Gourmet
2020.03.23

たけのこ料理の効果とは?愛知県最古のお寺・真福寺でたけのこのフルコース「竹膳料理」!

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少しずつ温かくなり、いよいよ本格的な春がやってきました!冬の間に寒さで滞っていた身体を目覚めさせて、身体の内側から春を楽しむ準備をしていきたいですね。

春にはいろいろな山菜が旬を迎えるようになりますが、昔から食養生では「春には苦味を盛れ」と言われ、山菜の「ほろ苦い」味には体内の老廃物を排出する働きがあるとされています。「春は何だか調子が悪い」「やる気が出ない」という方は、もしかすると不要なものが体内に溜まっているかもしれません。

そこで今回のテーマは、身近な春の山菜「たけのこ」。その神秘的な力や栄養、愛知県最古のお寺で食べられる「竹膳料理」などについてご紹介します!たけのこパワーで、すっきりと清々しい春を楽しみましょう!

たけのこの神秘的な力

「雨後のたけのこのように」と言えば、複数の物事が次々と現れる様子のこと。実際に、雨あがりのたけのこは1日に30~60㎝も成長すると言われています。

たけのこは漢字では「筍」と書きますが、これは10日間を意味する「旬」に由来しているのだとか。竹は地上に顔を出してから、10日間ほどで立派に成長します。

また「かぐや姫(竹取物語)」などのように、たけのこをテーマにした昔話は数多くあります。

「寄りて見るに、筒の中光たり、それを見れば、三寸ばかりなる人、いとうつくしうてゐたり」。

これは竹取物語の一節ですが、何だか竹の神秘的な力を感じます。古くから、竹の空洞の部分には霊力があると信じられてきました。

たけのこで身体スッキリ!

たけのこに期待される働きを考える上で最も注目したいのは、食物繊維。便秘解消や血糖値やコレステロール値の上昇予防などに役立つとされ、現代人は不足しがちと言われています。

また身体の水分バランスを調整しむくみ予防などにも役立つ「カリウム」も豊富に含まれています。

薬膳では、たけのこには整腸作用や便秘予防、痰の排出など、身体の毒素を排出する働きが期待されています。「鶏肉とたけのこ」は、「代謝を高めながら気力を付ける」ことから、薬膳的にも相性の良い組み合わせ。炒めものやスープなどにすると、美味しくいただけておすすめです!

たけのこと五月病

春先は、職場や学校などの環境の変化が多い時節。その疲れは環境に慣れてきた5月の連休後に出やすいことから、「5月病」とも言われています。

とにかくリラックスして心身を休めてあげることが大切ですが、たけのこに含まれる「チロシン」という成分が、5月病予防に効果が期待できることが分かってきました。

チロシンはアミノ酸の一種で、たけのこを水煮したものを冷ますと付く白い粉状のもの。やる気や集中力に関係する「ドーパミン」などの神経伝達物質の原料になる成分です。

ちなみにチロシンはブドウ糖と組み合わせると効率良く吸収できるため、「たけのこごはん」などの食べ方がいいのだとか。たけのこの旬は4〜5月ですが、五月病の時節に重なっているのは「たけのこを食べてね」という自然からのメッセージからしれません。

さらに、たけのこ独特のよい香りを楽しめば、心身がリラックスできそうですね。

竹膳料理に舌鼓!

さて。美味しいたけのこ料理を求めて、今回は愛知県岡崎市の真福寺へ!愛知県には約6500ものお寺があると言われていますが、県内で最も古いお寺です。お寺の敷地内には竹林もあり、目から口から、たけのこを楽しむことができます。

推古天皇2年(西暦594年)に聖徳太子が建立した真福寺。身体と目のお薬師さまとして全国から多くの信仰を集めている。

薬師如来が現れたとされる泉の湧き水を詰めた「飲む御霊水」「眼の御霊水」。日頃から目が疲れやすい私は、もちろん購入しました(笑)。

お寺の敷地内で食べられる「竹膳料理」を求めて、毎年多くの人が訪れています。旬の時期には、この地域で採れたばかりのたけのこを使っているため、新鮮な香りと味わいが楽しめるんです!


今回お話を伺ったのは、真福寺副住職のおおむら全海さん。

竹膳料理を提供するようになったのは、今から43年ほど前のこと。夜通しお参りをする「おこもり」の際に、務めていただく皆さまにお料理を出していたことがきっかけです。季節に合わせて旬の食材を使った料理を出していたのですが、そのなかでも特に好評だったのが「竹膳料理」だったんです。

料理はもちろんのこと、膳から器、お箸にいたるまで全てが竹で作られている。周囲の風景を眺めながら竹膳料理を楽しむことができる。

「たけのこが好き」という方でも、これだけの品数のたけのこ料理をいただく機会はなかなか少ないと思います。先ほどたけのこの神秘的なパワーをご紹介しましたが、食べ進めるうちに、身体のなかが浄化され、元気になっていくような気がしました!

では、お料理の一部をご紹介しますね。


たけのこの刺身。ごまの入ったタレに付けていただきます。


たけのこ田楽(3種)とたけのこの佃煮。佃煮はしっかり味付けされていて、ごはんにもよく合う一品です。


たけのこと季節の野菜の天ぷら。


たけのこの炊き込みごはん、たけのこの吸い物、たけのこと高野豆腐の煮物。吸い物には、たけのこと柚子の千切りが入っていて、爽やかな香りが楽しめます。

たけのこを食べて、清々しい春を過ごそう

古くから神秘的な力があると信じられ、体内の毒素を排出するとされてきた、たけのこ。まさに「眺めてよし、食べてよし」の旬の食材です。今回真福寺を訪れ、竹膳料理をいただいて、そのことを深く実感しました。


最近は毎日のように心配なニュースが流れていますが、こんな時こそ心身がホッとするようなものを食べたいですね。竹膳料理を参考にしながら、自宅でたけのこ料理を作ってみるのもいいかもしれません。

たけのこパワーを心身に取り込んで、清々しい春を過ごせますように。

◆真福寺
住所:愛知県 岡崎市 真福時町 字薬師山6
電話:<本堂>0564-45-4626 <竹膳料理 予約>0564-45-4533
参考サイト: https://www.shinpukuji.com/

書いた人

バックパッカー時代に世界35カ国を旅したことがきっかけで、日本文化に関心を持つ。大学卒業後、まちづくりの仕事に10年以上関わるなかで食の大切さを再確認し、「養生ふうど」を立ち上げる。現在は、郷土料理をのこす・つくる・伝える活動をしている。好奇心が旺盛だが、おっちょこちょい。主な資格は、国際薬膳師と登録ランドスケープアーキテクト(RLA)。https://yojofudo.com/