびげつ)

北斗七星を基準とした呼び名。「未の月」。11月「建子月」参照。

夏越月(なごしづき)

夏越の祓(なごしのはらえ)の行事が行われる月。

弥涼暮月(いすずくれづき)、涼暮月(すずくれづき)

夕方が涼しく気持ち良い月。

風待月(かぜまちづき)

暑くなり、風が吹いてくるのが待ち遠しい月。

松風月(まつかぜづき)

風を「まつ」、の洒落。風待月と同じ。

炎陽(えんよう)

太陽が照りつける夏の季節。

蝉羽月(せみのはつき)

蝉の羽根のように薄い着物を着る月。

常夏月(とこなつづき)

暑さが続く月。

鳴神月(なるかみづき)、神鳴月(かみなりづき)、雷月(らいげつ・かみなりづき)

雷が多い月。上鴨神社の祭神「賀茂別雷命(かもわけいかづちのみこと)」など、雷を神様とみなす考え方があった。

鶉火(じゅんか)

古代中国の天文学、「十二次」より。

波達羅盈月(はだらえづき)

天竺五精舎において使用される名称。由来不明だが、仏教関連か。

三伏之秋(さんぷくのあき)

夏の土用・初伏・中伏・末伏の3つから。なぜ「秋」というのかは分からなかった。「伏月(ふくげつ)」も同源か。

陽氷(ようひょう)、旦月(たんげつ)

由来不明。

7月

文月(ふみづき)

稲穂が実る月。穂を含む月。「穂含月(ほふみづき)」。

七夕の日に書物を夜風にさらす風習からの名付けであるとする説もある。「文披月(ふみひらきづき・ふみひろげづき)」。

孟秋(もうしゅう)

秋の最初の月。

建申月(けんしんげつ)

北斗七星を基準とした呼び名。「申の月」。11月「建子月」参照。

七夕月(たなばたづき)、七夜月(ななよづき)

七夕のある月。

愛逢月・愛合月(めであいづき)

七夕で織姫と彦星が出逢う月。

秋初月・秋染月(あきそめづき)

秋の初めの月。

女郎花月(おみなえしづき)、蘭月(らんげつ)

それぞれの花が咲く月。

親月(しんげつ)

盂蘭盆会で親など祖先の墓参りに行く月。

流火(りゅうか)

中国の古典『詩経』の「七月流火」から。「火」とはさそり座のアンタレスのことで、前月にまばゆく輝いていたアンタレスが次第に沈んでいく月。

桐月(とうげつ)桐秋(とうしゅう)

中国の淮南子(じゅんなんし)の言葉より、桐の葉が音を立てて落ちると秋を感じることから。

冷月(れいげつ)、涼月(りょうげつ)、涼天(りょうてん)

月の光が涼しげに見える時期。

8月

葉月(はづき)

木々の葉が落ちる月。「葉落ち月(はおちづき)」。

近年は猛暑のために木々の葉が落ちることがあるが、これはそういった意味ではない。現在の暦とのずれが窺えるが、それにしても最近は11~12月くらいにようやく紅葉が見ごろを迎える。だんだん遅くなっているのだろうか。

仲秋(ちゅうしゅう)

秋の真ん中の月。お月見で有名な「中秋(陰暦8月15日)の名月」も、この月である。

建酉月(けんゆうげつ)

北斗七星を基準とした呼び名。「酉の月」。11月「建子月」参照。

秋風月(あきかぜづき)

気持ち良い秋風が吹く月。

木染月・濃染月(こぞめづき)、紅染月(べにそめづき)

木々が紅葉する月。

雁来月(かりきづき)、初雁月(はつかりづき)、初来月(はつきづき)

雁が越冬のために飛来する月。

観月(かんげつ)、月見月(つきみづき)

月見の月。

壮月(そうげつ)

草木が勢いよく生える月。「壮」は活力に溢れた、の意味。

竹春(ちくしゅん)、竹の春(たけのはる)

若竹の新葉が出てくる月。

燕去月(つばめさりづき)

夏の間いた燕が去っていく月。

桂秋(けいしゅう)、萩月(はぎつき)

それぞれの花が咲く月。

素月(そげつ)

空気が澄んでいて月が明るく冴えて見える、月見によい月。

穂張月・穂発月(ほはりづき)

