「101年目の民藝は“変わらないもの。これからも続いていくもの”」(久野民樹さん)
ものごころついたときから、父(『もやい工藝』を設立した故・久野恵一さん)が全国を巡って集めたものたちと一緒に育ったので、「民藝」という言葉を意識したことはなく、自分にとってはいつもそこにあるもので、好きでも嫌いでもなかったんです。
ところが父が急逝し、まったく違う分野で働いていた私が、突然継ぐことを決断してしまいました。
各地でものを見たり、本を読んだりして学び直したのはそれからです。
たとえば、小鹿田焼(おんたやき)のうつわは、小さいころにつくり手さんたち(今は故人)に遊んでもらったこともあって、特に身近に感じていたものです。
あたりまえのように使っていましたが、古今を問わずいろいろなものを見たり、現場を見て回ると、「民藝」が無意識のうちに自分の感覚に染み込んでいることを実感しました。

民藝は、特別な人によって研ぎ澄まされたものではなく、普通に暮らす人々の手で、歴史とともに積み上げられてきた方法によってつくられてきたもの。
101年目を迎えてもその原点は変わらないと思います。
名声やブランドといったきらびやかなラベルはなくても、確かな安心感が宿っている。
情報過多な現代、そういうところが人々の共感を呼んでいるのかもしれません。

今回、「101年目の民藝ってなんだと思いますか?」と聞かれて思い出したのは「民藝とは、つくられた道具のなかで美しいもののことです」という父の文章です。
大量生産・大量消費の先に求められるのはそういったものでしょう。
私がそうであったように、これからの世代の人にも、静かに浸透していくのではないでしょうか。
101年目も、民藝は「変わらないもの。そして、これからも続いていくもの」だと思います。(久野さん談)
「つくられた道具のなかで美しいもの。次世代にも静かに浸透していくのでは」(久野さん)

右/藤田歩(ふじたあゆみ)「ノッティング」Sサイズ 23,500円。

中/読谷山焼北窯 松田共司作「やちむん 唐草紋7寸皿」5,720円。
右/琉球ガラスの歴史が育んできたアイテムのひとつ、沖縄・奥原(おくはら)硝子製造所の名作「ペリカンピッチャー」。独特な注ぎ口は氷や中に入れたフルーツなどをとどめる役割も。「ペリカンピッチャー」12,650円

久野民樹さんprofile
くの・たみじゅ 1981年生まれ。2015年、鎌倉の工芸店「もやい工藝」の2代目に。現在は「もやい工藝」のほか、東京・三鷹で工芸店「手しごと」も営む。
●もやい工藝 DATA
住所:神奈川県鎌倉市佐助2-1-10
電話:0467-22-1822
営業時間:10時〜17時
休み:火曜(祝日除く)
公式サイト:https://moyaikogei.jp/
※掲載している価格は、すべて税込価格です。

