【新潟】
小千谷縮(おぢやちぢみ)のきもの
小千谷市を中心に生産される麻織物。越後上布(えちごじょうふ)を改良したもので、緯糸(よこいと)に撚(よ)りの強い縮(ちぢみ)糸を使い、織面(しょくめん)に「シボ」と呼ばれるしわを出すのが特徴。「小千谷縮・越後上布」として、重要無形文化財およびユネスコの無形文化遺産に。

「私にとって初めての夏きものがこの小千谷縮。カジュアルに着られる格子や縞が好きですが、この白地の格子に紺系の縞の帯を締めると見るからに涼しげ。独特のシボで肌離れがよく、体感としてもさっぱり纏(まと)えるのが魅力です」(吉川)
燕三条(つばめさんじょう)の打ちもの包丁
鍛造(たんぞう)技術によって生み出される、強靭で切れ味の鋭い刃物。柳宗悦(やなぎむねよし)たちは、木喰仏(もくじきぶつ)などの調査で新潟を訪れるなかで、雪国の厳しい暮らしを支える道具たちに触れた。

「刃渡り24㎝。ただサクを切るためだけに使う包丁ですが、これで切るとカツオの味が違います。打ちもの包丁は日本の発明品です」(小坂)
【富山】
八尾和紙(やつおわし)の小物
全国へ持ち歩く薬を包むため、水に強く破れにくい紙として発展した八尾和紙。一時途絶えかかったが、和紙を製造販売する『桂樹舎(けいじゅしゃ)』の創業者と芹沢銈介(せりざわけいすけ)の交流から型染め和紙として復活。

「愛らしい型染め和紙で知られる『桂樹舎』の茶筒。ずっと使っていたのにうっかり潰してしまったので改めて『銀座たくみ』で購入。ペン立てにいい小物入れも買っちゃいました(小竹)
【石川】
九谷焼(くたにやき)のうつわ
石川県南部の能美(のみ)郡、小松市、加賀市を中心に生産されている色絵磁器。九谷五彩(くたにごさい =緑・黄・赤・紫・紺青〈こんじょう〉)による鮮やかな彩色が特徴で、民藝運動ではこの色彩も高く評価された。

「美食家・北大路魯山人(きたおおじろさんじん)とのかかわりで知られる山代(やましろ)温泉の『須田靑華窯(すだせいかがま)』の品。ちょっとユーモラスな絵柄がたまりません」(古里)
我谷盆(わがたぼん)
加賀市の山中温泉の奥にある我谷村(わがたにむら ※現在はダム湖の下)で、江戸時代からつくられていた素朴な木製の盆。ノミで彫り抜いた跡を意匠とした“無垢で力強い実用の美”を評価した黒田辰秋(くろだたつあき)らが、絶滅の危機から救い出した。

「木工芸家・佃眞吾(つくだしんご)さんがつくる我谷盆がずっと欲しくて、ようやく入手。モダンで繊細、現代のインテリアにものすごーーーーーく合います。経年変化も楽しみ」(田中)
輪島塗(わじまぬり)の椀と匙
能登(のと)半島輪島で産する堅牢(けんろう)性に富む漆器。寛文(かんぶん)年間(1661~73年)に地の粉(じのこ =珪藻土〈けいそうど〉)による堅牢な下地づくりに成功し、日用漆器としての輪島塗の名を高めた。

「能登の『湯宿さかもと』で食事の際に使われていて、ひと目ぼれした瀬戸國勝(せとくにかつ)さんの作。お椀はとにかく手に馴染み、お匙は口当たりがやわらかい!」(古里)
【福井】
越前塗(えちぜんぬり)のスプーン
古くから良質な漆が採れる、鯖江市河和田(さばえしかわだ)地区を中心に生産される漆器。歴史は1500年以上前に遡(さかのぼ)り、日本最古の漆器産地のひとつといわれる。

「塗師(ぬし)・中野知昭(なかのともあき)さんの漆のスプーン。優しい口当たりでスープやシチューをこれで食べると、抜群に美味しいです。大きさとサイズ、シンプルさ加減が絶妙」(高橋)
【山梨】
甲州印伝(こうしゅういんでん)の小銭入れ
鹿などの獣皮をなめし、漆で型文様を表現した染革の一種。使い込むほどやわらかく手に馴染むという、天然素材の持ち味を活かしきる姿勢は民藝の思想と通じる。

「自分では手を出しあぐねていた印伝の小物ですが、友人からプレゼントされたのでお賽銭(さいせん)用にと10年くらい使っています。6cm大と小さいのに硬貨がたくさん入り、がま口ってこんなに使いやすいのかと驚きました」(小竹)
【長野】
木彫り人形
豊かな山林資源に恵まれ、古くから独自の木彫り文化が花開いた長野。信仰や農閑期の副業として生まれた“素朴で力強い造形”が特徴。

「白骨(しらほね)温泉の土産店で見つけた、山登りをしている人の6cmほどの木彫りの人形。これぞ民藝の美しさ! 名もなき芸術にうっとり。“白骨”とあるところもご愛敬」(高橋)
木べら
ブナやカエデ、サクラ、クリなど、硬く丈夫な広葉樹が豊富に自生する長野県。素地(そじ)のままか、クルミの油などで仕上げられ、使い込むほど料理油が染み込んで深い色へ育つ。

