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Craftsmanship

2023.10.25

日本酒を富山から世界へ。ドン ペリニヨンを率いたリシャール・ジョフロワ氏の挑戦

2021年、富山県立山町白岩に新たな酒蔵が開かれました。その日本酒の名前は「IWA(岩)」 。立山の清らかな雪解け水が流れるこの地に酒蔵を構えたのは、「ドン ペリニヨン」5代目醸造最高責任者として、28年にわたり伝説のメゾンを率いたリシャール・ジョフロワ氏です。

日本を愛し、富山で酒づくりを追求するリシャール氏に、日本酒への新たなる挑戦を伺いました。

「IWA」創立者・醸造家 リシャール・ジョフロワ氏

フランス・シャンパーニュ地方の中心に生まれる。ワインの世界へ入る前は、医学を学んだ経歴も。1990年「ドン ペリニヨン」の5代目醸造最高責任者となり、28年にわたりメゾンを率いた。2019年に株式会社白岩を設立。京都で日本酒を飲んだ際「これが自分のやるべきことだ」と啓示が降り、以来数え切れない程日本を訪れ、現在はフランスと日本を行き来する。

千年続く日本酒の「つくり」

シャンパーニュから日本酒の世界に転身したリシャール氏。そのふたつの大きな違いは「つくり」にあると言います。「ワインは素材となる葡萄そのものが出来不出来を決めるのに対し、日本酒はつくり手のつくり方、プロセスが重要なんです」

画像提供:IWA

平安時代から千年もの歴史をもつ日本酒は、杜氏と蔵人の洗練された技術によって受け継がれてきました。日本酒ができるまでには、米を研ぎ、蒸し、麹を加え発酵させるなど、実に多くのプロセスを経ています。その歴史と「つくり」に敬意を払い、米の品質や水の美しさも大切にして生まれた「IWA」には、リシャール氏ならではの挑戦も含んでいます。

日本酒への新たなる挑戦

「日本酒の味わいで大事なのは、バランス」。そう語るリシャール氏は、ワインで用いられる「アッサンブラージュ」という、ワインの原酒を組み合わせる技法を日本酒に取り入れています。

「ワインづくりで伝統的に行われるアッサンブラージュを取り入れることで、日本酒の味わいと香りのバランスを見直しています。日本酒の飲みやすさも大切にした上で、リッチさや強さ、余韻も感じさせたい」。そんなリシャール氏の野望を含む「IWA」を初めて飲んだ方は「馴染みがあるけれど新しい感覚」を覚えるそう。

日本酒にリッチ感をもたせるには、viscosity(粘度)も大切であると言い、こちらもワインでは一般的な「瓶内熟成」によって、濃厚な舌触りを模索します。

世界各国の料理と合う“SAKE”を世界へ

伝統を大切にしつつ、アッサンブラージュと瓶内熟成でさまざまなチャレンジをしているリシャール氏は「これから私は、今までにない“SAKE”をつくっていく。だから、飲む人もチャレンジしてほしい」と目を輝かせます。

「つくり」のプロセスが多い分、日本酒づくりは多くの挑戦ができる。それと同じように、飲む人にも遊び心をもってほしい―――。例えばリシャール氏は、富山の居酒屋でこんな経験をしたそうです。

「デザートにマンゴーが出てきて、IWAの熱燗をペアリングしてみました。そうすると、マンゴーの粘度とIWAの熱燗が実によく合うんです」。日本酒を飲み慣れている人でも、なかなかこの組み合わせは思いつきません。つくり手と同じく、飲む人ももっと自由にチャレンジングに日本酒を楽しむことで、その世界が広がっていきます。

「SAKEは、シャンパンやビールのような存在になれる」。リシャール氏の野望は続きます。「ワインは料理をマウントすることもある。しかし、日本酒は料理と対等な関係にあり、お互いを引き立て合っています。酒も料理も素晴らしい、それが日本酒。さまざまなバランスが整うことで、日本酒はどんな国の料理とも合わせることができます」

日本酒をSAKEとして、世界中でワインのように楽しまれる存在にする―――。そんな壮大な野望を胸に、富山の酒蔵からリシャール氏の挑戦は続く。

日本の原風景に佇むIWAの酒蔵は、隈研吾氏の設計

IWA


公式サイト:iwa-sake.jp/
オンラインショップ:iwa-sake.shop/

インタビュー・鈴木深 文・伊藤千晶 撮影・篠原宏明 動画編集・RIVERSCAPE

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和樂web編集部

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