稲穂が張ってくる月。

南風月(はえづき)

南風が吹いて台風が来る月。

ささはなさ月

由来不明だが、笹の新芽が出てくる時期にあたり、「笹端(ささはな)の月」、笹のはじめの月、というような解釈もできるかもしれない(「さ」を接頭語と捉えた)。※門外漢あきみずの推測であるため、学術的裏付けがあるものではない。

豆雨(ずう)、諸越月(もろこしづき)

由来不明。

9月

長月(ながつき)

夜の長い月、が語源とされる。

一年で最も夜が長いのは、無論冬至の頃(旧暦11月下旬頃)だろうが、実感として夜の訪れの早さと長さを強く思うのは、確かにこの長月付近である気がする。実に洒落た月名だ。

長雨の多い頃であることから「長雨月(ながめつき)」が転じたとする説もある。

季秋(きしゅう)、晩秋(ばんしゅう・くれのあき)、暮秋(ぼしゅう)

秋の最後の月。

建戌月(けんじゅつげつ)

北斗七星を基準とした呼び名。「戌の月」。11月「建子月」参照。

菊開月・菊咲月(きくさきづき)、菊見月(きくみづき)、菊月(きくづき)

菊の花が咲く月。

寝覚月(ねざめづき)

夜が長くなり、朝になるより早く目覚めてしまう月。

祝月(いわいづき)

おめでたい月。1月と5月も指す。

小田刈月(おだかりづき)

田んぼの稲を刈り取って収穫する月。

紅葉月(もみじづき)、色取月(いろどりづき)

木々の葉が色づく月。

穂長月(ほながつき)、稲熟月(いなあがりづき)

稲が熟する月。

天睢(てんき)

由来不明。

10月

神無月(かんなづき)

水無月同様、「な」を「~の」と解釈し、神の月、とする考えと、出雲で神々の会合が持たれて各地から神がいなくなるため、とする考えがある。「雷無月(かみなかりづき)」。

後者の考えから、出雲ではこの月を「神在月・神有月(かみありづき)」と呼ぶ。

孟冬(もうとう)、上冬(じょうとう)

冬の最初の月。

建亥月(けんがいげつ)

北斗七星を基準とした呼び名。「亥の月」。11月「建子月」参照。

初霜月(はつしもづき)、霜先(しもさき)

初霜が見られる月。

小春(こはる)、小春月(こはるづき)

本格的に寒くなってくる前の、よく晴れた穏やかな暖かい日。「小春日和」と同じ語源。

醸成月(かみなしづき)

新米で酒を醸造する月。

刈稲月(かりねづき)

稲刈りをする月。

定星(ていせい)

中国の天文思想「二十八宿(にじゅうはっしゅく)」のうち、「室(はつい)星=定星」が黄昏時に南の真ん中に見える月。

神嘗月(かんなめづき)

神嘗祭の行われる月。神嘗祭は旧暦9月に行われるものだが、新暦では10月に定められており、10月をこの名称で呼ぶ歴史は新しいか。

玄英(げんえい)

冬を司る神の名前から。

11月

霜月(しもつき)

霜の降りる月。

「霜降月(しもふりづき)」とも呼ぶが、もちろん牛肉とは関わりない。

仲冬(ちゅうとう)

冬の真ん中の月。

神楽月(かぐらつき)

農作物の収穫を祝い、神楽を奉納する月。

建子月(けんしげつ)

冬至は旧暦11月にあたるが、中国では北斗七星の柄杓の柄(取っ手部分)が北方向を指す時期であるとして、「建(取っ手)」が「子(ね)の方角を指す」月、「建子月」と呼んだ。十二支と同じ並びで子から亥まで、各月に割り振られている。

神帰月・神来月(かみきづき)

神々が出雲から返ってくる月。

雪待月(ゆきまちづき)

雪に備える月。

陽復(ようふく)、一陽来復(いちようらいふく)

易(えき)で、旧暦10月に陰が極まった末に、冬至(旧暦11月)に陽が初めて生じる、とされていることから。
奈良県桜井市の葛城一言主神社、東京・早稲田の穴八幡宮などでこの時期には「一陽来復御守」をいただくことができる。

