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永遠のふたり 白洲次郎と正子

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2023.07.07

奇跡の空間に息づく日本美。大徳寺 聚光院にて15名限定「特別拝観とお茶席」を開催

都の洛北にある大徳寺は、臨済宗大徳寺派の禅刹(ぜんさつ)で、創建から700年近い歴史を誇ります。その起点は鎌倉時代末期の正和4(1315)年まで遡りますが、大徳寺と称されるようになったのは、法堂(はっとう)が完成した嘉暦元(1326)年ごろでした。

大徳寺に息づく日本美とともに、貴重な「特別拝観とお茶席」をご案内いたします。

狩野派の国宝障壁画、千利休作の名庭、利休好みの茶室で知られる大徳寺 聚光院

多くの名僧を輩出し、皇族、武将、茶人にゆかりのある大徳寺は、いつしか〝日本美の源流〞と讃えられるようになります。その22ある塔頭(たっちゅう)のひとつである聚光院は、永禄9(1566)年、戦国武将・三好義継(みよし よしつぐ)が養父・長慶(ながよし)の菩提(ぼだい)を弔うために建立。聚光院の名も長慶の院号に由来しています。

方丈の中心的役割を担う室中。狩野永徳による国宝「花鳥図」は、その3方の襖に描かれている。正面の襖の向こうは開祖と千利休の像を安置した仏間。その小襖には、松栄の描いた「蓮池藻魚図(れんちそうぎょず)」がある。

開祖である笑嶺宗訢(しょうれいそうきん)には多くの弟子がいましたが、その俗弟子には千利休の姿もありました。宗訢を師と仰いだ利休は、やがて聚光院を自らの菩提寺(ぼだいじ)とします。その縁はやがて三千家(表千家、裏千家、武者小路[むしゃこうじ]千家)へと繫がっていきました。

利休と聚光院のゆかりの深さを示すものとしては、狩野永徳が下絵を描き、利休が作庭に関わったとされる方丈前庭「百積(ひゃくせき)庭」があります。また、利休の150回忌に表千家7代如心斎(じょしんさい)が寄進した利休好みの茶室「閑隠席(かんいんせき)」も名高く、もうひとつの茶室「枡床席(ますどこのせき)」とともに国の重要文化財に。

利休の150回忌に寄進された3畳の茶室「閑隠席」。明かりが極端に制限され、簡素で緊張感のある利休好みの設えになっている。

現存作が少ない狩野永徳の障壁画・襖絵が見られる

そして、聚光院の名は美術の世界でこそ、広く知られてきました。狩野松栄・永徳親子が手がけた方丈内の障壁画は、46面のすべてが国宝です。特に室中の襖絵「花鳥図」は、若き日の永徳の傑作。その後、永徳は狩野派を率いて活躍し、一門と共に名作の数々を手がけました。しかし、あまりの才能に仕事が殺到し、わずか48歳で永眠。早世の原因は過労であったといわれています。

仏間を正面にすると右手に広がる「花鳥図」春の景。曲がりくねった梅の木がダイナミックな構図で描かれている。特別公開のときを除き、聚光院には通常、高精細複製画が展示されている。実物は京都国立博物館に寄託。

室中の隣に位置する檀那の間。大切な来客を通す部屋として使われ、永徳によって描かれた障壁画「琴棋書画図(きんきしょがず)」が収められている。「花鳥図」と異なる精緻に描き込まれた作品に永徳の多彩な才能が感じられる。

そんな永徳の作品は多くが戦乱に巻き込まれ現存していません。そうしたことからも、聚光院の障壁画ははかり知れない価値をもっているのです。

【一席15名】大徳寺 聚光院 特別拝観とお茶席のご案内

茶聖・千利休の菩提寺であり、茶道三千家ゆかりの寺院として知られる大徳寺 聚光院。まさに茶の湯の聖地といえるこの場所で、「特別拝観とお茶席」が開催されます。詳細をご確認の上、この貴重な機会にぜひお申込みください。

日時

2023年8月19日(土) 13時~14時20分(12時40分受付開始)

定員

15名

参加費

14,000円(税込)

お申し込み

詳細の確認やお申込みは「京都春秋 ことなり塾」のページにてお願いいたします。

大徳寺 聚光院(だいとくじ じゅこういん)


住所:京都府京都市北区紫野大徳寺町58
※通常は非公開ですが、特別公開されることもあるので、その機会を見逃さずに、一度は訪れてみたい。

本記事は雑誌『和樂(2023年8,9月号)』の転載です。
文/福田詞子
協力・画像提供/京都春秋

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和樂web編集部

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