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2020.02.18

その名も「フェルメール・ブルー」!小田急ロマンスカーが運ぶ、絵画の巨匠の夢とロマン

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2008年に運行を開始した「ロマンスカー・MSE(60000形)」は、艶めく美しいブルーのボディが最高に魅力的な車体です。この色が『真珠の耳飾りの少女』など、数々の傑作を生みだしたフェルメールに由来するカラーであることを知っていましたか?

都心から温泉街箱根まで乗客を運び、レトロな内装ながら快適な乗り心地で私たちを癒す「小田急ロマンスカー」。その魅力を巨匠・フェルメールとの関わりとともに愛をたっぷり込めてご紹介します!!

「ロマンスカー・MSE(60000形)」は、日本初の地下鉄内座席指定特急だ!!


東京メトロ千代田線に乗り入れるロマンスカー・MSE(60000形)は、日本初の地下鉄内座席指定特急として産声をあげました。平日は大手町方面~本厚木間を運行するビジネス特急として、休日は北千住~箱根湯本間などを運行する観光特急として活躍しています。

一歩足を踏み入れれば、そこは木の温もりに包まれた心落ち着く空間。平日はビジネスにおける長距離移動の疲れを癒し、休日は温泉街箱根へと向かうワクワク感を乗客にもたらしてくれます。

ダイヤのように輝く青いボディ。その名も「フェルメール・ブルー」


ロマンスカー・MSE(60000形)は、その艶めく美しいブルーの車体が大きな魅力です。外観のデザインは、小田急ロマンスカーの伝統を受け継ぐVSE(50000形)を手掛けた岡部憲明氏が担当。車体を覆う特徴的な青色は「フェルメール・ブルー」と呼ばれています。

ではなぜこの色がフェルメール・ブルーと呼ばれるのでしょうか?それは、フェルメールがこのような鮮やかな青色を好んで絵画に使っていたからです。

『真珠の耳飾りの少女』ここにも鮮やかなブルーが使われている

フェルメールの使った青い染料は、ダイヤモンドにも匹敵する高価なものだったとか。そんな希少な色をまとったロマンスカー・MSE(60000形)からは、絵画界の巨匠の名に恥じない気品とオーラが放たれています。

フェルメールに思いを馳せて、ロマンティックなロマンスカーの旅を

ロマンスカーの旅をよりロマンティックに演出するために、もう少しだけフェルメールについて詳しくご紹介しましょう。

まずフェルメールという名前は実は通称で、本名を「ヤン・ファン・デル・メール・ファン・デルフト」と言います。ピカソの本名「パブロ・ディエゴ・ホセ・フランシスコ・デ・パウラ・ファン・ネポムセーノ・マリア・デ・ロス・レメディオス・クリスピン・クリスピアーノ・デ・ラ・サンティシマ・トリニダード・ルイス・イ・ピカソ」には負けますが、フェルメールもなかなか長くて覚えづらい名前です。

フェルメールは1632年、オランダの古都デルフトに生まれ、その生涯のほとんどをデルフトで過ごしました。妻との間に11人もの子がいて、生活は裕福な妻の実家に頼り切りだったとか。有力なパトロンの援助もあり、フェルメール・ブルーに代表される高価な染料を使って、じっくり絵を描くことができました。

『牛乳を注ぐ女』

しかし、イギリス・オランダ戦争の影響でフェルメールの絵画は一枚も売れなくなり、莫大な借金が一家を襲います。死因はわかっていませんが、1675年、42才という若さでフェルメールは激動の生涯を終えました。

ロマンスカー・MSE(60000形)に乗車した際は、そんなフェルメールの生涯に思いを馳せ、バロック期を代表する美しい絵画の数々を鑑賞して過ごしてはいかがでしょう。