「『大久保(おおくぼ)ハウス木工舎』の品を愛用しているが、精巧な機械でも大久保さんの手削りにはかなわないと思う。おすすめは細い撥(ばち)のような杓文字(しゃもじ)。小さな保存容器に小回りが利く道具の使いやすいこと! 移し替えも楽」(藤田)
【岐阜】
『飛騨(ひだ)産業』のヤナギチェア
柳宗悦の長男で「日本のモダンデザインの父」と呼ばれる柳宗理(やなぎそうり)がデザインした製品を、民藝運動に近かった飛騨産業が復刻したもの。

「創業100年を超えた高山市の飛騨産業の工場で製造されているものですが、背の部分の曲木(まげき)などに極めて手仕事に近い高度な技術が用いられています。手か機械かではなく、ものづくりの真摯な心が宿った品が今の時代の民藝なのでは!? 仕事のときもご飯を食べるときもこの椅子に座っています」(高橋)
美濃焼(みのやき)のスリップウエア
現在の岐阜県多治見(たじみ)市を中心に産する美濃焼。戦国から江戸時代にかけては志野(しの)、織部(おりべ)、黄瀬戸(きせと)、瀬戸黒(せとぐろ)など茶人好みが多く焼かれたが、後にはすり鉢や石皿(いしざら)などの日用雑器も。液体状の化粧土で装飾するスリップウエアはヨーロッパの伝統技法で、民藝のつくり手たちに好まれた。

「グラタン皿を欲し続け、百貨店の催事でこれに遭遇。どんな手抜き料理もそれなりに見せてくれるところが凄い!」(山本)
【静岡】
『勝山(かつやま)スズ竹伝統工芸』の米とぎザル
極めて堅牢で実用的な編み細工は、富士山の北麓に自生するスズ竹を用いた富士河口湖町の勝山地区に伝わる伝統工芸。

「ボウルに重ね、米と水を入れて手を回すと、網目に米が当たって容易に糠(ぬか)が落とせる。寒冷地で育つスズ竹は、強くてしなやかなのだとか。江戸時代からの技と知恵を、勝山スズ竹伝統工芸センターの有志が継承している」(藤田)
【愛知】
『瀬戸本業窯(せとほんぎょうがま)』のうつわ
古くからつくられていた陶器を「本業」、あとから伝わった磁器を「新業(しんぎょう)」と呼んで区別する瀬戸。『瀬戸本業窯』は磁器が主流となった時代でも古来の「本業」を守り、分業制による個を超えた産地の力で生産を続ける。

「民藝が本来もっていた意味を、奇跡のように保ち続けている『瀬戸本業窯』。模様は意図して描かれるというより、長く繰り返された経験のなかでオートマティックに現れるが、できあがるうつわはひとつとして同じものはない。“美はつくるものではなく、発見されるもの”という民藝の原点を伝えている」(高木)
常滑焼(とこなめやき)の急須
常滑市およびその付近から産する陶磁器で、日本六古窯(にほんろっこよう)の中で最大の規模を誇る。平安後期ごろは自然釉による壺や甕(かめ)、江戸後期には茶陶器類を産して栄えた。近代には日用品や工業用品も生産。

「蓋物(ふたもの)であり、注ぎ口もある急須は、やきものの中で最も工作精度の必要なものだそう。焼き締めの胎土(たいど)は極めて薄く、蓋は本体にぴったりとはまり、注ぎ終わりに雫がこぼれることはありません。一見何の変哲もないものに込められたとんでもない技術や職人の心を味わう、それが民藝の魅力ではないでしょうか」(小坂)
【三重】
萬古焼(ばんこやき)の鏡餅
伊勢桑名の豪商による御庭焼(おにわやき =屋敷などの庭に開窯して制作する趣味性の高いやきもの)が始まりの萬古焼。一度途絶えたが江戸後期に再興され、木型を使う型萬古(かたばんこ)という技法が現代の基礎に。

「小物入れとしても使える鏡餅。上に干支(えと)の人形や小さいみかんを載せて、正月飾りとして愛用しています」(田中)
●和樂スタッフ(と周辺の人々)紹介
遠藤智子(絶賛和樂web進行中!)/國藤直子(美容女将)/小坂眞吾(落語命)/小竹智子(スポーツ観戦狂)/後藤淳美(大のバレエ&犬好き)/鈴木智恵(ヘンテコマニア)/高木史郎(究極の職人気質)/高橋亜弥子(北へ南へ、渡り鳥人生)/田中美保(在・鎌倉)/新居典子(歌舞伎番長)/福田葉子(薩摩おごじょ)/福持名保美(休日は劇場通い)/藤田優(ミニマム生活の食いしん坊)/古里典子(愛嬌のある品が好き)/山本毅(二拠点生活の料理上手)/湯口かおり(ファッション畑から出張中)/吉川純(152cmのおしゃれさん)
※紹介している商品は一部を除き私物です。一点ものや現在は入手できない品もあります。

