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滞在中何度も足を運びたくなる! 初心者も居心地がいい骨董店「大吉」
実は「初めて訪ねた京都の骨董屋さんが大吉さんだったんです」とchizuさん。20年以上前、今の店主である杉本 理(おさむ)さんのお父さまの時代です。
「骨董にはまったくなじみがなかったし、ましてや京都の…(笑)。恐る恐る表の引き戸を開けたのを覚えています。お父さまは陶芸をされていた方で…あ、これがそうですよね」と、陳列棚に先代・杉本立夫(たつお)さん【号は泥牛(でいぎゅう)】の茶碗を見つけてうれしそう。
「トラディショナルな眼と尖った感性のマッチングに惹かれます」(chizuさん)
作陶しながら割烹を営んでいた杉本さんが、古伊万里(こいまり)を中心とした骨董店に転業したのが平成元(1989)年。
店を継いだ理さんはサンフランシスコに留学していましたが、帰国後すぐに「骨董をやりたくて」父のもとへ。デザインや音楽などの嗜好と、うつわを中心とした古今東西の骨董品の世界が、理さんのなかで融合したのが現在の「大吉」です。
「なんでも聞いてください。僕らも嬉しいし」(杉本さん)
「酒好きなので酒器として使えるうつわが多いかな。僕もまだ勉強中ですが、なんでも聞いてください。僕らも話ができるのがうれしいんです」(杉本さん)。
それが品揃えや企画展示などにも表れているので、若い人やかつてのchizuさんのような超初心者でも安心できるのでしょう。
心ときめかせる感触もあるのです
chizu’s select 時代のこと、産地のこと、技法のこと。知るほど愛おしくなってくる
「猪口(ちょこ)や茶碗など、ティータイムにも食事時にも、酒器としても活躍しそうな染付(そめつけ)をいくつか。
江戸後期の瀬戸は伊万里に押されていたけれど、それならばと伊万里テイストでつくった瀬戸は潔い(笑)。
瀬戸の土は白いので、藍色とのコントラストが綺麗なのだとか。そんなお話が聞けるのがいいですね」(chizuさん)。
【profile】chizuさん
1955年、九州生まれ。スタイリスト。食やインテリアを中心にしたスタイリストのパイオニア。店舗や商品開発にも携わる。著書に『私をぐっと素敵に見せる大人のおしゃれのひとさじ』(PHP研究所)が。
大吉 だいきち
住所:京都府京都市中京区寺町通二条下ル妙満寺前町452
電話:075-231-2446
営業時間:11時30分~16時
休み:月曜
※本記事は雑誌『和樂(2024年4・5月号)』の転載です。
※掲載価格はすべて税込で、価格や営業時間などは変更される場合があります。お出かけの前にご確認ください。