Craftsmanship

2024.06.07

手間暇かけて誂えるから、長く使える。幸せな気分になる、座布団・絵付け桐箱・和風照明【手仕事の京都・お誂え編3】

「京都でしか買えない、京都ならではのもの」。それを体感できる経験が「お誂え」かもしれません。京都は、半径数㎞圏内に職人たちがギュッといる、実に面白い街です。お誂えは、注文する人と伝え手、つくり手がいて、互いの信頼関係のなかでモノづくりが進んでいきます。かつては手間暇をかけて誂え、長く使うことがあたりまえ。信頼のあるお店でよいものを仕立てると、それがなんでも修理をしてもらえ、長い目で見て「お得」でもあったのです。ぜひこの地の「お誂え」に挑戦して、京都のクオリティを味わってみては?

「手仕事の京都」シリーズ一覧はこちら

美しい! かわいい! もっているだけで幸せになる「箱藤商店」の絵付け桐箱

既製品も種類がたくさん。縁起のよい吉祥柄をもっていると幸運が! 丸い形がユニークな、たまご箱「宝尽(たからづくし)」6,600円にはリングやピアスを入れて。

四季の変化に富む日本にとって、桐はとても重要な素材。湿度の高いときは湿気を取り込み、乾燥すると吐き出すなど、調湿性に優れているので、収納物をカビから守ってくれます。そのため桐は、桐簞笥(たんす)や美術品の保管箱によく用いられてきました。
「箱藤(はことう)商店」は、そんな桐箱を扱う専門店。より身近に親しめるよう、絵付けを施した美しい桐箱を製作しています。既製品は公式サイトから選べますが、特注の場合は、美大出身者や帯の図案を手がけてきたという店専属の絵師たちが、1点ずつはんなりとした趣で手描きをしてくれます。繊細なタッチの絵を、ぜひオーダーしてみてください。

左/花暦(はなごよみ)絵入り小箱「桜」7,150円。右/開き箱(小)「いちご柄」9,350円。どちらも長辺が10㎝以内の小箱で「名入れ」可(別料金)。小さな数珠(じゅず)や懐中時計入れに使っても。

「箱藤商店」店舗情報

読み方:はことうしょうてん
住所:京都市下京区堀川通五条下ル柿本町580‒8
電話:075-351-0232
営業時間:10 時~12時、13時~18時
休み:日曜・祝日
公式サイト:http://www.hakotou.co.jp/

京指物の伝統が息づいています。現代空間のアクセントに「興石」の和風照明

陶筥スタンドL(縦200mm×横200mm×高さ260mm)35,750円。もともと「紫野和久傳(むらさきのわくでん)」の陶筥弁当の本体を転用し、照明器具にしたことが、商品誕生のきっかけ。ずっと長く愛されているシンプルモダンの商品。

「興石(こうせき)」の和風照明の美しさは、唯一無二かもしれません。清らかな木の素材感が際立ち、空間にすっと溶け込むかのようです。

それもそのはず、「興石」は数寄屋(すきや)建築の名店、中村外二(なかむらそとじ)工務店の指物(さしもの)部。こちらの和風照明には、曲げ物・箍物(たがもの=桶・樽)・刳物(くりもの)・挽物(ひきもの=ろくろ)・指物からなる京指物の手わざが、隅々にまで詰め込まれているのです。

「数寄屋のスタイルに合わせて、できる限り木の線を細くし、なおかつ建築と同じくらいの寿命を保たせる、という相反することが、常に照明に求められてきました」と指物師の鳥原嘉博(とりはらよしひろ)さん。
ここで紹介している栗菊形(くりきくがた)や、陶筥(とうばこ)スタンドはかつて特注品として製作され、定番化した商品です。大きさや木の種類、コード、金具に至るまで、いろいろ柔軟に対応してもらえます!

左/寺院で用いられている切子灯籠(きりこどうろう)が起源。杉六角切子コードペンダントS(直径460mm)426,250円。中/栗菊形コードペンダントM(直径460mm)371,250円。自分たちで裏打ちした和紙をカーブに沿って手貼りしている。右/杉梅形(すぎうめがた)コードペンダントM(直径540mm)368,500円。上下の梅のフレームを歪みなくつくるところがポイントという。

「興石」店舗情報

読み方:こうせき
住所:京都市北区紫野西御所田町15
電話:075-451-8012 
営業時間:10時~12時、13時~17時
休み:日曜・祝日
公式サイト:https://kohseki.com/akari2/

柄も色合いも自由自在に! 好きなように染めてもらえます「に志田」の座布団

京呉服の摺疋田(すりびった)という技法で染められたもの。縮緬白地摺疋田座布団「小花と松」1個38,500円~

「に志田だ」といえば、京呉服の名店として日本舞踊の家元や多くの著名人が、きものをオーダーしていることでも知られています。こちらの隠れた逸品が和の小物。風呂敷や座布団にも、伝統的なきものづくりの技が生かされています。

写真の5色座布団は、いかにも「に志田」らしい、むっくりとした色合い。生地は地厚な絹縮緬(きぬちりめん)なので独特な光沢があり、表は鹿(か)の子絞りで菊を、裏は帽子絞りで梅を表現しています。もちろんすべてを1色でそろえても素敵。
座布団は縦がやや長い長方形ですが、正方形のクッションもオーダー可能です。きっと暮らしの名脇役になってくれるはずです。

縮緬5色座布団「利休・薄朱・朱・クリーム・紫」各22,000円。こっくりとした色合い、ふかふかとした感触に心和みます。約50㎝四方という小さめサイズも使いやすい。完成までに2か月ほどかかります!

「に志田」店舗情報

読み方:にしだ
住所:京都市中京区円福寺町348 
電話:075-231-3684 
営業時間:10時~17時
休み:日曜・祝日
公式サイト:https://gofuku-nishida.co.jp/

※本記事は雑誌『和樂(2024年4・5月号)』の転載です。
※掲載価格はすべて税込で、価格や営業時間などは変更される場合があります。お出かけの前にご確認ください。
構成/植田伊津子 撮影/小池紀行(CASK)

Share

和樂web編集部

おすすめの記事

〝料理が映えるうつわ〟にはスキがある? 【一生愛せる「うつわ」と出合う・その5】村田森(1)

和樂web編集部

「まるで宇宙…!」SNSで話題の若手漆芸家・浅井康宏の作品が神秘的すぎる!

米田 茉衣子

「カフェー=エロ」の時代があった?!純喫茶の歴史を深堀りしたら「不純なカフェー」に辿り着いた

中村英里

「TASAKI」70周年特別企画 パールジュエリーの常識を覆した「バランス」が導く! 至宝の真珠、伝統と革新の物語

PR 福田 詞子(英国宝石学協会 FGA)

人気記事ランキング

最新号紹介

12,1月号2024.11.01発売

愛しの「美仏」大解剖!

※和樂本誌ならびに和樂webに関するお問い合わせはこちら
※小学館が雑誌『和樂』およびWEBサイト『和樂web』にて運営しているInstagramの公式アカウントは「@warakumagazine」のみになります。
和樂webのロゴや名称、公式アカウントの投稿を無断使用しプレゼント企画などを行っている類似アカウントがございますが、弊社とは一切関係ないのでご注意ください。
類似アカウントから不審なDM(プレゼント当選告知)などを受け取った際は、記載されたURLにはアクセスせずDM自体を削除していただくようお願いいたします。
また被害防止のため、同アカウントのブロックをお願いいたします。

関連メディア