Craftsmanship

2025.02.20

超初心者でも居心地がいい、また行きたくなる店。人気スタイリストchizuさんと骨董の名店「大吉」へ【手仕事の京都】

室内スタイリングの先駆者であるスタイリストのchizuさんと、タイプの異なる4軒の骨董店を訪ねました。 chizuさんならではの骨董店でのモノ選びと、即興コーディネートに注目です!

「手仕事の京都」シリーズ一覧はこちら

滞在中何度も足を運びたくなる! 初心者も居心地がいい骨董店「大吉」

実は「初めて訪ねた京都の骨董屋さんが大吉さんだったんです」とchizuさん。20年以上前、今の店主である杉本 理(おさむ)さんのお父さまの時代です。

「骨董にはまったくなじみがなかったし、ましてや京都の…(笑)。恐る恐る表の引き戸を開けたのを覚えています。お父さまは陶芸をされていた方で…あ、これがそうですよね」と、陳列棚に先代・杉本立夫(たつお)さん【号は泥牛(でいぎゅう)】の茶碗を見つけてうれしそう。

「トラディショナルな眼と尖った感性のマッチングに惹かれます」(chizuさん)

左/「初めて来たときに豆皿など小さなものをいくつか買ったのですが、今でも持っています」とchizuさん。この湯吞み茶碗は杉本立夫さんの作。右/店は夫婦で切り盛りする。奥様の陽子さんの花の選び方や入れ方も参考に。

作陶しながら割烹を営んでいた杉本さんが、古伊万里(こいまり)を中心とした骨董店に転業したのが平成元(1989)年。
店を継いだ理さんはサンフランシスコに留学していましたが、帰国後すぐに「骨董をやりたくて」父のもとへ。デザインや音楽などの嗜好と、うつわを中心とした古今東西の骨董品の世界が、理さんのなかで融合したのが現在の「大吉」です。

「なんでも聞いてください。僕らも嬉しいし」(杉本さん)

左/小上がりも陳列展示スペースになっている。右/chizuさん(左)と、杉本 理さん。後方の棚に並んでいるのは、染付を中心にしたお碗やお猪口など。

「酒好きなので酒器として使えるうつわが多いかな。僕もまだ勉強中ですが、なんでも聞いてください。僕らも話ができるのがうれしいんです」(杉本さん)。
それが品揃えや企画展示などにも表れているので、若い人やかつてのchizuさんのような超初心者でも安心できるのでしょう。

心ときめかせる感触もあるのです

左/寺町通に面した入口脇にはショーウインドーが。右/chizuさんが手にしているのが、幕末から明治初期に瀬戸で焼かれた伊万里ふうのもの。持った感触は人それぞれなので、確かめられる実店舗での買い物はやはり楽しい。

chizu’s select 時代のこと、産地のこと、技法のこと。知るほど愛おしくなってくる

「猪口(ちょこ)や茶碗など、ティータイムにも食事時にも、酒器としても活躍しそうな染付(そめつけ)をいくつか。
江戸後期の瀬戸は伊万里に押されていたけれど、それならばと伊万里テイストでつくった瀬戸は潔い(笑)。
瀬戸の土は白いので、藍色とのコントラストが綺麗なのだとか。そんなお話が聞けるのがいいですね」(chizuさん)。

左/左上から時計回りに、8,000円、6,000円、2,500円、帆かけ柄の小皿4,000円、とても小さな豆皿4,000円。江戸後期から明治時代のもの。右/見え隠れする雲を胴に、龍と宝珠を見込みに描いた平碗(10,000円)。「つくり手の有り余る力量が表れているような気がして」と、chizuさんの心を捉えた。

【profile】chizuさん
1955年、九州生まれ。スタイリスト。食やインテリアを中心にしたスタイリストのパイオニア。店舗や商品開発にも携わる。著書に『私をぐっと素敵に見せる大人のおしゃれのひとさじ』(PHP研究所)が。

割烹時代の店舗で骨董店に転業したので、今も料理屋の風情が残る。

大吉 だいきち

住所:京都府京都市中京区寺町通二条下ル妙満寺前町452 
電話:075-231-2446 
営業時間:11時30分~16時
休み:月曜

※本記事は雑誌『和樂(2024年4・5月号)』の転載です。
※掲載価格はすべて税込で、価格や営業時間などは変更される場合があります。お出かけの前にご確認ください。

Share

和樂web編集部


構成/小竹智子 撮影/篠原宏明
おすすめの記事

骨董初心者にもおすすめ、京都「てっさい堂」で知る豆皿入門

和樂web編集部

伊万里焼ジュエリー「HiN」が美しい…ライフスタイルに合わせた伝統工芸の楽しみ方

中村英里

「不完全なもの」に心惹かれて。【一生愛せる「うつわ」と出合う・その11】村田森(7)

和樂web編集部

花の兆しに心躍らせて。二十四節気「春」 【一生愛せる「うつわ」と出合う・その7】村田森(3)

和樂web編集部

人気記事ランキング

最新号紹介

※和樂本誌ならびに和樂webに関するお問い合わせはこちら
※小学館が雑誌『和樂』およびWEBサイト『和樂web』にて運営しているInstagramの公式アカウントは「@warakumagazine」のみになります。
和樂webのロゴや名称、公式アカウントの投稿を無断使用しプレゼント企画などを行っている類似アカウントがございますが、弊社とは一切関係ないのでご注意ください。
類似アカウントから不審なDM(プレゼント当選告知)などを受け取った際は、記載されたURLにはアクセスせずDM自体を削除していただくようお願いいたします。
また被害防止のため、同アカウントのブロックをお願いいたします。

関連メディア