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若冲とフェルメールの名画には共通点があった!静寂な名画に潜む「黒の秘密」とは?

オランダ黄金時代の代表的画家“ヨハネス・フェルメール”と江戸時代の天才絵師“伊藤若冲”。ふたりが描いた作品はどれも人々を魅了する名画ばかりですが、その理由はどこにあるのでしょうか。ふたりの名画を並べてみると…「黒」という共通の秘密が見えてきました。和樂INTOAPANでは全4回をとおして、それぞれの名画にズームアップし、隠された「黒の秘密」に迫ります。

第1回「窓辺で手紙を読む女」×「動植綵絵 梅花皓月図」
Q.この神秘的な静寂の正体は何でしょう…?

フェルメールの「窓辺で手紙を読む女」には静謐な時空間が描かれ、若冲の「動植綵絵 梅花皓月図」には豊かな色彩世界が生み出されています。どちらも見事な名画、このひそやかな静寂は一体…? ふたつの名画を比較してみましょう。

フェルメールヨハネス・フェルメール「窓辺で手紙を読む女」©Bridgeman Images/PPS通信社 油彩・カンヴァス 1658~59年頃 83×64.5㎝ ドレスデン国立絵画館 絵具を厚塗りした初期作品。制作当初は壁にキューピッドの画中画が描かれていたことから、手紙はラブレターと推測。

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フェルメール伊藤若冲「動植綵絵 梅花皓月図」(どうしょくさいえ ばいかこうげつず) 一幅 絹本着色 江戸時代・宝暦7~10(1757~60)年 142.3×79.7㎝ 宮内庁三の丸尚蔵館 「動植綵絵」のうち初期の作。画面を埋め尽くす枝と無数の花を、冬の冷たい月光が照らす。

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A.秘密は「黒で描く光」にありました

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ほの暗い部屋で手紙に目を落とす若い女性と、満月の下で咲き誇る梅の花。2枚を満たす静寂の秘密は、なんと「影」にあったのです。

カーテンの「影」で午後の光を表したフェルメール

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まず「窓辺で手紙を読む女」の天才的発想はカーテン。フェルメールは右手前に垂らしたこの美しい布を、あえて黒々とした影で覆いました。なぜなら私たちは、「黒い影で視線を遮られる」ことで、その向こうに光が満ちていることを感じるから。影の存在が、女性の周りに漂う光のやわらかさや温かさを伝えているのです。

カーテンにズームアップ! ▼

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元々この薄緑のカーテンは、実際の部屋には無かったもの。女性のいる空間と鑑賞者をへだて、絵の中の穏やかな光や静けさを守るようなものとして描き加えられています。このカーテンだけでなく部屋の壁にも黒い影をめぐらすことで、窓辺のやわらかな光や女性の髪の輝きを、いっそう美しく浮かびあがらせています。

墨の縁取りで月の輝きを表した若冲

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一方、「梅花皓月図」の満月に近寄ってみると、月が輪郭線でなく墨色の影で表されていることに気づきます。これは輪郭の外側だけに彩色を施す「外隈(そとぐま)」という技法。若冲は、影を描くことで冴え冴えした月の光を表出させました。闇に浮かぶ冷たい月と、白く輝く梅の花。若冲の黒が生む景色は、夢の中のようにひそやかです。

冬空に浮かぶ満月にズームアップ! ▼

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対象物の外側だけを墨でぼかしながら縁取る「外隈」によって、静かに輝く月が描かれていることがわかります。さらに見事なのが、月光に照らされた梅花の表現。花びらに胡粉を塗る際、一枚一枚の塗り方や濃淡に変化をつけることで、透けるような輝きをもたせています。

「フェルメール×若冲 黒の秘密」全4回

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