福田美術館 ~7/5
「若冲にトリハダ! 野菜もウリ!」
私が担当します
福田美術館 学芸課長 岡田秀之(おかだひでゆき)さん

初公開、新収蔵続々! 若冲作品が約40点も!
2023年にその存在が確認された伊藤若冲(いとうじゃくちゅう)『果蔬図巻(かそずかん)』。長年ヨーロッパで所蔵されていた作品が、福田美術館の収蔵となり、日本への里帰りを果たしたのです。
2024~2025年の「京都の嵐山に舞い降りた奇跡!! 伊藤若冲の激レアな巻物が世界初公開されるってマジ?!」展で公開され、「マジでマジ?!」と大きな話題に。
「その際は、汚れだけを取るような応急処置を施した状態でしたが、約1年間の修理を経て、表面の凹凸などもきれいになりました。
また、背景に入れられていた紙を差し替えています。というのも、若冲はこの作品で、野菜の色をキュッと引き締めて見せるために、絵絹(えぎぬ)の裏に薄い墨を塗っているんですね。
それが、後世の修復で白い紙を入れたことによって、効果がなくなっていた。今回、ほんの少し色をつけた、灰色っぽい紙に差し替えることで、若冲がやろうとしたことがはっきりとわかるようになったと思います」
そして、絶対に見逃せないのが、名作『菜蟲譜(さいちゅうふ)』との共演です。
「『菜蟲譜』は、重要文化財に指定されている約11mに及ぶ大作。『果蔬図巻』の翌年に描かれました。この2作が並ぶのは史上初ですし、『菜蟲譜』が関西で展示されること自体、約8年ぶりという、大変貴重な機会です。
見比べることで、それぞれの作品の魅力をよりいっそう楽しめると思います」
さらにうれしいのは、館を代表する若冲の画業初期作『蕪に双鶏図(かぶにそうけいず)』はもちろん、昨年コレクション入りした『老松白鶴図(ろうしょうはっかくず)』や、個人蔵の『果蔬涅槃図(かそねはんず)』『蛇図(へびず)』といった軽やかでユーモアあふれる水墨の優品など、初公開作品10点を含めた約40点もの若冲作品が紹介されること。
これはもはや「若冲祭り」と呼んでいいレベル。
「若冲作品だけでなく、同時代の京都で活躍した円山応挙(まるやまおうきょ)や長沢芦雪(ながさわろせつ)の新収蔵作品も公開します。ぜひ嵐山へ足をお運びください」
Curator’s Eye
若冲が野菜たちの姿を色鮮やかに描いた巻物が奇跡のダブル展示。若冲の野菜への愛があふれています
小さなものたちのパレード!


「果物と野菜が描かれた『果蔬図巻』は約3m、同様の果蔬に加えてキノコ、虫や蛙なども登場する『菜蟲譜』は約11m。それぞれ落款には76歳、77歳とあります。青物問屋を営んでいた若冲だからこその、果物や野菜への愛情が感じられる作品です。描かれている果蔬をできる限り特定した力作の解説も展示しますので、乞うご期待!」
Curator’s Eye
若冲にかかれば涅槃図も野菜に
初公開! 野菜たちの涅槃図

「釈迦が亡くなった際の様子を描いた涅槃図。本作では、釈迦は大根、知らせを聞いて集まってきた弟子たちや動物たちも野菜や果物の姿です。大根はゆったりと安らかな涅槃のポーズに、周囲の野菜たちは深い悲しみにくれているように見えますよね。今回は、若冲の技とユーモアが詰まった水墨画もいろいろとご紹介します」
Curator’s Eye
『動植綵絵 』を思わせる質の高い彩色画
レースのような羽の表現がスゴい!

「2025年に当館の収蔵となった作品で、こちらも今回が初公開です。『動植綵絵(どうしょくさいえ)』につながる、まるでレースのような繊細な羽の表現に目を奪われます。下の初期作品『蕪に双鶏図』と比較しつつご覧いただくと、若冲の画業をより深く知ることができると思います」
Curator’s Eye
福田美術館を代表する貴重な30代の若冲作品
みずみずしい! 30代、最初期の作品

「現在確認されている若冲作品のなかでは非常に早い時代、30代の初めに描かれた彩色画です。京都錦小路(きょうとにしきこうじ)の青物問屋の長男として生まれ、23歳で家業を継いだ若冲が、仕事のかたわらで絵を描いていたころです。虫に喰われた葉や細密な鶏の模様など、写生にもとづいた描写になっています」
ド派手なポスタービジュアル!

福田美術館 DATA(和樂提携美術館)
住所:京都府京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町3‐16
電話:075-863-0606
開館時間:10:00~17:00 ※入館は16:30まで。
休館日:不定休。展示替え期間、年末年始
公式サイト:https://fukuda-art-museum.jp/
嵯峨嵐山文華館(さがあらしやまぶんかかん)もおすすめ!

福田美術館から徒歩数分の嵯峨嵐山文華館では、「それいけ!応挙塾─円山応挙とその弟子たち─」と題して、応挙や弟子の源琦(げんき)、長沢芦雪らの作品を紹介中(~9月27日)。こちらのポスターも楽しい! ※福田美術館とは別に入館料が必要。
電話:075-882-1111 公式サイト:https://www.samac.jp/
◆『和樂』「全国厳選! 美術展カレンダー」とは?
『和樂』本誌では、発売期間中に全国で行われている展覧会を、作品情報とともに紹介しています。掲載しているのは全国の著名な美術館・博物館。お目当ての展覧会を見に、また旅先での美術館巡りなどで、ぜひともご活用いただきたい【和樂 提携美術館】の優待券を毎号お届けしています!詳細は本誌でご確認ください。
【和樂 提携美術館】
山形「土門拳写真美術館」、茨城「笠間日動美術館」「徳川ミュージアム」、群馬「原美術館 ARC」、千葉「千葉市美術館」、東京「永青文庫」「太田記念美術館」「菊池寛実記念 智美術館 ※2026年秋(予定)まで展示室修繕のため休館」「五島美術館」「サントリー美術館」「泉屋博古館東京」「東京ステーションギャラリー」「パナソニック汐留美術館」「三井記念美術館」「三菱一号館美術館」「森美術館」「山種美術館」、神奈川「岡田美術館」「川崎浮世絵ギャラリー ~斎藤文夫コレクション~」「ポーラ美術館」、長野「軽井沢千住博美術館」「サンリツ服部美術館」「日本浮世絵博物館」、静岡「MOA美術館」、京都「泉屋博古館」「福田美術館」「細見美術館」、奈良「松伯美術館」「大和文華館」、和歌山「高野山霊宝館」、兵庫「芦屋市立美術博物館」、島根「足立美術館」(都道府県別・五十音順)
美術館の入館料は、特に明記のない限り税込表示です。