復月(ふくげつ・ふくがつ)

一陽来復の月。

神楽月(かぐらづき)

農作物の収穫を祝う神楽が演じられる月。

食物月(おしものづき)

収穫に感謝する新嘗祭のお供え物を人も共にいただく月。

摺籾月(すりもみづき)

米の籾摺りをする月。

風寒(ふうかん)

風が吹いてきて寒いこと、また、その時期。

竜潜月(りゅうせんげつ・りょうせんげつ)

由来不明。「竜潜」とは竜が水中に潜っている意味から、英雄・賢人などがいまだ世に出ていない、あるべき地位にまだ就いていないこと。

天正月(てんしょうげつ)、天泉(てんしょう)、辜月(こげつ)、露隠葉月・露隠端月(つゆごもりのはづき)

由来不明。

12月

師走(しわす)

師、先生と呼ばれる人ですら走る、忙しい月。「趨走月(すうそうづき)」、「師馳月(しはせづき)」、「師趨(しすう)」。
「師」とは、この時期に仏事が多く行われる僧侶であるとする説、寺社で参詣者の案内をする御師(おし・おんし)とする説、教師であるとする説などがある。

「年果(としは)つ=年の最後」から付いたという説もある。

季冬(きとう)

冬の最後の月。

建丑月(けんちゅうげつ)

北斗七星を基準とした呼び名。「丑の月」。11月「建子月」参照。

弟月(おとづき・おとうづき・おととづき)

「弟」は「末」を意味することから、1年の末の月。

春待月(はるまちづき)

春を心待ちにする月。

暮来月・暮古月(くれこづき)、暮歳(ぼさい)

年の暮れ。

雪月(ゆきづき)、氷月(ひょうげつ)

雪や氷が見られる月。

三冬月(さんとうづき)

冬の3番目の月。

茶月(さげつ)

茶道と深い関係にある仏教の開祖であるブッダが悟りを開いた月。陰暦12月8日が該当日。

天晧(てんこう)

空が明るく清らかであること。「晧」の字は美人の形容でもある「明眸皓歯(めいぼうこうし・明るい瞳と白く整った歯)」にもあるように「白」の意味も持つため、雪のイメージも感じさせる。

歳極(さいきょく・としはつ・さいしゅう)、年果つる月(としはつるつき)、年果(ねんか)、限月(かぎりのつき)、極月(ごくげつ)、成終月(なりはつるつき)

年の終わり。

四極(しきょく・しはつ)

四季の終わりの月。

臘月(ろうげつ)

冬至後の第3の戌(いぬ)の日に行う、猟の獲物を祖先や神々に供える行事、「臘(ろう)」のある月。

親子月(おやこづき)

由来不明。1月の睦み月と似た発想か。

なぜこんなに月の異名があるのか?

ようやく1月から12月までの月の異名を紹介し終わった。最初からいくつか抜けている頭のネジが、更にもう数本飛んでいくかと思うほどの分量であった……が、これでも網羅しきっている訳ではない。そしてやはり、中二病的な響きを持つ名称がかなり見られたように思う。もしやこのあたりに関連した先行研究もあるのではあるまいか。

それにしても、どうしてこれほどまで各月に多種多様な名前があるのか。明確な理由はよく分からなかったが、日本文化が農耕を主体としていたこと、自然と寄り添って生きる価値観を持っていること、また、言葉遊びを楽しむ気質を持っていることなどが、その一因として考えられるだろうか。

日本の国土は豊かな山海の幸に恵まれている。だからこそ人が自然と共にあり、自然の中の一員として人はあるという価値観が育まれたのだ、とする説を目にしたことがあるが、全くもって同感である。

五感に触れる僅かな差異から季節の移り変わりを感じられる日本の四季、自然を重んじる文化から生まれた月の異名の多様さと響きもまた、同時に楽しんでみたい。

書いた人

人生の総ては必然と信じる不動明王ファン。経歴に節操がなさすぎて不思議がられることがよくあるが、一期は夢よ、ただ狂へ。熱しやすく冷めにくく、息切れするよ、と周囲が呆れるような劫火の情熱を平気で10年単位で保てる高性能魔法瓶。日本刀剣は永遠の恋人。愛ハムスターに日々齧られるのが本業。